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異世界恋愛短編

姉に聖女の座も婚約者も奪われた妹は国を出る 〜隣国でひっそり旅の治癒術師をしていたら、若き国王に見初められました〜

「今までずっと僕を騙していたな、マティルダ・ブロードベン! 真の聖女であるマーシーを虐げ、己が偽聖女ということを隠していたのだと聞いた。これは断じて許されることではない! よって、婚約を破棄する!」


 本来婚約者であるわたしをエスコートするべき社交場で、別の女性を伴って現れた第二王子トマソン殿下はわたしに指を突きつけた。


 ざわめくパーティー会場。皆の視線がわたしたちに集まる。


「ついにマーシー様とトマソン殿下、婚約なさるのね」

「美女美男でお似合いのお二人ですね」

「マティルダ様とは大違い」


 ヒソヒソと囁かれる声の数々は、しっかりとわたしの耳まで届いている。

 老婆のような白髪の地味なわたしを皆が嘲笑うのだ。


「……殿下、わたしは偽ってなどおりません。偽聖女というのは姉からお聞きになったのですか」


 声が震える。悔しさと哀しさで、全身が氷のように冷たくなっていくのを感じた。

 やはり皆、わたしのことなんて見てくれないんだ。わがままで嘘吐きな彼女の方が正しいことにされるんだ。


 そんなわたしを見て、トマソン殿下の隣に寄り添っていた女性が青緑色の瞳を細めながらニヤリと笑う。

 ようやくこれであんたの上に立てたわという声が聞こえてきそうなほど、愉しげな笑みだった。


「ごめんなさいね、マティルダ」


 こうして彼女――わたしの姉は婚約者と聖女の座を手に入れ、代わりにわたしは全てを失った。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ――思えば、奪われてばかりの人生だった。


