幕間、『ガール・ミーツ・ドラゴン(♀)』
00、オロチ
自分がいつこの世界に発生したのかなんて覚えてもいない。
ただ、生まれた時から、この星の守護者として生きることを知っていた。
だから、世界を汚すバカ者どもを、その役目のままに殺し続けた。
そんな生き方にも疲れてきたある日、私の前に一人の幼い原住民の少女が現れる。
『私の命と引き換えに、私の大切な人達を許して下さい』
少女はそう言って、その命を自らの手で絶った。
……正直、理解ができなくて恐ろしかった。
私は人類を自己中心的で破滅願望のある愚かな存在と認識していたのに、その少女は同族の未来の為に自らの命を進んで投げ出した。私には理解できない矛盾。理解不能すぎて関わり合いになりたくなかった。だから、干渉を最低限にして、無視して……それが間違いの始まり。
それから、私とは関係のない『天災』や『魔獣災害』、はては『人災』――自分達の手に負えない災いが起こるたびに幼い少女がやってきて、その命を散らしていった。
私は怖くて、私にこんな恐怖を与える元凶になった魔獣やニンゲンを殺した。
それが、生贄という儀式の始まり。
その少女も同じような事を言った。
「私の命と引き換えに、私の大切な人達がこの地で住む事を許してください」
そう言って、懐に忍ばせていた『エーテル結晶製の短刀』を自分の首に押し当てて……。
「…………………………死に、たく……ない、よ」
そう言って泣いた。
それが無性に嬉しかった。私はこの少女を理解したくなった。力になりたいと思った。だから、『契約』した。私の力を与える代わりに、私の眷属となる契約。かって私の元を訪れた少女のカタチをした九頭竜が、その伴侶と交わしていた契約。命果てるまで一緒に生きる契約。
……そして、少女は生きるために殺した。
自分に死を強制した同胞を、生贄という制度を作った原住民を泣きながら殺しつくした。
その光景を見て、私は少女の魂を救えなかったことに気づいた。
だから祈った――この弱く、愛しい少女を救える、『奇蹟』のようなナニかを。




