第十一話 刃・突進・血糊
戦闘続行!エルマピンチ!
先に動いたのは、奴だった。
俺に向かって突進してくる。
若干スローになったが、それでもかなり速い!
俺は慌ててその攻撃を回避する。
「危ねえ……」
食らったら確実に死んでいたであろうその突進は、木を数本薙ぎ倒していた。
「おいおい……」
前に戦った熊とか普通のゴブリンとかとは別格の存在だった。
そうだ、俺には前に女神にもらったあのスキル……観察眼があったんだ。
こいつを使えば……
奴の情報だって……
見えて……き……た?
「…………。」
俺の目には奴の前にこんな表示がされていた。
?????ゴブリン Lv???
HP???
MP???
ATK???
DEF???
Skill
????Lv10
俺は声を大にし、女神に突っ込んだ。
「スキルの意味、ねーじゃん!!!」
騒いでいるうちにも奴はさらに突進してくる。
奴が突進の後、数瞬硬直したその隙に俺はすかさず反撃に出る。
「セアアァァッ!」
横薙ぎの俺の斬撃は、奴を真っ二つに……せず、俺の腕に衝撃が返ってきただけだった。
痺れるようなその衝撃に俺は思わず飛びのき、ショートソードを見る。
それの刃は、さっきのゴブリンの血に濡れ、もはや刃物として機能していなかった。
これは……拙いな……。
「ギィィィィィィ!」
刃を見ている間に相手も復帰したらしく、棍棒を振りかぶり再び突進してきた。
「クッ……」
俺はそれをギリギリのところで回避する。
このままじゃまずい……。どうする……。考えろ……。
考えつつも、敵は、二度、三度と攻撃を重ねてくる。
このままでは、いつか力尽きてしまう。
「ギィィィィィィィ!」
ドン、という衝撃を体に感じ、一瞬視界が暗くなる。
「ガハッ……」
気がつくと、俺の体は大木に叩きつけられていた。
確認はしていないが、おそらくその大木にはヒビが入っているだろう。
ズルズルと体が落ちる。
「ギャッギャッギャッ!」
奴の笑い声が聞こえ、痛みが全身を襲う。
「もう……ここまでなのか……。」
俺が全てを諦めかけたその時に、頭の中で声がした。
Tips:魔法を使うときは、起こしたい事象をイメージしましょう。適性が合っていれば、魔法を放つことができます。
それを聞いて、諦めけていた俺に力が戻る。
「ギャッ……?」
奴は俺を仕留め損なったことに気付き、臨戦態勢をとり、近づいてくる。
…………失敗したら死ぬ……だが俺の魔力適性は全属性だった。なら……!
俺は、目を閉じて意識を集中し、奴が凍りつくイメージをした。
「凍てつけェェェェェ!」
パシッ……という音が聞こえた。
目を開けてみると、奴は俺の目の前で棍棒を振りかぶっていた。
「ッ!」
俺は反射的に目を閉じる。
……が、奴は一向に襲ってくる気配がなかった。
恐る恐るもう一度目を開けてみると、やはり奴は棍棒を振り上げていた。
否。奴は棍棒を振り上げた状態で厚い氷に覆われ絶命していたのだった。
「……。」
自分がやったことに唖然とした。
この巨体を凍らせることができるとは……。
まぁ失敗したら死んでいたが。
「ふぅ……たす……ッ!」
慌てて口を塞ぐ。
このままもう一戦なんて御免被る。
俺は口から出かけた言葉を押し込め、もう一度奴の氷像を見る。
「……これ、どうやって持って帰ろう?」
体も怪我をしているし、ギルドに報告すりゃ人を貸してくれるかな?
とりあえず奴(氷漬けの巨大ゴブリン)は放置して、一旦街に帰ることにしたのだった。
魔法の描写どうですかね……
誤字脱字報告感想等お待ちしております。
2014/10/7
ルビ追加
拙いな……
↓
拙いな……
読みにくいわwwwという声を頂いたので。