 聖王国ミラウェルのそこそこ裕福な貴族家であるブロードベン伯爵家の娘として生を受けたわたしだったが、その半生は決して幸せなものとは呼べない。

 わたしは常に窮屈な思いをしていた。


「それは私が持つべきものでしょう。よこしなさい」

「あら、あんたみたいなのが私に口答えしていいと思ってるの? バッカじゃない!? 私は姉なのよ!」


 一年だけ先に生まれただけで、姉という地位を盾にしてわたしのものを横取りする。

 耐えられずに泣けば叱られるのは姉ではなくわたし。妹だからって甘えてる、そう言われて。


 こっそり買ったお気に入りのドレスも、社交界デビューの歳だからと婚約者に贈られた宝石も、全部姉のものになった。


「あんたは聖女なんだから、いいじゃない。あんたは何でも持ってるんでしょ」


 姉はいつもそう言って笑っていた。

 わたしだって聖女になんて、なりたくてなったわけではないのに。


 わたしの姉のマーシーは、とても美しい人。

 キラキラ輝く金髪も、青緑色で切れ長の瞳も、女性らしい凹凸の多い理想的な体つきも、絶対わたしには真似できない色香たっぷりの仕草も。全てが他の人を惹きつける。

 両親は姉を愛し、後から生まれたわたしなんて知らんぷり。両親に冷遇されていたせいで侍女にすらわたしは馬鹿にされ、ろくに世話をされることはなかった。


 幼い頃はまだマーシーはましだった。

 「私の方が愛されてるのよ」と自慢はしてきたが、ただそれだけで。


 でもそれはわたしが七歳の時、教会の神官によって聖女であると告げられたことで変わってしまった。

 姉にはない奇跡を起こす力がわたしにはあった。蘇生はできないものの、人々の傷を癒やす力。

 神に選ばれ、この聖王国において誰からも崇められるべき存在だとされている聖女になってしまったわたしを姉は嫉妬した。いや、憎んだと言った方が正しいかも知れない。


 どうして自分じゃないのかと喚き立て、次々にわたしのものを奪うようになった。

 両親も使用人も、誰も彼女の暴挙を止めようとはしない。わたしが少しでも抵抗しようものなら、わたしが一方的に糾弾されるばかり。


 そんなわたしの心の拠り所になったのは、聖女になったことで婚約者に宛てがわれた聖王国第二王子トマソン殿下。

 彼はまともに服も与えられないボロボロのわたしを憐れみ、幸せにすると約束してくれ、優しくしてくれた。……もっともマーシーに会うまでの話ではあったけれど。


 わたしと彼、二人きりのお茶会でのこと。

 「お邪魔させてもらうわ」と言って当たり前のような顔で割り込んできたマーシーは、一瞬で彼の心を鷲掴みにした。


 次のお茶会からトマソン殿下はマーシーも同席したらいいと言って、何度も三人でお茶会をするうち、いつの間にか主役はマーシーになっていた。

 わたしはただのおまけ。話しているのは殿下と姉だけで、本来彼の婚約者であるところのわたしは誰にも構われずただただ笑顔を張り付けているだけの人形。


 ボロ雑巾のわたしより姉の方がいいと思われることはわかっている。

 色素が抜け落ちたような白髪はボサボサだし、瞳も灰色の混じった薄青。胸は平たく、幼く見える丸顔は姉と比べると見劣りする。

 それでも、わたしに女性的な魅力がないとしても、殿下とわたしには多少なりとも情があったはずなのに。


 それを簡単に覆されて、殿下が帰った後に「あの方も私がいただくから」と言って姉にくすくす笑われたことが、悔しくて仕方なかった。


 トマソン殿下はわたしの婚約者なのに。

 なぜ奪われなければいけないのかわからない。わたしが何をしたというのだろうと、枕を涙で濡らす夜が続いた。


 思い切って国王陛下にこのことを言ってみた。教会にも。

 けれど結局誰もかもが「気の迷いだろう」とろくに話を聞いてくれず、時間が経っていって。


 そしてとうとうとう、殿下との婚姻があと半年に迫ったある日、婚約破棄を告げられることになってしまった。


 しかも何をやったのか、教会関係者を言いなりにさせたマーシーは自分こそが真の聖女であると宣い、わたしを聖女の座から追い落としたのである。

 奇跡の力を持たない彼女が本来聖女になっていいわけがないのに。


 トマソン殿下の婚約者でもなく、聖女でもないわたしは行き場をなくした。

 ブロードベン伯爵家に帰ったところで、用済みとして捨てられるか、あるいは姉の代わりに裏で奇跡の力を使わされるだけ。


 そんなの、嫌だ。

 美しいだけが取り柄の姉にこき使われて一生を終えるなんて、絶対にしたくない。


 その時、とある考えがふと閃いた。

 本当は何度も何度も思いつきそうになって、しかし寸手のところで「わたしには聖女としての務めがあるのだから」と己に言い聞かせてあえて目を向けないようにしてきた選択肢。でもそれが今なら何の躊躇いもなく実行できる。


 ――端的に言えば家出。それどころか、こんな国なんて出てやろうという考えだった。


 もうどうにでもなればいいと思った。

 トマソン殿下の侮蔑のこもった視線、そしてパーティー参加者たちの好奇の視線を浴びながら、わたしはパーティー会場をそっと抜け出す。

 そしてそのまま、迎えの馬車に乗ることなく最寄りの街へ向かって歩き出した。


 地味でありながらもそれなりに金になるドレスやヒールはさっさと売り払ってしまうに限る。

 そしてわたしはマティルダ・ブロードベンという名を捨てて生きてこう。好きにすればいいのだ。


 どうせわたしは全て失ってしまったのだから、何も気負う必要はない。

 そう考えたわたしの心は、ほんの少しだけ軽くなっていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「治癒術師さん、ありがとう!」

「ティリー様。おかげで娘の命が長らえました。ほんの心ばかりのお礼ですが」


 目を潤ませて喜ぶボロボロの母娘からパンを受け取ったわたしは、「嬉しいです」と微笑んで、静かにその場を立ち去った。


 旅の治癒術師ティリー。

 それが今のわたしの名前と、立場。ティリーというのはマティルダの愛称の一つだ。だが今まで愛称なんて誰からも呼ばれたことはなかったので、たとえ聖王国にまで名を知られるようなことがあってもわたしだとは気づかれないに違いない。


