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GLIM〜首つり台の旅人〜  作者: トウヤ
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#1灯-2

#1 灯-2


 静まり返った森にそよそよと風が抜けてゆく。森の中にできた丸い円の中心に倒れた龍の下には金棒で支えられ少しばかり空間が作られていた。龍の下から彼が這い出る。

 

 金棒でつっかえてなかったら潰されて死んでたな。金棒は...後で取るか。それにしても汗が止まらない、この熱さのせいか、一気に緊張感から解放されたせいか。

  

 身にまとっていたフード付きの黒いコートを脱ぎ、その場に腰を下ろし寝転がる。遮ぎるもののない空は広く、とてもあお..


「あっっちいいッッ‼︎ 」



 焼けた大地が背をジリジリと焦がす。

 

 「.....あつい」 


 背についた砂を払いゆらゆらと木陰へと進む、草地にたどり着くと、細い獣道を見つける。草が両側に分けられ、少しばかり踏み固められた草木、森の中に唐突に現れたその道の魅力に吸い込まれる。


 しばらく進むとそこには草木を地面に敷いて作られた寝床があり、倒れ込んだ体を受け止めた。音のない風が吹き抜けた。まぶたを閉じたまま、かすかな木漏れ日を感じ少しずつ息が落ち着く。


 「報告...か」

一言呟き重い体を起こし寝床から離れ、歩き出す。

 彼の去った後には寝床代にと、ナックルベリーが置かれていた。。。


________________________________

 

 グリム王国第十三部隊待機場



 「大丈夫でしょうか・・・」

 大柄の男は臆病そうに身体を窄めながら問いかける。


「・・・龍の雄叫びが聞こえてからしばらく経つが、それ以降何も動きがない。おそらくなんらかの勝負はついたのだろうな」

 細身で切長の目をした男は淡々と答えた。


「たぶん、あいつが死んだんだろ」

スキンヘッドのノンデリカシーバカが2人の話に入る。


「そ、そんなこと言わないでくださいよタオムさん。もう、やっぱり今からでもみんなで行きましょうよ!」


「隊長命令なんだろ?仕方ねーだろ。なぁシヴ」


「ああ、それに意味もなくここに待機しているわけでもない」


「ああ、そうだな、なにせグリム王の血筋を継ぐマックローンと私が考えた策だからな。クムゥ、何も心配なんてすることは無い」

三人の顔色は曇り、半ば呆れた目で招かれざる客を見ていた。 

 

 『フォーン・キアーノ』 マックローン・グリムとは従兄弟の関係性であり幼馴染でもある。


「え、えーっと、じゃあなんで僕らは、待機させられてるんですか?」


「よくぞ聞いた。我ら王国部隊の命はハイブの近くにある森に現れた炎鋼龍の討伐である。しかし、我々は龍などの討伐経験はない、さらにはこの森林地帯にはそもそも炎鋼龍などの強力な魔獣は現れることは無い、となればここに棲んでいる魔獣や獣が逃げてハイブまで降りて行ってしまう可能性もある。そういった事情からマックローンと私が考え出した結果が」


「つまりは、一人で行かせたのは炎鋼龍の討伐はあいつ一人で充分と判断し、俺たちは森から降りてくる魔獣をここで処理する為に残っていると。そういうことですよねフォーン副隊長」


「う、うむそうだがよく私の指令を理解しておるな」

 横槍を入れたシヴを睨む。


「ケッ、けどその隊長は一人だけ街で遊んでんのはねーんじゃねーの。」


「マックローンは遊んでいるわけでは無い。グリム王家の為、ハイブにいる名家に顔を出す仕事がある」


「フンッ、あんな王家の落ちこぼれがか?」


「お前、ただの囚人部隊のお前を王国隊に入れてやった恩を忘れたのか?」


「そんなもん、忘れちまったよ。そもそも俺らみてーな、ゴミどもしかついてこないだけだろ。あんたもキアーノ家の落ちこぼれだしなぁ。」


フォーンは腰に差した剣の柄を掴み睨む。


「お、落ち着いて下さい!タオムさんも失礼ですよ‼︎」


「事実を言っただけだろ。なぁ弱小名家の坊っちゃん」


「貴様ぁ、」 「ダメですっ!」「止めるな!クムゥ‼︎」「おい」「シヴ!貴様もこいつの肩を持つのか‼︎」


「いや、来たぞあいつ。殺ったようだな。」


少し俯きながら歩いてくる男を指差す。


「来たか、まあいいサッサと荷物をまとめろ!炎鋼龍の改修に向かうぞ!」


クムゥは胸を撫で下ろしながら準備をする。


タオムは不機嫌そうな顔をしながら準備をする。


シヴは黙って歩いて来るのを見つめる。


「おいシヴ、貴様も荷物をまとめんかぁ!」


「ああ」一人で炎鋼龍をか...おそらく一度や二度は命を賭けたろうな、異常だな。


遠くの方で腕組みをするフォーンに面倒くささも感じながら彼は報告に向かった。



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