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スーシーカ砦-2

 ジーザンが気がつくと空中をとてつもないスピードで移動していた。


 巨大な目に見えない何かに両腕をがっちりと掴まれて、上空を運ばれているようだった。


 ジーザンは剣を腰に付けていたが両腕を掴まれているのでどうする事も出来なかった。


 チャンスがあるとすればどこかに着地した瞬間だな

 ジーザンは瞬時に状況を把握し、すぐに冷静さを取り戻した。


 ジーザンは川の上流へ、岩山が連なる場所に、一際高い岩山があった。


 その岩山の頂上に向かってジーザンはゆっくり下ろされた。

 ジーザンはふらつきながらも、倒れる事もなく着地したが、そのまま岩山の頂上に立つ人物を睨みつけた。

 と、同時に暴風と共に、突然目の前に巨大なドラゴンが姿を現し、男の後ろに降り立った。

「お前はアサイ国の王子か?」


 ジーザンが剣の柄に手をやり目の前の男に尋ねた。


「いえ、私はアサイ国のルーク。こいつはドラゴンのフレア。無理矢理連れてきた事は先に謝ります。ただ、あなたにはこいつの存在を知った上で結論を出して欲しかったので」


 ジーザンはルークと名乗った青年とその後ろからこちらを見つめているドラゴンを見た。


「つまり、そのドラゴンを従えて砦を落とすから、無駄な抵抗はやめろと言うことか?」


「理解が早くて助かります。彼女にかかれば砦を守る兵を皆殺しにする事は造作もありません。だが、それは我らの本意ではない。あなた方、ヤマム国とは良き隣人でいたい」


「ならば、なぜ砦を襲撃する?」


「シュード国の命令です。逆らえば我が国に未来はない。だが、砦を落とせば、シュード国の支配から逃れる事ができるのです」


「砦を明け渡さなければどうするつもりだ。俺を殺してそのドラゴンに砦を襲わせるのか?」


 その言葉に反応したようにドラゴンが身動きした。

 息を吸ったかと思うと、50mは離れている別の岩山をひと吹きの炎で跡形もなく消し去って見せた。


「このように、砦ごと消滅させます。砦を残しておけばシュード国にヤマム国を攻める足掛かりを与えてしまうので」


「砦ごとか・・・、俺だけで判断出来る事じゃないな」


 ドラゴンを今ここで仕留めるか、イヤ、目の前のルークと名乗った男、弱くはない。


 ドラゴンと同時に相手取るのは厄介だな。


 ジーザンがそう考えているとドラゴンがルークの後ろからずいっと前に出るとジーザンとルークの間に割って入った。


 ジーザンはドラゴンの目に知性を感じた。


「返事は3日後、本隊が砦に到着する時で構いません」


「いいだろう。砦はどちらにせよ、破壊するのだろうな?」


「はい、そのつもりです」


 ジーザンは頷き岩山の上での話し合いは終わった。



 ジーザンはスーシーカの街が見渡せる丘の上で飛び去っていくドラゴンと男を見送った。





 


 

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