 ミラウェル聖王国の東側、隣国のキネシーに入国したわたしは、馬車も使わず足だけで方々を巡り歩いた。

 最初はただ目的もなく旅をしていたのだが、道中で怪我や病に苦しむ人々に出会い、せっかくなのだからと神に授けられた自分の力を有効利用することにした。


 治療するのは平民がほとんどで、報酬は雀の涙だ。

 でもわたしは構わなかった。手持ち金はそれなりにあったし、底をつきれば新たな職を考えればいいだけの話。


 今のわたしはどこまでも自由だ。奪われることも制限されることも何一つとしてない。

 ――姉が、マーシーがここにはいないのだから。




 キネシー国の様々な景色や人々を見た。

 貧しいながらも支え合って生きていく農民たち。息を呑むような美しい花畑。幸せそうな家族。

 そのどれもが、わたしにとっては新鮮だった。この世界にはこんなものがあるのかと毎日驚かされるばかりで。


 そんな中、わたしは一人の青年と出会うことになる。

 とある村のはずれで、彼はどぼどぼと血を流して倒れていた。右足がざっくりと抉れており、相当ひどい怪我とわかる。


「大丈夫ですか」


「……ぐっ」


 どうやら意識はあるらしいが、痛みで答えられないようだ。

 わたしは患部に手を当て、癒しの力を流し込んだ。


「傷が深い。それに……毒もありますね。すぐに完治は難しいでしょうが、これで痛みは和らぎます」


 わたしが通り掛からなければ、間違いなくこの青年は死んでいただろう。

 きっと毒矢で射られたのだろう。誰かに恨みを持たれていたとすれば、どこかの商家の人間など、ある程度身分の高い者かも知れない。

 少し危惧はしたが、このまま彼を放っておくわけにはいかなかった。毒抜きにはそれなりの時間がかかるので、宿にでも連れ帰って治療するべきだからである。


 青年はかなり身長が高く、小柄な上に老婆のようにガリガリなわたしには運ぶのは困難だ。

 それでもどうにか、青年を肩に担ぎ上げた。


「きみ、は」


 掠れた声で青年が言った。

 担いでいるため、わたしの胸元まで垂れ下がっている青年の顔をチラリと見やると、ペリドット色の瞳がじっとわたしを見つめている。


 目が合った瞬間、わたしは彼がとんでもない美丈夫であることに初めて気がつき、小さく息を呑んだ。

 薄茶の髪は血やら土やらで汚れているが、美術品かと思うほど整っている顔立ちの優美さは言葉に表せないほどだった。


 聖女として、そして伯爵家の娘として今まで大勢に会ってきたけれど、こんな美しい人には出会ったことがなかった。

 わたしは内心大きく動揺したが、それを隠して淡々と答える。


「わたしはティリー。姓はありません。少し治癒魔法が使えるだけのしがない旅人ですよ」


「俺は……」


「あまり話さないでください。命が縮んでしまいますから」


 一体誰なのかだとか、どうしてそんな怪我をする事態に至ったのだとか、色々聞きたいことはあったが、何より治療が最優先。

 青年がおとなしくなってくれたので、わたしはホッと安堵の息を吐いた。


 ――それから半日後。

 徹夜で看病し、ようやく体内の毒を全て抜き切ることができた。

 一応青年をベッドに寝かせて安静にさせてはいるが、明日の朝には体調は万全になるだろう。


「もう喋ってもいいだろうか」


「いいですよ」


「……助かった。ティリー、きみには大きな借りを作ってしまったな。感謝する」


 なんとも仰々しい言い方だ。「ありがとう」くらいでいいのに、とわたしは思った。


「いえ、治癒術師として当然のことをしたまでのことですから。ところであなたのお名前を伺っても?」


「俺は……そうだな、ウィル。ウィルだ」


 明らかに偽名である。が、わたしはそこを追及しない。


「ウィルさんは、毒矢に射られたのですか」


「よくわかるな」


「治癒術師ですので」


 などと言いつつ、聖女だった頃にこのような知識は全て身につけた。どのような原因で負った傷や病かで、使う奇跡の力が違う故のことだった。


「事情があり、賊に襲われた。命からがら逃げたが毒矢に射られた。そして瀕死だったところにきみが現れたんだ」


「そうなのですね。お役に立てたようで何よりです」


「後日きちんと礼がしたい。いいだろうか?」


 別にわたしは報酬なんて求めていない。

 ただ、奇跡の力があるのに目の前の人を救えないことが嫌なだけ。でも、多くもらえるのであれば生活に余裕が出るのは確かだったし、たとえ無報酬のまま逃げられても大した痛手にはならないので頷いた。


「お急ぎであれば、明日の明け方にこの宿を発つことをおすすめします。ですがウィルさんは何者かに狙われているご様子。大丈夫なのですか?」


「相手は俺がすでに死んでいると見込んで死体探しをしているだろう。早いうちに戻れば大丈夫だ。……きみはしばらくここに滞在するだろうか?」


「三日くらいはこの近辺を散策して、その後は東の方へ向かうつもりです」


「わかった。ではそれまでに必ず戻る。待っていてほしい」


 ウィルと名乗る美青年が一体どんな報酬を持って来てくれるつもりかはわからない。

 魅力の欠片もない老婆のような小娘であるわたしにいいものが与えられるとは思わなかったけれど、わたしは少し、ほんの少しだけ期待してしまっている自分に気づき、苦笑した。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 青年は明け方には宿を出て行き、わたし一人が残された。

