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不調

 「おい、フレア調子悪いのか?」


 そんなことを言われたのはマット達が働きに来て6日目の昼休憩のときだった。


「別に普通だよ?」


 日中はずっと寝ていたけど、ご飯の時だけはしっかり起きてみんなと食べるようにしていた。


 マット達にも会って、少しずつ元気になって生き生きしていく子ども達を見るのがここ最近の唯一の楽しみだった。


「そうか?フレアは俺達の雇い主だからな、元気なら良いんだ」


「マットのやつ、フレアちゃんの事めちゃくちゃ気にしてるんだよ」


 リサが横から教えてくれた。


 アンとリサはマットと刈り上げくんとも年が近く、この4人が子供達のまとめ役の様だった。


 今の私の姿とも同じくらいの大きさなので、会うと女子トークをする仲になっていた。


「心配かけてごめんね、ちょっと寝不足なだけだから」


 私はそう言って仕事へ戻っていくマット達を見送った。


 屋敷へ戻ろうと歩いていると、後ろからルークが追いかけて来た。


「おい、ちょっと待て、話がある」


「何?急いでるんだけど」

 私はルークの方を振り返らずに、速歩きで屋敷に向かった。


「お前、本当に何とも無いのか」

「さっき話してたでしょ、何とも無いよ」


 私は嘘をつくのが得意ではなかったので、ルークの顔は見ずに答えた。


 すると、いきなり手を掴まれて、ルークが顔を目の前に近づけた。


「俺の目を見てもう一度言ってみろ。マットと違ってこっちはお前が産まれてからずっとお前を見てるんだ。ここ2、3日は動きも遅いし、炎のコントロールも出来てないだろう。お前の様子がおかしい事ぐらいアンナ達もとっくに気付いてるぞ」


「ち、ちょっと疲れてて寝不足なだけ、休んだら良くなるから、大丈夫」


 手を振り払おうとしたが、子供の姿ではルークには敵わなかった。


 さらに、体が一気に重くなり立っていられなって、ルークに体を受け止められた。



「俺もそう思っていたが、明らかに悪化してるだろう。お前は大丈夫としか言わないな。みんなお前の事を心配してるんだぞ」


「大丈夫、ちゃんとこの国の救世主としての役目を果たすから、スターボーンの事は私が始めた事だから、私がちゃんとやらないと」


「お前・・・、」


 私はルークの言葉を最後まで聞くことなく強力な眠気に襲われてそのまま意識を手放してしまった。



 夜になって目を覚ますと暖炉の前に寝かされていた。


 そばにいたルークが私が起きたのに気づくと、何とも言えない顔をした。


「そろそろ、夜襲が」


 そう言って起き上がろうとすると、ルークにオデコを抑えられまた寝かせられた。


「今日で、お前のとって来たスターボーンは全部解体し終わった。念の為、今晩は俺とシュウで見張るから心配するな」


 集まって来る魔獣は強くは無いので、ルーク達でも問題は無いと思う。

 けど、スターボーンがいないなら捕まえなければ。


「じゃあ、スターボーンを狩って来ないと、明日からのマット達の仕事がなくなっちゃう」


「子供達にどれだけ働かせるつもりだ。明日は休みだと伝えてある。明後日からは魔石の加工や燻製作りに加わってもらえば、急いでスターボーンを狩りに行く必要はない。まずはお前の体調を整えろ。お前が倒れればジークに申し訳が立たない」


「そうだね、ジークが命がけで私を契約したんだからね・・・」


 私はそう言って立ち上がると、ルークを見上げた。


 なんだか、少し悲しかった。


「よし!今から狩って来る。夜の方がスターボーンを捕まえやすいし。じゃあ!」



「なんで、そうなる!?おい、待て」



 そのまま窓から外へ飛び出るとドラゴンの姿に戻って夜の空へ飛び立った。







 




 





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