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ウソ  作者: ミナセ。
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8/15

ウソ ~マンション~

~かおりのマンション~


かおりのマンションへ向かう途中、小林さんにメールをした。


「いまからマンションに戻ります」


だが、返事はなかった。

マンションに着いたとき、高見がいきなり言い出した。


「雄一、まず、5階に行きたいんだけれど、いいかな?」


不思議だった。

そう、5階には何もないはずだった。

いや、毎回部屋に行くたびに携帯だけがおかれてあった。

私は、高見が何か思うところがあるのだろうと思って5階へ行った。

そう、何もない部屋。ただ、そこにあったのはまたもや携帯。

ただ、前回までと違うのは形態の機種も違えば、ストラップも違う。

高見の顔色が変わる。


「これ、オレの携帯だ」


そう、今回あった携帯は高見の携帯だった。

高見は少し考えて話し始めた。


「雄一、話を聞いていておかしいと思ったんだけれど、毎回5階には携帯が置かれている。

 そう、誰かが意図的にここに携帯をおかない限り無理なんだ。 しかも、雄一にも見つからな

いようにしないといけない。

 つまり、ライヤーは雄一を見張れる場所にいる可能性が高いんだ」


そう高見は言いながら、二つ折りの携帯を開いた。


「うっっ」


高見はいきなり自分の携帯を床に落とした。


「どうしたんだ?」


私はそういいながら、高見の携帯をてにとった。

ディスプレーに映っていたのは、少し前に見た、


箱に入った指の写真であった。

その画像が待ち受けにされていたのであった。


携帯にメールが来る。


「探し物はみつかったのかい?

                ライヤー」


ディスプレーの写真をよく見ると、指の先につめがついているように見える。


「高見、これって、、、」


私は恐る恐る高見に話しかけた。だが、高見はリアリストだった。


「いや、つけ爪の可能性もある。

 骨が見つかれば話は違う。

 それに、その写真が、雄一が見たものと同じかどうかもわからない。

 とりあえず、6階へあがろう」


私はエレベーターを呼び、配電盤のしたにある場所に「b」と刻印されている場所をかざした。

そう、これだけでエレベーターはその階に連れて行ってくれる。

ただ、エレベーターは基本1階でスタンバイをしていることが多い。

すぐ上の階なのに上がるのに5分くらいかかってしまう。おそらく、このマンションでは近所付き合いなんかもないのだろう。私はそう思うことにした。



6階に、小林さんはいなかった。そして、また、机の上に一つの箱がおいてあった。

恐る恐る開けてみる。

そこには一つの名刺が入っていた。書かれているのは


「ちはや」


そして、携帯番号と、メールアドレス。おそらくキャバクラの名刺だろう。

そして、もう一つポケパラと書かれている雑誌が入っている。

夜の世界のガイドブックだった。確か駅前で置いているのを見たことがある。

そういえば、仕事で接待をする時もされる時もこのポケパラにお世話になったのを思い出した。

手にとって見ると折り目が付いてあった。

手にしたポケパラの折り目がついているところを開くと、見開きでかおりが映っていた。


「高見、これって?」


私は自分の知らないところで起きている現実を直視できなった。いや、今日ずっとソレは続いているのかもしれない。

高見は私が出した二つの物を見て、こういった。


「ああ、知っているよ。

 かおりは夜働いていたんだ。

 でも、別に体を売っていたわけじゃない。

 夢を売っていただけ。

 夜働くことってそんなに悪いことなのか?

 雄一。

 じゃあ、聞くけれど、雄一はかおりのどこを好きになったんだ?

 その、好きになったところは、かおりが過去何かしていたからといって、

 変わるくらいの気持ちなのか?」


高見のセリフが痛かった。確かに、私は夜働くというイメージだけが先行していた。

体を売っていたわけじゃない。夢を売っている。

恋心を商売にしている仕事。でも、だからどこかで何かが引っかかっているのかもしれない。

かおりのことは確かに好きだ。見えないところもたくさんあった。知らないこともたくさんあった。過去何かをしていたからといって、そんなに簡単に気持ちが揺らぐくらいなのだろうか?