 それから三日はただただ近くをぶらぶら歩き、怪我人や病人をひっそりと治すだけの日々が過ぎていく。


「……やはりあれは口だけだったのでしょうか」


 彼からのお礼とやらを半分以上諦め、次の場所への荷造りをしていた頃、宿の前に信じられないものが停まった。

 それは、金銀に光り輝く豪勢な馬車だった。


 そして中から降りてきたのは。


「ティリーという治癒術師の少女を迎えにきた」


 薄茶の髪にペリドットの瞳の、あの青年であった。

 その時わたしは、自分が想像していた以上に彼の身分が高かったのだと悟る。

 慌てて宿を出て、彼の前に跪いた。


「お呼びでしょうか」


「ティリー、あの日以来だな。約束の通り、きみにお礼をするためこうしてやって来た」


「あなた様は、一体?」


 彼はわたしの方へ歩み寄ってきて、そっと耳元に口を当てる。

 そして静かに囁いた。


「我が国、キネシーの王――ウィルフリッド・ディーン・キネシーだ」


 キネシーの王。

 その言葉を耳にした瞬間、わたしはふと思い出した。ミラウェル聖王国にいた頃、隣国キネシーには若く有能な国王がいると聞いたことがあったことを。


 ミラウェルとキネシーはそこまで親しい国同士とは言えず、それ故に一度も顔を合わせることはなかったが、まさかこんな形で遭遇するなんて。

 しかも若いと言ってもせいぜい三十代だろうと思っていたというのに、目の前にいる青年はどう見てもわたしより数歳年上程度にしか見えない。


「きみを城へ招待したい。いいだろうか」


 わたしは元はキネシーの国民ではないが、現在滞在している以上、青年改めウィルフリッド様に従う必要があるだろう。

 お礼などと言いつつ拒否権がないなんてと思ったが、そもそも関わってしまったのはこちらなので、いちいち文句は言っていられない。


「もちろんでございます。よろしくお願いいたします」


 うっかり淑女の礼をしそうになったが、ただの治癒術師がすれば不自然だろうと思い、頭を下げるだけにとどめた。


「言葉遣いは固くなくていい。きみは俺にとって命の恩人なのだからな」


「では、お言葉に甘えて」


 わたしは馬車に乗り込み、キネシーの城へ赴くことになった。




 馬車の道中でわたしは、ウィルフリッド様より様々な話を聞いた。

 現在、キネシー国内の情勢が不安定になっており、とある地へ視察に赴いた際、ならず者たちによって襲撃され護衛を皆殺しにされ、毒矢を放たれたこと。首謀者が王弟であり、ウィルフリッド様の婚約者だった公爵令嬢と共謀していたことなどだ。


