今世の父と母
「まあまあ!アイリスよく似合っているわ!!素敵よ。これ
で第一王子もイチコロね♡」
うふっとウインクする今世での我が母と
「ふん。今日のパーティでは粗相のないようにな」
ツンツンしてる我が父…………。
「あら、旦那様も素直じゃないですね」
「何を言うか!」
イカつい父と美人な母…完全にこりゃ父親似だわ
「本当はお寂しいのでしょう?私がいるではありませんか」
「こ、子供の前でそんな……!ユリア!」
………んんん?なんか思ってたんと違う!!
悪役令嬢の父だよ、母だよ!?公爵とその妻だよ?
悪役令嬢になるほどだからどんな鬼かと想像してたらぜーん
ぶへし折られたわ!
そういえば前世の父母も仲良かったな…
"もうお父さんったら♡"
"いいじゃないか、久しぶりのデートだろう?"
子供の前でイチャイチャするのはどこの親でも一緒なのかぁ
"あーら凜香帰ってきてたの?肩揉んで♡"
それに今世母のテンションもどことなく前世母と重なる。
語尾にハートを感じるし、周りにお花が見えるよ。ふわふわ
なやつ
「昼食にするぞ。時間が無いんだ」
「はい、旦那様♡」
「は、はい!お父様」
ついにお父様って呼んじゃった……!
…凜香としての世界がなんか遠く感じるなぁ。
本格的に父と母ともお別れか。バイバイ父母迷惑かけたな!
よろしく今世の父と母。
「……お前は王子と会場に入り、ファーストダンスを踊れば
それで良い。後は宰相殿が紹介してくれるだろう
父様達は国王と話すことがあるのでな」
いちいち言葉に棘を感じるけど一応自分のことは父様って言
うんだなぁ。
他人事のように考えながらモゴモゴと肉を頬張る
ただいま絶賛昼食を食しております
「アイリス」
(このお肉美味し……あードレス汚したらダメだなぁ。)
「アイリス?」
デザートはミルクレープじゃなかったけどガトーショコラだ
し文句なし!!
「おい、アイリス聞いているのか?」
「は、はい!お父様!!」
(やば、完全に自分の世界入り込んでた。)
「ふん、同じ態度を第一王子に取らないようにな!」
「アイリスなら大丈夫よぉ」
ね?とこちらを見る母。
うんうんと首を降った。
頭からカチャカチャと宝石が当たる音がする
頭振ったら木みたいに髪の宝石落ちてくるんじゃ………売っ
たらお金になるから金になる木だ…!
なんて馬鹿なことも考えてみる。
そんな木あったら何買うかなぁ。
想像したらちょっと別の意味でお腹いっぱいになった。