召喚者
私は生まれて初めて人間と出会ったけど、まさか、首に縄をかけられて引きずり倒されるとは思わなかった。
「やっと見つけた。まさかドラゴンだったとは思わなかったぞ。俺の言葉が理解出来るか?」
私が繋がれた縄の先を持った男が喋りかけてきた。
黒髪で細い切れ目の顔立ちの青年だったけど、着ている服はボロボロだった。
私の体を押さえつけて起き上がれない様にしていた。
喋りかけて来たので、私の気持ちを伝えようと思いっきり牙を見せて唸った。
「グゥルルー」 (さっさと、どきなさいよ!)
「俺の名はルーク、兄と共に我が国の救世主たる者を召喚した剣士だ。召喚は見事成功したが、兄は召喚時に生命力を全て使い果たし亡くなった。わかるか、ドラゴンの子供よ。お前はもっとも優秀な魔法使いである兄貴が命をかけて国を守るために呼ん」
ルークと言う男が全部喋る前に急に私に覆い被さるように伏せた。
その一瞬後、ルークのすぐ上を稲妻が横にはしった。雷鳴と共に黄色いドラゴン、お兄ちゃんが私が通ってきた穴からやってきたのだった。
怒りの気持ちと共に大きな唸り声を響かせた。
私もさっきは、まぁまぁかっこいい感じの唸り声を出せたと思ってたんだけど、恥ずかしい。
顔が赤くなった。
元々皮膚赤色だから全く気付かれないだろうけど、それぐらいお兄ちゃんの唸り声は凄かった。
お兄ちゃんが何かする前に、ふっと辺り一面が暗くなり、空から暴風の様な風圧を受けた。
山が崩れるんじゃないかって思うぐらいの唸り声が辺り一面に響き渡った。
凄まじい怒りと共にお母さんドラゴンがやって来た。
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