 首謀者たちはウィルフリッド様が生還したことで罪に問われ、あっという間に処刑が決まり、今はもう全員首と胴体が分かれた後らしい。


 キネシー国の貴族社会や政治などを全く知らなかったわたしにとって、そのドロドロとした内情を聞くだけで震え上がってしまいそうだった。

 もっとも、故郷ミラウェル聖王国も教会が腐っていたり簡単に聖女を替えてしまえたりと相当腐っているのだが。


「どこの国も同じなのですね……」


「何か言ったか?」


「いいえ、独り言です。すみません」


 そんなこんな話しているうちに、馬車がゆっくりと停車した。

 ――城へ着いたのだ。


 石造りの宮殿が堂々と聳え立ち、門の前に立つ千人ほどの兵隊が一斉に頭を下げ、馬車を降りたわたしたちを出迎える。

 ミラウェルの城の警備兵はせいぜい二百人くらいしかいなかったのに、その五倍以上とは驚きだ。


「ようこそ、我が城へ。きみには最大限のもてなしをしよう」


「ありがとうございます」


 本来であればボロ切れを着たくたびれた旅人であるわたしが足を踏み入れていい場所ではないだろうけれど、ウィルフリッド様に連れられるままわたしは入城する。


 城は息を呑むほど美しく、煌びやかだった。


 ステンドグラスの天窓から差し込む陽光と宝石の輝きに目を焼かれてしまいそうだ。

 タイル張りの床には真っ赤な絨毯が敷き詰められ、その両サイドにずらりと使用人が並んでいる。


 ウィルフリッド様はその一人、侍女らしき人物に命じた。


「例の客人だ。彼女を着替えさせてやりなさい」


「はい、かしこまりました」


 静かに頭を下げた侍女は、数人の侍女仲間と共にわたしをどこかへ連れて行く。

 動揺しつつもわたしは彼女らに従った。


 そして辿り着いたのは衣裳室。

 伯爵令嬢時代にも着たことがなかったような色鮮やかなドレスが吊るされていた。


「お客様、失礼ながらお名前を伺ってもよろしいでしょうか」


「ティリーです」


「ではティリー様、お好きなドレスをお選びください」


 ……と言われても困ってしまう。

 だって今のわたしは伯爵家の娘ではなく、ただの平民の旅の治癒術師。こんな高価なドレスを身に纏っていい身分のはずがない。


「恐れ多いです」


「陛下のご命令でございます。どうぞお選びください」


 けれど、わたしが頑なに断ればこの侍女たちが罰せられてしまうのかも知れない。

 そう思うと強く断れず、わたしは衣裳室にあった中で一番色の落ち着いた薄茶色のドレスを指差し、着付けてもらった。


 ――まさかわたしがもう一度ドレスを着ることになるとは思わなかった。


 これはもしかすると都合のいい夢なんじゃなかろうか。

 たまたま倒れていたところを見つけ、治療したら実は若き国王だったなんてそもそも信じられないし……。


 などと考えているうちにボサボサだった髪を整え結えられ、わたしは再びウィルフリッド様の前に立たされた。

 そしてペリドットの瞳を思い切り見開いた彼から告げられたのは。


「綺麗だ」


 などという、ますます非現実的な一言だった。

 わたしは絶句した。




 わたしが綺麗なわけがない。

 瞳は灰色がかった薄青だし、髪は真っ白。顔立ちだって少し可愛いくらいなもので美人とは言えない。

 美貌において姉とは天と地の差で、どうやってもマーシーに追いつけるはずがなくて。だからわたしは捨てられたのだというのに、綺麗だなんて。


「ウィルフリッド様、ありがとうございます。ですが……」


「やはりそうだったか。きみは俺の運命の(ひと)に違いないな」


 わたしの言葉を遮り、ウィルフリッド様はグッと前のめりになる。

 そしてわたしの前に跪いた。


「ティリー。きみを俺の花嫁として迎え入れたい。どうやら俺はきみに心の底から惚れてしまったらしい」


「――――――」


「いい、だろうか」


 期待に満ちた眼差しで見つめられる。

 だがわたしは、答えられなかった。言われたことの意味こそ理解したものの、理由がわからなかった。


 たった一度会ったことがあり、これで二度目になる男性に、命を助けたというただそれだけの理由で求婚される。

 そんなのおかし過ぎるではないか。わたしはこれまでたくさんの人の命を救ってきた。けれども祖国ではろくに感謝されることなく、この国に来てからだってパンの欠片やらわずかばかりの銅貨くらいしか受け取ったことがなかった。

 それに神から与えられし奇跡の力を持っているわたしが人を治療するのなんて当たり前。たとえ褒められたとしても、求婚される理由なんて全くない。


「わ、わたしは、名もなき旅人です。綺麗でも特別でもない、ただの小娘です。ですからどうか、跪かないでください」


「ただの小娘なんかじゃない。ティリー、俺はきみを本気で」


 その時わたしはふと、混乱する思考の中で気づいた。

 今彼は命の恩人であるティリーを美化し、夢現のままで求婚しているに過ぎないのだ。もしもわたしを隣国の元聖女のマティルダだと知った途端、幻滅するに違いない。


 でも彼だけではなく使用人たちの姿もあるこの場所で真実を言うのは憚られ、躊躇った。


「ウィルフレッド様のお気持ちはわかりました。ですがわたしは、旅の続きがありますから」


 だからわたしは、にこやかに断るのにとどめた。

 もしもこれがウィルフレッド様のタチの悪い冗談であればいい。もしそうでなくても、ほんの一瞬の気の迷いで、わたしのことなんてすぐに忘れてくださるはずだ。


「……妃に迎え入れても人々を治癒して回ってくれて構わない。それでもダメか」


「お戯れはよしてください。わたしは住所なし、年齢不詳、正体不詳の平民女なのですよ?」


 ドレスが着られたことはほんの少し嬉しいし、あてもなく旅を続けるよりはゆっくり城で過ごしたいだなんて思わないわけではないけれど。

 どうせ正体を知られた瞬間に捨てられ城を追われることになるのだから、夢なんて抱かない。


「どうしてもか?」


 ウィルフリッド様は案外しつこかったが、「はい」と答えると渋い顔ながらも頷いてくれた。


「わかった。それならどうか今夜だけでも休んでいってくれ」


「いいえ。少しの間でもこのような素敵なドレスを着られ、ウィルフリッド様から求婚いただけるというありがたい夢を見させていただけただけで、わたしは幸せなのです。これ以上はどうか構わないでください」


 わたしはその場でドレスを脱ぎ捨て、侍女に頼んで外套を持ってきてもらって羽織った。

 たったそれだけで、どこにでもいそうな若い娘に成り下がるのだからわたしはつくづく地味だと思う。これがもしもマーシーであれば、どんな衣装であれ誰もを虜にするだろうに。