いや、違う。

自分自身にそう言い聞かせていた。


「見つからないな」


高見の声で現実に連れ戻される。


どうやら、この部屋にはつめらしきものも、骨らしきものも見つからなかった。


「不思議なことが2点あるんだ」


高見が話し出した。こういう時、高見は頼りになる。


「まず、一つは、骨も、爪もみつからなかったけれど、雄一が言っていて、写真にもあった、

 指輪も見つからないんだ。

 形は変形するかもしれないけれど、存在がなくなるなんて、おかしいことだ。

 それと、もう一つ。

 今回の箱の中身。

 ライヤー自身。 ひょっとしたら、雄一にかおりをあきらめさせたいだけなのだろうか?

 それとも、何か他にメッセージがあるのだろうか? 何か、引っかかるんだ。

 もう一度、そのポケパラを見てみないか?」


高見がそう言って、私はポケパラを眺めた。折っている箇所は、見開きで映っているかおり。

それと、もう一つあった。そこに映っていたのは、

エリカだった。


~整理~


私は今まで自分の周りに起きていることをどれだけわかっていたんだろう。

今日は色んなことが起きていた。


「高見、ちょっと落ち着かせてくれ」


私はそういって、かおりのマンションにあるソファにゆっくり腰をかけた。


昨日、かおりにプロポーズをしてから起きたことを整理しようと思った。

ノートに今日あったことを書いていった。そういえば、昔就職活動時代にであった良というやつから教わったロジック分解をしてみた。かなり変わった人物だったが、良が教えてくれたこのロジック分解は色々と整理をするのには良かった。


かおりにプロポーズをする

↓

かおりに話さないといけないといわれ、マンションにいく

↓

501号室で携帯(持ち主不明)を発見

↓

ライヤーから初めてメールがくる

↓

601号室でかおりの指らしいものを発見

↓

高見が事故にあう

↓

かおりの携帯に電話すること、こたえはそ・・・ と伝言

↓

エリカとあう

↓

かおりの写真をライヤーから送られてくる

↓

昔すんでいたアパートにいく

↓

再び高見に会いに行く 小林さんと会う

↓

小林さんとかおりのマンションに行く

↓

501号室でかおりの携帯を発見

↓

601号室で義眼を発見

↓

高見に会いに行く

↓

501号室で高見の携帯を発見する 待ち受けに指らしきものがある

↓

601号室でポケパラを発見する


ここまで書いたときに高見がノートを覗き込んできた。


「なあ、高見、ここでポケパラがあったということは、この店に行ったらなにか情報が入るのかな?」


私は今までの流れを見ながら、ふとそう思った。けれど、高見からでたセリフは違った。


「いや、違うな。 この流れを見ていて、不思議に思わないか。

 いつも、マンションにくるとなにかが起きている。

 つまり、ライヤーはこの近くで雄一がマンションから出るのをひっそり待っているんだ。

 そして、時間が過ぎるのをただ、待っているだけなのかもしれない。

 だが、確実のこのロジックの中に今、かおりがどこにいるのかのヒントはある。

 この、送られてきた写真だ」


ユニットバスでさるぐつわ状態の写真のかおりだ。


高見が話し出す。


「雄一が見覚えがあって、しかも、このマンションの近く。 おそらく、ホテルとかは別だろう。

 そう考えたときにどこが思い浮かぶ?」


かおりのマンションの近く。

確かに、エリカといった前、私が住んでいたところも近い。

だが、そんな何回も使ったところではない。

私は記憶の渦に飛び込んでいった。

思い出せ、思い出せ。どこかで見たはずなんだ。この近くに住んでいる人。

そう、記憶はかおりと出会ってすぐの頃だ。

まだ春には遠いけれど、冬の寒さは和らいできた、3月。

確か鍋パーティをしようって香りが言ったんだ。

そうこんな感じだ。


「ねぇ、ゆう。

 実はこの近くに住んでいる友達の家で、今度鍋パーティーするの。

 ゆうも一緒に行くでしょ~」


いつも明るい声のかおりの声を思い出した。そう、そのときにつかったトイレはユニットバスだった。

あの場所かも知れない。

だが、なぜあの人なのだ?


「雄一、なにか思い出せたのか?」


高見が話しかけてくれる。心の迷いは吹き飛んだ。


「ああ、思い出した。 この近くにあるマンションだ。 そこは、小林さんのところだ」


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