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束の間の休息

 仕事中の子供達の様子を見に作業小屋へ入ると新しい顔ぶれが増えていた。


 ルークが出陣で不在になり、人手が足りないとの事で、アンナさんの紹介で街から男手を1人、ついでに女性も1人働きに来てもらう事になっていたのだ。


 出発前にそんな話を聞いていたけど会うのは初めてだった。


 女性はマリー・マートン、男性はデル・マートン

 双子の兄弟でジークとルークの親戚に当たるらしい。

 マリーさんは嫁入り前のような気がするけど、徴兵による男性不足で嫁ぎ先が見つからないらしい。


 デルさんは生まれつき右足が不自由で杖をつかないと歩けないそうで、徴兵は免除されたけど、働く場所が中々見つからなかったらしい。


 2人とも読み書きもしっかりしていて、デルさんは加工した甲羅や魔石、干し肉の販売担当。マリーさんはアンナさんに変わって子供達の食事作りの指導や、掃除の指導、小さな子供達のお世話に怪我の手当までなんでもしてくれてるらしい。


「きゅうしょく、すごく美味しくなったのよ」

 リサが嬉しそうに教えてくれた。


「ほんと!楽しみだな」


「フレアちゃんは疲れてるでしょうから、後で屋敷の方に持っていきますね。さあ、迎えですよ」


 マリーさんに言われて入り口をみるとルークが作業小屋にやって来るところだった。



 屋敷に戻ると、そのまますぐにお気に入りの暖炉の前のソファに座り込むと、部屋の匂いを思いっきり吸い込んだ。


 少し埃っぽいけど、日向の匂いがした。


 少し目眩がしていたので、そのまま目を閉じて耳を澄ませる。


 大きな窓から鳥の声と風が木々を揺らす音だけが聞こえて来る。


 ルークが横のソファにドシっと座ってため息をつく音も聞こえた。


 アンナさんはまだ街の子供達へ授業をしている時間だろう。


 シュウくんは奥の書斎かな?


 ルークのやつは帰ってきたって、シュウくんやアンナさんに言いに行かないんだろうか?


 まあいいや、私ももう少し休憩したいし、ルークもそれなりに疲れてたんだろう。


 私もルークの事は気にせず、そのまま眠りについた。



 モヤモヤした音が聞こえて目を覚ますと、テーブルの上に美味しそうな匂いの料理を置くアンナさんの姿があった。


「おかえり、フレア。もうそろそろ起こそうと思ってたところよ」


「ただいま」


 眠たい目を擦りながら返事をしたけど、何か違和感がある。


 『フレア様!』


 どうやらモヤモヤした音はライガーのテレパシー連絡のようだった。


 ソファーから起き上がりながら返事をした。


 『何かあった?』


 すると、ライガー達が続々と窓から室内に入り込んで私の前に整列し出した。


 猫サイズのライガー達がソファーの前に整列しているのをみてアンナさんが心配そうな顔でこちらを見ている。


 『もうすぐ到着します。少しお待ち下さい』


 何が?と聞く前に窓から真っ黒な大型犬サイズのライガーが飛び込んで来ると、あっという間に猫サイズになり、目の前にちょこんと座った。


 『ムク、王子の護衛を頼んでたけど、何かあったの?』



 ムクの報告は驚くものだった。


 アサイ国が正式にシュード国から独立したかわりに、アサイ国の徴兵された人達がトム共和国というところで身動き取れなくなっている。それを私に助けに行って欲しいとの事だった。


「おかえり、フレア」


「起きたか、ん?」


 シュウくんとルークが部屋にちょうどやって来たけど、ムクを抱っこしたまま、固まっている私を見てルークが異変に気付いてくれた。






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