 わたしはどれほど着飾ろうと、姉の美貌には絶対に勝てやしない。

 姉からはとっくの昔に解放されたはずなのに、今でも彼女はわたしの心を縛り、嘲笑い続けていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 「せめてこれくらいは」と迫られ、ウィルフリッド様によって無理矢理に近い形で金貨を握らされたわたしは、即刻城を出た。


 城下町を抜け人気のないところへやって来て、ようやくそっと息を吐く。

 やはりわたしは、ああいう場所は似合わない。ひっそりこっそりと治癒術師を装って生きていくのがお似合いなのだと思った。


 ――さて、次はどこへ行きましょうか。

 華やかなお城の景色を頭から振り払い、ぶらぶらと歩き出す。

 ひとまず、王都の東の方へ行ってみてもいいかも知れない。そんな風に考えていた時だった。


 カラカラと馬車の車輪のような音が聞こえてきたのは。


「……?」


 ここは人気のない裏路地。馬車なら普通はもっと表を通る。

 もしかすると人攫いなどかも知れない。そうでなかったら強姦魔か強盗のどちらかだ。


 こんなところで襲われてしまってはたまらない。慌てて硬直を解き、足早にその場を逃げようとして――「待ちなさい」という声に足を止めてしまった。


 それは、美しい女の声だった。


 パタン、とこの場に似つかわしくない軽やかな音がして、馬車から何者かが降りてきた。

 足音が近づいてくる。彼女はあっという間にわたしのすぐ背後に立ってしまった。


 サァァ、と血の気が引いていく感覚がした。


 逃げなければ。

 高らかに鳴り響く警報がわたしの脳裏に響く。だが逃げたところでどうなるというのだろう。


「久しぶりね、マティルダ」


 背中の毛がぞわりと逆立つ。振り返りたくないと思った。でも、振り向かずにはいられない。


 次の瞬間目に飛び込んできたのは、恐ろしいほどの美貌だった。

 癖のないストレートの金髪。意志の強い青緑色の瞳。


 見間違えるはずがなかった。彼女だ。わたしの婚約者を奪った憎き女にして実の姉――伯爵令嬢マーシー・ブロードベン。


 どうして、と思った。


 どうして彼女がここにいるのか。どうしてわたしの居場所がわかったのか。どうしてわたしの前に現れるのか。どうして、どうしてと疑問ばかりが湧いた。

 理解できない。けれど確かにマーシーは手が届くほど近くにいて、わたしを睨みつけている。


「あんたが急にいなくなるから探し回ったわ。聖女の実務は全部あんたにやらせる算段だったのに、計画がガタ崩れじゃない!」


 マーシーはわたしに近寄り、腕を引っ掴んできた。

 その力は強く、わたしは前のめりに転けてしまう。そしてその拍子に革靴を履いた足をヒールで踏みつけられた。


「あぅっ……!」


「奇跡が使えるふりをするのは大変だったのよ。おかげで贅沢三昧できないし、殿下には疑われるし。本当に最悪。それもこれも、あんたのせいなんだから!」


 知らない。ただわたしは、全てに愛想を尽かして逃げただけ。これ以上何も奪われたくなくて。


 なのに、どうして隣国まで追って来たのだろう。

 聖女だったわたしを失わせたのは、彼女自身なのに。

 怖い。嫌だ。助けて。


 激痛のせいか思考はまとまらず、姉への恐怖で覆い尽くされた。


「さっさと来なさい。あんたは私を輝かせるため、日陰で生きる定めなの。わかるでしょ? あんたより私の方が美しいって」


 神に与えられし奇跡の力では、単純な暴力には勝てない。

 小柄でやわなわたしはすぐに姉に捕まってしまった。そのまま抱え上げられ、馬車に乗せられる。


 ――また、わたしは奪われなければいけないのか。


 ああ、こんなことなら一晩泊めてもらえば良かった、と思った。

 一時的であっても治癒の旅を続けていいと言われたのだから、騙されたつもりで求婚を受けておけば良かったかも知れない。

 でもまさかこういう事態になるだなんて思いもしなかったのだから仕方ない、と無意味な言い訳をする。


 このままわたしはミラウェル聖王国に連れ戻され、影の聖女としてこき使われるのか。

 逃げ出せればいいけれど、そう簡単ではない気がする。そんな風にグダグダ考えているうちに馬車がガタンと揺れ、発進し……。


「どうしたのよっ!」


 マーシーの鋭い怒声が響いた。


 それでハッと我に返ったわたしは急いで周囲を見回す。

 馬車が揺れたのに動いていない。それどころか車体が思い切り横倒しになっている。


 そしてその衝撃で不自然に歪んだ扉が開き、何者かが姿を現した。


「俺の恩人が連れ去られようとしているのをたまたま見かけたのでな。横槍を入れさせてもらった」


「あんた誰!?」


