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ウソ  作者: ミナセ。
10/15

ウソ ~ゆう~

~ゆう~


はき捨てるように、そして、淡々と話す小林さんに私は何も言葉をかけることなんて出来なかった。

私の知らないかおり。かおりはどんな過去を、そして、どうして私を選んだのだろう。

私はそればかり考えるようになった。だが、考えをまとめるよりも先に小林さんが話しかけてきた。


「これで、納得した?

 私はゆうからかおりを引き離したいとは思っているけれど、

 でも、それはかおりがしないでっていっているからしないの。

 ホントはゆうを引きちぎってあげたいけれどね。

 で、かおりはどこにいると思うの?

 私は今回の流れを聞いて納得がいかないのは、あのエリカって子ね。

 あんなに化粧をきちんとしていたのに、すぐにゆうに会いにこれたのでしょ。

 あの子は一体どこに住んでいるの?」


小林さんに言われるまで気がつかなかった。

大体エリカがすんでいるところからだと、1時間くらいはかかる。

連絡が来て、メイクをしてということを考えると到底1時間でくるにはおかしい。

では、一体エリカはどこにいたんだ?そして、もう一つ小林さんは付け加えてきた。


「そう、それと、もう一つ不思議なのは、ゆうの昔のアパートにわざわざ連れて行ったこと。

 まるで、なにかから遠ざけるようにも感じるの。

 それとも、そのアパートには行かないといけないなにかがあったのかな?

 私が気になるところはそこね。

 ちょっと、そのアパートに連れて行って」


小林さんに言われるがまま、私はアパートに向かった。

タクシーで。







~アパート~


少し前にエリアと来たアパートに小林さんと来た。エリカがしたように、消火器の下にある鍵で中にはいった。

部屋の中に入って、小林さんは色々と動き回っていた。


「足跡は今日来たものだけだったのね。

 管理会社は掃除もしてなかったんだ。

 でも、不思議なのはユニットバスのところにはほこりたまっていない。

 なにかが確実にここにはあったのかも」


小林さんはそう語りだした。

確かに、部屋全体にはうっすらと白くほこりがたまっている。

けれど、ユニットバス付近は逆にきれいなままだ。


「確かに変だ」


私はそう思って、中に入った。

そして、洗面台の上にある棚を開けていた。

そこには1通の手紙が入っていた。


「ゆう

 間違いを犯したね。

 ここにかおりはいないよ。

 しかたがない。もう一つだけヒントをあげよう。

 これでラストだ。

 『すべての始まりからすべてを追いかけていきな』

ライヤー」


確かにここにライヤーは来ていた。

エリカなのか。だから、一度ここに来たのだろうか?

それと、すべての始まりから。今日一日のことなんて何度も思い返している。

私はなにかまだ見落としているのだろうか?


「もう、ここにはなにもなさそうね」


小林さんがそういってきた。確かに、他には何も見当たらない。


「一度、かおりのマンションに戻りましょうか? ゆう、悪いけれど、タクシーつかまえてきてくれない?」


小林さんに言われて、私はタクシーを捕まえてきて、かおりのマンションへ向かった。



マンションに向かう途中、小林さんから聞かれた。


「ゆうとかおりの出会いについて教えてほしいの。 かおり、そのことはあまり教えてくれないから」


私はかおりとであった時のことを思い出した。


~回想 かおりとの出会い~


どこかであったことあるけれど思い出せない。それがかおりとはじめて出会った時の感想だった。


私の仕事はイベントプランナーというと一番聞こえが良いかもしれない。

企業が行うイベントの計画から段取りを行う。

新卒採用の会社説明会や、少し変わった結婚式。

記者会見セッティング。

広告代理店といえばその分類に入る。結局就職活動をしていた当初の希望にそう形で私は就職先が決まったのだ。高見はその後メーカーを希望して医療メーカーに内定が決まった。上場している一流企業。私は仕事内容こそは希望にそっているが、まだまだ規模の小さい会社だった。


規模が小さいから色んな仕事を請けてくる。そのため依頼主も様々。

要望は複雑だが、予算は毎回低予算となる。そのため、アイデアでその分をカバーしないといけない。

かおりと出会ったのは仕事を通じてだ。かおりの会社からの依頼は変わっていた。


「今までにない入社式を行いたい。

 できるだけインパクトの有る場所でインパクトの有る入社式を行いたい。後は、佐藤と打ち合わせをして決めてくれ。 期限は1週間以内だ」


かおりの上司、伊橋という、はそれだけを言って去っていった。

それからの1週間は大変だった。

まず、伊橋というのが会社の社長であることがわかり、かおりはその社長秘書。

新興企業、いわゆるベンチャー企業だ。だが、業績はかなり良くなっているとのこと。今年の新入社員は100名。入社してきた社員は企業のブランドではなく、社長と会社の方針に引かれて入社してくる学生が主だという。

まず、会社の方針を聞いたところ。


「型にはまるな」


というもの。つまり、従来のホテルや研修施設での入社式ではないことがしたい理由が解った。


「社長は何が好きなものってありますか?」


そう聞いたところ、帰ってきたのが


「サッカーが好きですね」


という事を知る。

会場を競技場にして社長以下社員とドリームチームによるフットサル対戦を考えた。

現役選手だと呼ぶことは難しい。往年の選手で現在参加可能な人物をリストアップした。

現在コーチの研修中の人。他のビジネスに展開している人を基本にした。コメンテーターなどをしている人は経費がかかってしまう。けれど、呼ぶ人物がマイナーすぎてはダメだ。

私は過去の実績もわかる形で伊橋社長に提案した。

内容はすぐに受け入れられた。予算内に抑えてかつ、ドリームチームのメンバーにも過去の実績がわかるように記載をした。映像が手に入るものは手に入れて画面に投影するようにもした。


そう、このプランを進めていくなかでかおりと仲良くなっていった。

実際プランニングから実際までの期間は1ヶ月。その間、毎日朝から終電までをともにしていた。

そのときはそう、休日すらなかったのを覚えている。

電話での交渉。直接交渉。現地への機材搬入。すべてのプランニングを一緒にしていた。

かおりに聞いたところ、伊橋社長という人物は特に秘書は要らずに自分でスケジュール管理をしている。ただし、自分でなくても問題ない仕事についてはその時連れて行った人物に任せるという事だそうだ。

かなり変わった社風。そう、事業に携わる時その時社長のめがねに、目に留まるかどうかでかわるという。ただし、社長は個人の能力やモチベーションもかなり見ているし、確認もしている。

だから回りから慕われているとかおりはいっていた。

そう、この企画のプランのおかげでかおりと仲良くなったのだ。

それがかおりとの出会いだ。


かおりは私の事をどう思っていたのだろう。だが、かおりと一緒に仕事をしていく上で、どんどん惹かれていった。そして、イベントの終了時に告白をしようと決めた。

イベントが終わってしまったら、もうあえない二人になってしまうから。私の勢いにかおりが負けたに近い形であったかもしれない。けれど、返事はもらえたんだ。



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