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【プロローグ】
まるで時が止まったようだった。
見上げた空は真っ黒に塗れた汚いキャンパス
道行く人も、忙しなく走る車も、街灯を反射する雨粒も、目に映る全てがスローモーションに見えた。
視界の端には花弁が堕ちた桜の木
そんなスローモーションの世界の中心で、私の速さはそのままだった。
世界は逆さまに落っこちる
ゴロゴロと、バタバタと。壊れたオモチャのように転がっていた。
なんでこんなことになったんだろう。
滑って転んだのか。
あなたに押されたのか
雨だし転ぶのは仕方ないよね、と思ったけれど、落ちる直前に見えたような気がする。
あなたの事が、
許せない
何でこうなったのかな。私が悪かったのかな。私が愚かだったのかな。関わったのがいけなかったのかな。全て仕組まれたことだったのかな。こうなるのは必然だったのかな。私は悪くないんじゃないのかな。全部あなたのせいなんじゃないのかな。
私がこのまま終わると思っているのかな