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解体作業

 あいつなりに街を見て、子供達と出会って考えた結果が、子供達に仕事を作る事とはな。


 あいつなりに考えた上での行動だろうが、どこまで上手くいくかどうか、

 俺に出来る事は、ジークが信じた希望を信じるだけだ。


 ルークはもたれかかって寝息を立てているフレアを片手で落ちないように支えながら、屋敷へ帰っていった。



 次の日の朝、時間通りに子供達がやってきた。

 あの廃墟に住む全員が来たようだった。


「俺の名はルーク、俺とシュウが解体作業の手本を見せるから同じように3人組で1頭解体してみろ。

 まだ解体作業の出来ない奴はそっちで、あの建物の中を掃除しろ」


「「「はい、よろしくお願いします」」」


「よし、アンとリサ、2人はティムとゴウヤとリリーと一緒に掃除を頼む。残りは解体作業だ」


 マットの指示で子供達がテキパキと動き出した。


 スターボーンは夜中の内に数頭、屋敷の前の庭から林の中にある広い空地に移動させてあった。


 帰ってからもずっと寝ていたフレアが夜中に目を覚ますと、スターボーンの手足をもいで、甲羅を剥がして、胴体部分は食べ、残りの甲羅部分と魔石のついた手足を空地に運んでいた。


 前もって硬い皮膚から甲羅を剥がしてあるので、それだけでも、解体作業は大分楽になる。


 甲羅付近には子供達が食べても十分過ぎる肉が付いており、その肉を削ぎ落としたり、手足から魔石を取り出すのが、子供達の仕事だった。


 空地の横には作業小屋のような、木製の建物が建ってあったが、以前から使っておらず、物置のようになっていた。

 掃除をすれば、子供達の休憩所にちょうど良いので、解体作業が難しい小さな子供には掃除させる事にしたのだった。


 お昼前になると、街の子供達に勉強を教えていたアンナも帰って来て、掃除をしていた子供達に指示を与えて全員分のご飯を用意してくれた。


「よし、休憩だ」


 声をかけると子供達は喜びの声を上げながらご飯を渡しアンナの前に集まって行った。


「あの、ルークさん」

 シュウと片付けをしているとマットが声をかけて来た。

「なんだ?」


「フレアはいないんですか?」


「あいつは寝てるぞ、何か用か?」


「寝てるんですか?用はないんですが、俺達に声をかけといて、言い出しっぺの癖に、後は興味ないって事かよ」


 最後の言葉は自分に向かって喋っているようだった。


「いやいや、フレアは夜中に働いてたから疲れてるんだよ。後でお昼ご飯を届けて起こすから後で来ると思うよ」


 シュウが笑顔でマットの誤解を訂正していた。


「そうなんだ、いや、おれじゃなくでアンとリサが気になってるみたいだったから。ありがとうございます」


 マットはそう言うと仲間のところへかけて行った。


「それで、あいつの体調はどうなんだ?」


 笑顔のシュウに小さめの声で尋ねた。


「本人の言う通り疲れてるだけだとは思います。寝て食べたら回復するって言ってたし、昨日よりも元気そうに寝てましたよ」


「元気そうに寝てるってなんだ、それは」


「ハッハッ、後でご飯届けてあげて下さい。元気そうですから」



 午後からはアンナも掃除組に加わって作業を再開した。


 解体作業もこのペースで行けば1日に4匹程出来るだろうな。


 午後の作業の指導は少しシュウに任せてフレアの分のご飯を持って屋敷へ戻った。


 テーブルにご飯を置いて暖炉の前で寝ているフレアへ言った。


「おい、メシだぞ、起きろ」


 ムニャムニャと口を動かしながら気持ちよさそうに毛布に包まって寝ている姿は普通の子供にしか見えない。


「はーい・・・、なんだルークか」


「メシを持ってきてやって、なんだとはなんだ」


 フレアは伸びをして起き上がると用意したご飯を食べ始めた。



「みんな来てる?」


 なんでもないふうを装って聞いてきた。


 夜中、スターボーンを空地に運び終わった時に、人の姿に戻ってボソッと、


 誰も来なかったらどうしよう・・・


 呟いていたのを知っている。


「来てるぞ、全員で来たようだ。マットがお前を探してたぞ」


「そうなんだ」


 フレアは嬉しそうに肉を頬ばった。




 午後からはフレアも少し顔を出したがまだ体調が優れないのかすぐに屋敷へ戻っていった。


 夕方、作業終わりに今日の報酬として、甲羅から剥ぎ取った肉をマット達へ渡し、彼らは明日以降も来る事を約束して嬉しそうに帰って行った。












 

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