「貴様のような不届き者にあんた呼ばわりされる謂れはないが、答えてやろう。俺はキネシーの王だ」


「王ですって!」


 堂々と登場したのは、つい二、三時間前に王城でわたしを見送っていたはずのウィルフリッド様。

 彼は馬車へ乗り込んできて、マーシーへ短剣を突きつけながら言った。


「彼女を離せ。従わなければ斬る」


 マーシーは美人だ。どんな男でも絆されてしまいそうなほど美人だ。

 しかしウィルフリッド様は少しも躊躇うことなく彼女へ剣を向けている。そのことがわたしは信じられなかった。


「……あらまあ、失礼いたしましたわ。ご無礼をお許しくださいませ?

 キネシー国の国王様、誤解なさっているようですのでどうか説明させてくださいな。この娘は私の妹ですのよ。勝手に家出したこの娘を連れ戻しにきただけですわ。誘拐犯ではございませんのでご安心くださいませ」


 相手が王と知った途端にころりと態度を変えたマーシーが微笑みながら言う。

 先ほどとはまるで違う理想の淑女の顔だった。


 これを見せられれば、どんな男でも落ちると祖国では言われていた。

 ――けれども。


「では彼女の名前を言ってもらおうか」


「「……え?」」


 わたしと姉の声が重なる。


 姉は、ウィルフリッド様に投げかけられた予想外の質問に。

 わたしは、姉の笑顔を見てもなお変わらぬ彼の超えの冷たさに。


「妹の名前はマティルダですわ、国王様。マティルダ・ブロードベン」


「……やはりただの誘拐ではないか。俺の恩人の彼女の名はティリーだ、マティルダではない」


「はぁっ!?」


 わたしはもはや、なんと言っていいのかわからなくなった。

 姉の言う通りで、わたしは確かにマティルダだ。ティリーというのはその愛称。それくらい、少し聞いたら馬鹿でもない限りわかるはずなのに。


 もしかして、いいや、もしかしないでもウィルフリッド様は、わたしを庇ってくださっている?


「誘拐は重罪だ。詳しい事情は牢屋で聞かせてもらうとしよう」


「……どういうことですの! 私はただ!」


 しかし喉元に剣先を向けられたままのマーシーはただ震えるだけで、ろくに反論できないようだ。

 彼女は次の瞬間、どこからともなく現れたキネシー国の兵によって取り押さえられてしまい、馬車の御者と共に縄で縛り上げられて地面に転がされることになった。


 そんな姉の姿を見つめるわたしはただただ呆然とするしかない。

 あの姉が、こうもあっさりと捕らえられてしまったのだから当然だった。


「大丈夫か、ティリー。……足から血が出ているじゃないか、クソ、あの女」


 何を勘違いされたのか、踏みつけられた足の激痛のせいで黙り込んでいるのだと思われたようだが、もちろんそんなわけはない。

 わたしが「大丈夫ですっ」と叫ぶと、一瞬だけではあるが殺意を溢れさせていたウィルフリッド様はどうにか暴走しないでくれた。


 代わりに、わたしの体は彼にぎゅっと抱きしめられることになってしまったけれど。


「近いです。離れてください」


「いいだろう、これくらい。きみ、震えているだろう」


 確かにわたしは震えていたし、恐怖で体がガチガチになっていた。

 しかしこれとそれとは話が別だと思う。


「で、ですが……。あんまりいっぺんに色々起こり過ぎて、わけがわからないんです!

 ウィルフリッド様、わたしのこと尾けてたんですか? どうして彼女――マーシーからわたしを助けてくれたんですか?」


「ああ、そうだ。俺はきみのことが心配で、ずっと後を追ってた。護衛三人を従えてな」


 信じられない。先ほど姉のことをあれほど厳しく断罪していたくせに、それでは変質者ではないか。

 しかし彼に救われたのは事実なので不満は言えなかった。


 あのままではきっと、わたしは姉に連れ去られ、祖国に戻され馬車馬のように働かされることになっていただろう。


「ありがとう……ございます」


「迷惑だとはわかっていた。でも今はきみを守れて良かったと思っている。これで、おあいこだな」


「……そうですね」


 けれど後腐れなくさようならとはならないだろう。

 案の定、彼は淡々とした調子で続けた。


「ティリー。あえてそう呼び続けることを許してくれるか?」


「はい」


 ウィルフリッド様は、すでに全てを察しているのだろう。元聖女マティルダであることも、それをひた隠しにして今日までこの国で生きてきたことも。

 その上で何を言われるだろうかとわたしは身構えた。


 だが、告げられたのは信じられないほど甘い言葉ばかりで。


「どうやら俺はきみを諦められないようなんだ。恋の病というやつで、こうしてこっそり尾けずにはいられなかったほどきみのことばかり考えてしまうほどぞっこんになってしまった。だから」


