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フレア

 私は心の中で呪文を唱えると、同時に生前の自分の姿をイメージしてみた。あ、歩いてる姿ね。


 魔力が全身を駆け巡る感覚と共に、目を恐る恐る開けて見ると、今まで上から見ていたはずのシュウくんを見上げていた。


 自分の手を見ると、硬いゴツゴツした赤い皮膚ではなく人のような手になっていた。

 自分の顔を触ってみると、懐かしい鼻や口の形をしていた。

 恐る恐る体を見ると、人間の姿に成って自分の足で立っていたのだ。


 「やったー!成功したよ、私。シュウくん!!」


 嬉しくて嬉しくて目の間にいたシュウくんに抱きついて喜びを伝えた。


 シュウくんは何も言わず、驚いた顔のまま固まっている。


 「どうしたんだ?」

 「どうしたの」


 ルークとアンナが私も声を聞きつけて2人同時に部屋に入って来た。


 私は2人に向かって喜びを伝えた。


 「アンナさん、ルーク成功したんだよ!やっと人間の姿に慣れたの。凄いでしょ!!」


 「あなた・・・、まさかあのドラゴンなの?」


 「マジか・・・」


 どうやらルークもアンナさんも驚いている様だった。


 確かに自分で言うのも変だけどあんな巨大なドラゴンがいきなり人間の姿になったら驚くのも無理は無い。

 私は少し落ち着く事にした。

 

 そして落ち着くとシュウくんの顔が赤い事に気付いてしまった。


 もう一度、自分の体を見ると当たり前だけど、何も身に付けていなかったのだ。


 私は慌てて、シュウくんから離れて、ソファーの後ろに隠れた。


 ソファーの後ろにしゃがみながら、よく見ると手足が生前より少し小さい気がする。

 目線も生前より低くなった気がするので、今の私は子供の体型かもしれない。

 けど、素っ裸で男の子に抱きつくなんて、なんて事をしたんだろう。


 今度は私が顔を赤くする番だった。


 アンナが近くのタオルケットのようなものを私にさっとかけてくれた。


 「ありがとう」


 私はアンナにお礼を言った。


 「本当に人間に変身出来る様になったのね、ドラゴンさん。いえ、ドラゴンちゃんかな。女の子だったのね」


 「フレアって名前です、私。お父さんドラゴンがつけてくれました」


 「まさか、成功するとは思わなかったぞ、シュウ、よくやったな」


 ルークは驚ろきつつも私をマジマジと見ていた。


 「?」


 「いや、なんとなく兄貴とアンナに似てる気がしてな」


 ルークのひと言にアンナの目から見る見る内に涙が溢れてきた。


 「私も、どことなくジークの面影がある気がして・・・」


 アンナはそれ以上言葉に出来ないようで、私を抱きしめながら泣き出してしまった。


 私が戸惑っている中、シュウがウンウンと頷き、ルークも驚いている様だった。


 イヤ、私が1番驚いてるんですけど、何この状況?


 「師匠達のされた召喚術は非常に高度なもので、正直謎の部分も多いです。召喚術によって命を落とされたと思っておりましたが、この姿は師匠の意思が反映されたかのようです」


 「あぁ、2人に子供が出来たらまさにこんな感じかもしれないな」


 どうやら私の姿は生前の姿ではなく、ジークとアンナに似ているらしかった。ふと目にかかる髪を見ると、ドラゴンの姿の時の様な赤い色の髪だった。




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