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魔法使いシュウ

 アーノルドさんは私に会うのが目的だったらしく、お供の護衛の人達とすぐに王都へ帰って行った。

 今後、私はルークと、この屋敷を拠点に活動するようにと言い残して。


 と言っても、今のところ何もする事が無いので私は日中に寝て夜に狩りに出る生活、ルークは鈍った体を鍛え直すとか言って剣の訓練をしていたようだ。


 アンナさんは実は屋敷を囲む林の中にある離れの教会のような建物で寺小屋のような事をしていた。


 元々、教育者だったらしく、亡きジークと結婚して屋敷に来てからは周辺の村の子供たちに簡単な勉強を教えていたらしい。


 なので、私以外の2人ともそれなりに忙しくしていた。


 アーノルド王子が帰ってから3日後、また来客があった。


 今度は金髪のメガネをかけた青年がやってきたのだ。


「シュウじゃないか!どうしたんだ?」


「王子よりこちらで救世主のお役に立つようにと申しつかりました。こちらを」


 そう言ってシュウと呼ばれた青年がルークに手紙を渡した。

 

どうやらシュウくんとルークは知り合いらしい。


年齢的に生前の私と同年代みたいなので、くん付で良いかな。

 そう思いながらクンクンと匂いを嗅いだ。


「初めまして、救世主たるドラゴンよ。私は亡きジークの1番弟子にして王城専属の魔法使いです。本日より貴方様のサポートをさせて頂きます」


 アーノルド王子のときもそうだったけど、ルーク以外の人間は私に対して接し方が丁寧だよね。


「キュー」


 そんな事を思いながら、シュウくんに返事をした。


 手紙を読み終わったルークが言った


「事情は理解した。しかし、3ヶ月後に戦場に出すとは急だな。もう少し成長を待ってからの方が良いと思うが、こいつはまだガキだぞ」


「私もそう思います。本物のドラゴンは初めてですが、本によると大人のドラゴンは恐ろしく強く巨大だと載っておりました。しかし、事情がありまして。後でご説明します」


「昔の口調で構わないよ、シュウ。お前は俺達の弟みたいなものだ。向けて使ってた部屋がまだ空いてるから、そこを使えば良い。アンナに紹介するよ」


「ありがとう、ルーク。亡き師匠の為にも全力でこのドラゴンを救世主にしてみせるよ」


 爽やかな笑顔でシュウくんが私を見ながら言った。


 昼間、シュウ君が来て起こされたので、晩ご飯前に暖炉でウトウトとしていると、分厚い本を抱えてシュウくんがやってきた。


 私が顔を上げると、また爽やかな笑顔で言った。


「君は私達の言葉が解るそうだね。けど、君の言葉はこちらには伝わらない。そこでいくつか試してみたい事があるんだ。良いかな?」


 私はコクコクと頷いた。


 こちらの言葉とは言わないけど、考えてる事が伝われば大分便利になるはず。


「よし、いいかい、僕の推測だが、ドラゴンは元々魔力を持ってるはずなんだ。だから、その魔力を使って魔法が使えるように指導しようと思う」


「おい、それは無理なんじゃないか、いくら人間の言葉が解るからって言ってもトカゲだぞ」


「とりあえずやってみるよ。ルークと違って賢いかもしれないだろ」


 トカゲとは失礼な!どうやらルークは魔法は理解出来なかったようだ。


 私は俄然やる気がでてきたのだった。


 そうして、私は日中睡眠時間を削って時間があれば魔法の勉強をする事になった。


 魔法は原理を理解して、なおかつ魔力を持っていれば呪文を唱えなくても使えるらしい。


 そして10日も経つと、基本的な事を理解して初歩的な魔法を使えるようになり、いよいよ意思疎通の為の魔法を教えてもらった。


 まずは、文字を空中に書く呪文を使えるようになったけど、字を知らないので失敗だった。


 言葉は自動翻訳されているようだけど、文字は無理らしく、さっぱり分からなかった。


「なにかの暗号かな?」


 日本語も英語も書いてみたけど、伝わらなかった。


 一から文字を覚えるしかないのかな・・・と思っていると横を通ったアンナが素晴らしいアドバイスをくれた。


「人の姿に慣れたら喋れるんじゃない?」


「人の姿ですか、うーん、確かに意思疎通も出来るし屋敷の外でも目立たないですね。それなら姿を変える魔法がありますが、難易度が高いので理解出来るかどうか」


 私が興味を示したので、シュウは試しに教えてくれる事になったのだ。


 一通りレクチャーを受けて私は試してみる事にした。


 






 

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