昼帰り
フレアは朝になっても帰って来なかった。
「大丈夫かしら、今まで朝になっても帰って来なかった事はなかったわ」
「心配ですね、体調も良くなかったですし」
「あいつはドラゴンだぞ、心配し過ぎだ」
そう言いながら、パンを食べようと手を伸ばすと、お皿をひょいと取られてしまった。
アンナがこちらを怒った目で見ながら言った。
「何言ってるの!あんなに弱ってたのに。俺が聞くって言うからあなたに任せたのに、女心が分からないの所はジークとそっくりね」
「いや、ドラゴンに女心って・・・、森の向こうから気配を感じるから、生きてるだろ」
「じゃあ、探しに行きますか?」
「俺たちじゃ時間がかかり過ぎる。あいつの足で1、2時間の距離でも俺たちじゃ1日がかりだ。行き違いになる可能性の方が大きいだろうな」
「じゃあ、どうするのよ?」
少し怒りかけのアンナが詰め寄って聞いてきた。
「明日の朝まで待って帰って来なければ俺一人で探しに行く。一人の方が速いからな」
シュウが一緒に行くと言う前に先手を打って言うと、シュウも少し考え納得してくれた。
「そうですね、もう少し待ってみましょう。どこかで寝ているだけという可能性もありますからね」
「そう言う訳でメシ食べても良いかな」
恐る恐るアンナに聞くとアンナが手に持って離さなかったパンのお皿をルークとシュウの前に置いてくれた。
フレアの気配を感じるには、集中する必要があり常にどこにいるか把握しているわけではない。
お昼過ぎ、試しに気配を探ってみると、どうやら移動しているようだった。
朝よりもこちらに近づいて来ていた。
やっぱりどこかで休んでいたのだろう。すごいスピードでこちらへ向かって来ているようだった。
アンナ達に声をかけ、屋敷の外に出てみるとすぐ目の前の木に稲妻が落ちてきた。
少しズレていれば、当たっていた。
これは・・・、
ルークが足を止めて、空を見上げると、庭に大量のスターボーンが空から雨のように降ってきた。
スターボーンの甲羅同士がぶつかる音と砂煙が落ち着くのを待って、もう一度空を見上げると、フレアの5倍は大きなドラゴンが飛び去って行った。
ドラゴンが飛び去った後に空から子供の姿のフレアが落ちてきてスターボーンの山の上に降り立った。
アンナやシュウも轟音に驚いて出てきたようだった。
「ただいま」
照れ臭そうに言うと、スターボーンの山から飛び降りると驚いている3人の顔を見た。
「あのね、私3人に謝らないといけないの。私、自分一人で解決しようとし過ぎてた。みんな心配してくれてたのに、相談もしないで。私、ドラゴンに生まれる前は足が動かなくてずっと誰かに助けて貰わないと何も出来なかったの。けど、ドラゴンに生まれ変わって、自分で出来る事が増えてほんとうに嬉しかったの。だから、自分で出来るなら私一人でやらなきゃって思ってた。けど、それは間違ってた。みんなを仲間をもっと頼って生きて良いんだって気付いたの」
ここまで一気に喋ると3人の顔を見た。
「話してくれてありがとう。フレア」
アンナはそう言うとわたしをそっと抱き締めてくれた。
「あの飛んで行った奴はおまえの兄貴か」
さすが、ルーク察しがいい、と言うか、ルークに雷を落とそうとするのはお兄ちゃんだけだけど。
「そうだよ、お兄ちゃんに会って、私の不調の原因も分かったし、色々話して私が間違ってたって教えてくれたの」
「原因が分かったんですか。なんだったんですか?」
私は屋敷の中に入って3人にスターボーンの肉がダメだった事をしっかりと説明する事にした。
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