 今度は耳元で囁かれる。


「まずは婚約からでもいい。俺の婚約者になってくれないだろうか、ティリー。……きみのことは絶対に俺が守るから」


 姉に襲われたことへの怯えが残っていたせいだったのか、助けられた安堵があったからなのかはわからないけれど。

 わたしは思わず、頷いてしまっていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ――さて、その後、彼は言葉通りにわたしのことを徹底的に守ってくださった。


 ミラウェル聖王国の聖女ということになっているマーシー・ブロードベンが誘拐罪で囚われたとなった途端、トマソン殿下を筆頭にマーシーに買収された教会の連中などがキネシー国に乗り込んでこようとした。

 マーシー、そしてわたしの身柄を求めて。

 しかしウィルフリッド様は元聖女マティルダが冤罪をかけられたという証拠を示し、トマソン殿下たちの罪を容赦なく暴いていった。


「国際問題にしたくなければこの愚か者どもに相応の処罰を与えよ」


 その旨を示した書簡を送りつけられたミラウェル側は真っ青になったらしい。


 兵力はキネシーの方が上。到底ミラウェルが勝るはずがない。

 聖王陛下はさすがに事態を重くみたのか、息子のトマソン殿下から王位継承権を剥奪かつ平民へ落としただけではなく、腐った教会を解体し、自分も王を引退。マーシーに同調していた多くの貴族も没落していった。

 マーシーはミラウェル聖王国に送り返されたものの、聖女を騙ったとして極刑が決まった。


「私こそが誰もに尊ばれる者なの! なんで!! なんであいつがッ」


 そんな風に牢で醜く喚き散らした挙句、舌を切られたという噂を聞いたが、その情報が正確かは定かではない。

 ただ仮に真実だとすれば、誰もを虜にする美しさを誇っていた彼女が口から血をこぼす姿は、さぞ哀れなものだったろう。


 聖女だけではなく、聖王と第二王子、教会を失って、ミラウェル聖王国は国としての力をなくした。

 その結果、トマソン殿下の兄である王太子殿下がキネシー王国の属国になることを誓い、収まりをつけたようだ。


「どうだ、これでようやく安心できただろう?」


「はい。ありがとうございます、ウィルフリッド様」


 ウィルフリッド様の手腕は鮮やか過ぎた。

 この頃にはすっかり内乱にも決着がついており、キネシー王国は平和そのもの。


 元聖女マティルダはどこへともなく消えたことになっており、わたしはただの治癒術師ティリーとして今も生きている。

 そしてもうすぐ、ウィルフリッド様の妻となる予定だ。


 最初こそ戸惑ったものの、今ではすっかり受け入れている。

 ここまで行動で愛を示されてしまっては、惚れてしまうのは至極当然の話。


 ――それに、ウィルフリッド様は初めて姉よりわたしを見てくれた人だから。


「感謝してくれるなら、俺から一つきみにお願いがある」


「何でしょう?」


「俺のことは気軽にウィルと呼んでくれ。俺たち、もうすぐ夫婦になるのだし」


 そんなことですか、とわたしは笑った。


「……ウィル」


「ティリーは可愛いな。きみの姉だった女より見た目も心もずっと美しい。

 好きだ。今すぐ結婚しよう」


 茶色ではなく色鮮やかなドレスを着せられ化粧を施されても、わたしはやはり姉より美しくなれたとは自分では思えない。

 だがウィルフリッド様――ウィルが可愛いと言ってくれるだけでこんなわたしでも認めてくれるのだと嬉しくなった。


 抱き寄せられ、唇にそっと口付けられる。

 頬がカァっと熱くなるのを感じながら、わたしは小さく微笑んだ。


「わたしも愛してます、ウィル」




 かくして、姉に聖女の座も婚約者も奪われて国を出たわたしは、若き国王の妃となり、愛し愛されながら生涯幸せに暮らすことになった――。

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― 新着の感想 ―
使える女の囲い込みっすね。 そうでなくて本気で恋愛感情だけで国王が結婚決めたのならこいつも婚約破棄王子と同レベル。
[一言] 自分にはウィルフリッドが「偶然毒傷の治療をされたことで、その力の有用性に気がついて囲い込む為政者」にしか見えなかったなぁ
[良い点] まぁこれだけ徹底的に制裁してくれたらスッキリしますね!
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