ウソ ~メール~
~メール~
私の携帯に来たメール。差出人は 小林さんだ。
そして、メールの内容。
「私がゆうにかおりのどこが好きなのって聞いたときのこと覚えてる?」
内容よりも、あのタイミングでこのメールが来たことのほうが私には不思議だった。
気にしすぎなのだろうか。
私はそのときのことを思い出した。
「ねえ、ゆうはかおりのどこが好きなの?」
けだるく小林さんが話す。でも、顔は笑っていても目は笑っていない。
私はでもそのときはその目にも気がつかなかった。
私はかおりを好きになったのはギャップがあったからだ。
仕事をしていたときもそうであった。
「もう一度確認するね。準備は大丈夫なんだよね」
かおりはあのイベントに際してほぼ毎日確認してきた。
「大丈夫だって。もう、何回も確認しているから」
そう、こういう些細なギャップからかわいく感じたんだ。
それを小林さんに話したら、
「それだけ?じゃあ、逆にかおりのいやなところを見たらどうなの?
別れるの?それとも、それもギャップだって受け止められるの?」
そう、そのときは何も思わなかった。けれど、これには意味があったのだろうか?
私は確認のため、非常階段から5階に下りた。私の想像が正しければ、5階に今ライヤーがいるはずだ。
私は非常階段を下りて、5階の部屋を開けた。
何もない部屋。ただ、今回はひとつの書類だけがあった。
その書類は、私の部屋に在るべきものだ。
書類は今仕事で苦しんでいること。そして、私がかおりにプロポーズをしたきっかけでもある。
そう、とある事業家から結婚式のプロデュースを依頼されたもの。
ただ、事前になってキャンセルをされたため、今宙に浮いている企画である。
確かにキャンセル料はもらっているが、多くの業者に無理を言って用意をすすめた。
会場にはキャンセルができない。
そう、結婚式を誰かがその場所で挙げないといけないのである。
その書類がここにある。ああ、そういうことか。
私は話しかけた。ここにいるはずのライヤーに。
「もう、いいよ。ここにいるのはわかっているから」
そう、ライヤーはこの5階と6階をいったりきたりしているはずだ。
「いつから気がついてた?」
そういって、奥から出てきた。
「どうしてこんなことをしたんだ?」
私はできるだけ落ち着きながら話そうと思った。
そう、出てきた人物が私の予想とは違ったからだ。




