第一王子入りまぁす
「ルシウス・シェイリアスただいま参りました」
(き、きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!)
彼についておさらいしておこう。
彼はシェイリアス王国の第一王子ルシウス・シェイリアス
乙女ゲームのメインヒーローでアイリスと同じく14歳。
ヒロインと恋に落ち、婚約者を忘れ愛に走るいわばクソ王子
である。クソといっても私が悪役令嬢の立場になったから感
じた事であって、前世の私ならきっとイケメンにやられてい
たことだろう。いやむしろ最推しという立場に君臨させてい
たが何か?
金髪碧眼でスラーっとした体、筋肉がついているがボディー
ビルダーみたいな感じではなく、細マッチョというやつだ
面食いの私は彼のスペックにやられないはずはない。
そしてみんなもそうだろうと思っていたのだが、人気投票で
はまさかの3位。1位は誰?2位は?確認すると確かに分から
なくもなかった。
このゲームは隠しキャラが2人いるのだけど、その2人が1位
と2位に君臨していた。
隠しキャラが登場するのは2章からなのだが1章が完結してか
ら2年後の発売だったので私は隠しキャラを攻略していない
(本当にルシウスだと思ってたんだけどなぁ)
「アイリス嬢お久しぶりですね」
「は、はい!」
急に声をかけられて思わず声が裏返った
「ふふ。緊張していらっしゃるのですか?」
笑い方動作全てが優雅だ、さすが王族。しかも3次元になっ
ても顔がいい!!!
白を基調とした衣装、耳には私の瞳と同じ黒色の飾りがつい
ていて、アリーから聞いた話によるとお互いの色をみにつけ
るのが決まりらしい。ロマンチックだなぁ
「はい、少し。……殿下とてもお綺麗ですね。」
(ついつい言ってしまったー!)
こんな純粋な気持ちは初めてでちょっと照れる
まだまだ乙女だなぁ、私。
「アイリス嬢……」
「もう!ルシウス貴方って子はー!そこはアイリス君の方が
素敵だよくらい言ってさしあげなさい!せっかく可愛いアイ
リスちゃんが目の前にいるのにそれに普通なら貴方から言う
べき言葉を相手に先に言われるなんて……」
なにか言おうとしたルシウスをさえぎって王妃様が声を荒ら
げた。
そんな王妃様の変貌に父と陛下は困惑しているが母は優雅に
紅茶をすすっている。ちなみにルシウスは表情一つ変えずに
微笑んだままだ。
(逆にこえーよ……)
「昔の陛下にそっくり、親子揃って本当にダメダメね」
まさかの国で一番偉い陛下にダメダメ発言…。王妃様流石だ
「お、王妃よそのくらいにして」
その陛下の一言で身を乗り出し気味だった王妃様がストンと
座る。
「あら、アイリスちゃんごめんなさい。公爵様とユリアも
ごめんなさいね。この子女心が本当に分かっていなくて」
「だ、大丈夫です」
ほんとに汗が吹き出そうになったわ。
ふぅと安心して息を吐く。
「母上、もうそろそろ時間ではありませんか?」
「そうね、ではルシウス。アイリスちゃんをエスコートして
差しあげて」
「はい。アイリス嬢お手をよろしいですか?」
「は、はい殿下」
私は慌てて立ち上がり殿下の手を取る。
まだ発達途中だけどしっかりごつごつした綺麗な手。
(なんか男の人の手触ったの久しぶりだなぁ)
顔が少し熱くなる。どうしよ真っ赤かもしれない
こんな近くに最推しが……生きててよかったかも。