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出会い

 私が卵から生まれて1ヶ月がたった。


 何をしてたかと言うと、ただ食べて寝てちょっと動いての繰り返しだった。


 小学生の頃の夏休み以来のだらけっぷりだと思う。けど、問題ないの。だって、私は生まれたて!赤ちゃんだもん。


 どうやら半年ぐらいは空も飛べないらしく、今は食べて寝て体を大きくする時期らしい。


 今でもゴールデンレトリバーぐらいの大きさだけど、空を飛ぶには羽の大きさが足りないみたい。


 もちろん、ただ食っちゃ寝してたわけじゃない。同じ家?に住むドラゴン達の名前を覚えていた。なんでも50年ぶりの家族らしくみんな珍しがって会いに来てくれた。


 50年前に産まれたのが、初日に妹よ!って叫んでたお兄ちゃんだ。可愛がってくれてるのはわかるけど、ちょっとめんどくさい。

 私も歳の離れた弟を溺愛してたから気持ちは分からなくもないけど。


 ドラゴンに生まれ変わって、何より嬉しかったのは、歩けるようになったことだ。2度と歩けないと思っていたのに。


 逆に悲しい事はこの見た目、そのうち慣れるかもしれないけどまだ無理。いまはなるべく見ないようにしている。まぁ、どこ見てもドラゴンばっかなんだけど。


 それともう一つ、人間の頃の家族に会えない事だ。大きくなってどこにでも飛べるようになっても、きっと家族には会えないだろう。


 だって、この世界の月は大き過ぎる。ドラゴンも魔獣(エサ)も私のいた世界にはいなかったもの。


 ふとした瞬間にお母さんや弟の事が恋しくなる事があった。

 きっとお母さん達も私が死んで悲しんでくれてるだろう。私も悲しくて堪らなくなるのだ。


 けど、お母さんドラゴンは心で会話しなくても私の感情を読み取れるようだった。


 なので、お母さんドラゴンに心配させないようにトンネルを通って、岩の外側へ行き小さな窪みで泣いたりしていた。


 その日も、ひとしきり泣いて少しスッキリしたので、またトンネルを通って戻ろうと思っていた。


 その次の瞬間には首を引っ張られ岩に押し付けられていた。


 突然の事に呆然となったけど、すぐに誰かに何かされたのだと気付いた。


 本能で危険だと感じ、今まで出したことの無い叫び声が口から出た。


 「ピューーーー」


 「暴れるな」


 静かだが、淡々とした声が響いた。

 

 なんとか首を持ち上げてみると、青年が私を捕まえていた。


 ドラゴンになって初めて会う人間だった。


 (何するのよー)


 「キューーーー」

 

 

 

 


 

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