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アンナとの出会い

 ルークを乗せたお兄ちゃんと私は岩山を越えて、緑の山を越え人間の住む地域に入った。


 ルークに所々位置を確認をしながら、平原を進み木々の生い茂る森の中に建つ屋敷の前に降り立った。


 お兄ちゃんを見送った後、ルークは迷うことなく屋敷に向かった。


 私も生まれ変わって初めての建物に興奮しながらもルークに続こうとしたら、玄関でつっかえた。


 ルークは玄関でつっかえてる私にお構いなしにズンズン中に入って言った。


「アンナ!」


 ルークの声で、奥の部屋から髪の長いきれいな女性が飛び出してきた。


「ルーク!無事だったのね。半年も連絡がないから心配してたのよ。」


 涙を浮かべながら女性がルークを出迎えた。


「やっと見つけたんだ。ジークが命がけで召喚した救世主だ」


 ルークは無事玄関から室内に入って、部屋を見渡している私を紹介してくれた。


「キュー」


 初対面なので愛想良く返事をしてみた。


 アンナと呼ばれた女性が驚いた顔をして、こちらを見て固まってしまった。


「兄貴と俺とで召喚した救世主はドラゴンだったんだ」


 アンナの目から大粒の涙が浮かびあっという間に、ポロポロと泣き出した。


「ジーク達の召喚術は失敗してなかったのね。ジークの死は無駄では無かった。ありがとう、ルーク。本当にありがとう」


 ちょっと訳がわからない。

 ルークの服の裾を引っ張って説明を求めた。


 どうやらアンナさんはルークの兄のジークの奥さんだった。

 到着した屋敷はジークとルークとアンナさんの3人で住んでいたらしい。

 ジークとアンナさんが結婚してからはルークは剣の修行とかなんとか言ってふらふら旅に出てたらしいけど。


 ルークがアンナさんに事情を説明し終わる頃には当たりはすっかり暗くなっていた。


「明日にでも王都へ言って王子に会ってこようと思う。こいつの面倒をお願い出来るか?」


「任せてちょうだいと言いたいとこだけど、自信は無いわ。このドラゴンに言葉は伝わるの?」


 私は暖炉の前でウトウトしていたけど、話はちゃんと聞いていたので首を上げて頷いた。


「俺達の言葉は理解しているようだ。他のドラゴン達は違ったがな。ただ、こいつが何を言ってるかはわからないな。分かるのは、こうして首を振っての肯定か否定ぐらいだ」


「そう、このドラゴンの言葉も分かると便利なのだけど。そういえば、ジークの部屋にドラゴンに関する本があったかも知れないわ。何かお世話のヒントが載ってるかも知れないし、後で探してみましょう」


「とりあえず、ルークはお風呂に入ってきなさいな。沸かしておいたから。私はごちそうの準備をするわ。そういえば、このドラゴンは何を食べるの?」


 私はごちそうの言葉に耳を立てた。

 まぁ、耳ついてないけど、そんな気持ちって事で。


 ごちそう!

 ただ肉を焼いたりするだけじゃない料理!

 是非食べてみたい!!


「こいつは後で自分で獲物を狩りにいくだろうからいらないぞ」


 ルークがさらりと言った言葉に驚いて一瞬固まってしまった。ガブリと噛み付いてやろうか?


「どうやらそうは思ってないみたいね。食べられそうなものをこのドラゴンにも用意してみるわ」


 アンナは牙を剥き出してルークに唸ってる私をみてステキな提案をしてくれた。


 もう、アンナについていこうと思う。

 尻尾をフリフリしてアンナに感謝の気持ちを伝えた。


 アンナが用意してくれた料理はとても美味しそうだった。大きなパンに、何かの味付き肉、湯気の出ているシチュー、見たことない野菜の入ったサラダもあった。


 私の前の床には大きめの器に入れてそれぞれ並べてくれた。


 私も生前は大学生、常識ある大人だったから、ちゃんとルークがお風呂戻って来るのを待ってから全員が揃うのを待って食べ始めた。

 ちゃんと手を使ってね。

 どれも全部美味しくてあっという間に食べ終わると、食器をテーブルに置いて片付けまで自分でやってのけた。


 居候なのだからこれぐらいは当然だ。


 アンナとルークが何故か驚いていたけど、私は久しぶりの美味しい食事で幸せいっぱいで、気にならなかった。


 そのまま暖炉の前に包まってウトウトとお母さんドラゴンに抱かれる夢を見た。




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