第十二話 説教・カード・体
大丈夫だ、問題……ありますね。
俺は今、説教を受けている。
「だから…………なんだから、…………なのよ?」
誰からかって?……俺も知らん。
「装備は持っているだけじゃ意味がないのよ?」
どこかで聞いたようなネタだな……。武器は持っているだけで使えるけどね。
「そんな装備で大丈夫なの?」
あかん。それはあかん。
そのフラグは俺死んでまうで……。
「一番いいやつを頼む」
思わず言ってしまった。それに対し、
「ちょっと?何を言っているの?今の話聞いていたの?」
とのお言葉。
はい、真面目に聞いていませんでした。
「全く……装備を着けずにゴブリン退治なんて……危険すぎるわ。」
はい、確かに死にかけました。
てかマジでこの赤毛の娘誰???
俺が奴を氷漬けにし、街へ戻る道で、
「ちょっと、あなたボロボロ……って!あなた装備着けてないじゃない!」
と、出会っていきなり驚かれ、
「ちょっと待ちなさい。」
と言われて、その後30分はこの調子だ。
「今回は無事生き延びることが出来たからいいけど、今度から服一枚だけで森に出るなんてやめなさいよ?」
むぅ、確かに正論なんだよなぁ……
「はい、すみませんでした。」
装備の購入を検討しないとな……
その言葉に満足したのか彼女は俺が来た道とは別の道へ入っていった。
この出会いが彼女との初めての出会いとなるのだった。
無事に街にたどり着いたあと、俺は一先ずギルドに向かい、ギルドの受付嬢、フィールェさんに報告しているのであった。
「地形的に……ここです。」
巨大ゴブリンを討伐したことを伝え、人を派遣してもらうのに位置を指定した。
「今回は非常にイレギュラーな件でした。それを加味し、後日今回の報酬を渡させていただきます。」
まぁ、それは予想内だ。
「それと、あなたにバトラーカードが発行されております。お受け取りください。」
と言って、フィールェさんが手渡してきたカードには、
State
Name:エルマ・ミサキ sex:female
Tribal:ヴァンパイアLv:3 class:---
魔力適性:プリズム ランク:stone
Exp:2010/100000
Lv低いのに何故かLvアップまでの桁がおかしい事に突っ込んだら負けだと思う。
「何故かクラスが出ないんですが……。」
あの熊のランクがかなり低かったことに驚きつつ、クラスのことは気にするなと伝え、宿に戻った。
「「「お帰りなさいませ、お嬢様!!!」」」
燕尾服に若干引きつつも、部屋に向かう。
剣を机の上に置き、ボロボロの服を適当に脱ぎ、浴室でシャワーを浴びる。
その時、前はなんとなく見なかった全身鏡を見た。
そこには、前世と変わらない女顔、すらりと細いその体の身長は160cmそこそこで、前世の初対面の人にはまず女性と思われていた。そして前世と色が変わった綺麗なロングの銀髪と、紅い瞳があった。
そして……
「本当に、女になっちゃったんだよなぁ……」
はぁ……、と大きな溜息が出る。
まぁ、もともと女顔だったし、間違えられることがなくなったと前向きに見るべきなのか、それとも男じゃなくなったことについて悲しむべきなのか、俺にはわからないが。
まぁ、そんなことを考えつつも、変わってしまったことは気にしないのだが。
と言うか、気にしたら負けだと思う。
20分ぐらい経っただろうか。外に出た時には、服と剣 (血濡れだったはず。) が新品のようになっていた。
何故だ……。
しかもその後直ぐ燕尾服が夕食を伝えに来た。
マジで一体何者だよこの燕尾服は……。
それは神のみぞ知ることなのかも知れない……。
と、思ったが、俺には観察眼があったんだった。
……役に立つかわからないけど。
今度の機会に使ってみようと思いつつ、食事に向かうべく部屋を後にするのだった。
燕尾服の謎は深まる……。
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