妖精さんに会いました
「おめでとう。柊優美。君は魔法少女に選ばれた!」
私は寝ぼけているのでしょうか。
そんな呑気な事を思いながら、私は、目の前に浮いている可愛らしい翼の生えた犬のお人形さんに話しかけました。
「あなたは何者なんですか。それに魔法少女とは?」
混乱した状態のまま私は、思ったことを口に出してしまいました。
「落ち着いて。まあ、いきなりこんなこと言われたら戸惑うに決まってるよねー。僕ったら、うっかりしちゃってたよ。」
「まず最初に僕の紹介でもしておこうか。」
そう言ってお人形さんはパタパタと翼を羽ばたかせながらその場でくるくると回りながら言いました。
「僕の名前はキルだよ。よろしくね!」
「は…はい…よろしくお願いします…。」
「ごめんごめん、なにしろ僕も急いでてね。僕たちが
話している間に奴らも動き始めている。」
キルさんは少し焦った様子で私に説明し始めます。
「僕は、君たちの世界では《妖精》と呼ばれている存在だよ。」
「よう…せい…。」
「そして、この世界を《怨龍》という組織から守っているんだよ。正確には僕は直接手を出す事が出来ないから魔法少女が、だけどね。」
妖精なんて信じられない話ですが、空を飛び、喋るお人形さんなんて、私は生まれてこの方見た事も無かったものですから信じるしかないのでしょう。
「あの!質問よろしいでしょうか。」
「ん。なんだい?」
キルさんは私の質問に答えてくれるようです。
「その…怨龍というのは一体何なんですか?」
「そうだね…まあ、簡単に説明すると悪の組織みたいな感じだよ。」
「ほら、小さい頃にテレビで見たことあるだろう?世界征服なんかを目標にしていて、街で暴れている奴らさ。」
そう説明して貰ったのですが、私の両親が生きていた頃、私は役立たずでしたからテレビを見せてもらう事は出来なかったし、学校でも、鈍臭い私なんかと話してくれる人なんて一人を除いて居なかったので、悪い人たちみたいなもの、としか分かりませんでした。
「もし、その怨龍がいて街で暴れているとしたら今頃大騒ぎになっているのでは?私はそのような事一度も聞いたこともないですよ。」
「そりゃそうだろうね。何しろ怨龍と戦う時は結界の中で戦うし、街に被害が出ていたとしても魔法でどうにでも出来るんだよ。」
「とにかく、優美には魔法少女になって怨龍から世界を救って欲しいんだ!」
私が、魔法ってすごいな、と考えているうちになんだかとんでもない話になっていました。
「わ…私!?無理ですよ!」
「大丈夫さ!君の他にも魔法少女はいる。その娘たちと協力すれば戦えるはずだよ。」
「とりあえず魔法少女になる契約をしようか。」
「え、ちょっと、待ってください!」
驚く私を尻目にキルさんは聞いたことのない言葉で詠唱を始めていき、夜だというのに部屋の中は真っ白な光に包まれてしまいました。
つい、眩しくてつぶってしまった目を開けて鏡を見ると、そこには黒色のセーラー服を着て、猫のお面を被り、黒光りする刀を持った私が立っていました。
「……無印…ハズレか。」
「キルさん?何か言いましたか?」
私が変身した後にキルさんは何か呟いていましたが、声が小さくて聞き取れませんでした。
「いや、何でもないよ。それよりも今から戦いに行こうか。」
「今からですか?!もう深夜ですよ?」
「そう、深夜だよ。この時間帯にしか怨龍は活動しないんだ。」
そう言いながらキルさんは魔法陣を展開していきます。
「あっちへ行ったら他の魔法少女に色々教えてもらいなよ。それじゃあ僕は忙しいからこれで失礼するね。」
「まっ…」
待ってください。という間も無く私の視界は光に包まれてしまいました。
皆さんはじめまして。私は小説を書くのはこれが初めてで、おかしな表現があったりなかったりするのでそこは多めに見てくださいm(_ _)m
ちなみにどのように終わらせるかはまだ考えてません。
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