ブラックドラゴンVS虹色の集い
ふぅー。間一髪のところだったわね。
「ウフフ。ごめんなさい。大変お待たせいたしましたわ。」
「お、お姉様…。お姉様なのですね。」
「あらあら、レイナどうなさいましたの。」
「う、うぅ。もう、ダメかと思いました…う、うぇーん。」
「うわーーーーん。」
あらあら二人ともよっぽど切羽詰まっていたのね。
「よしよし、二人とも。落ち着いて下さいな。まずはあの黒い奴を倒してしまいましょう。」
「「うん。」」
「しかし、お姉様は本当にお強いのですね。先ほどからドラゴンが火球を打ってきているのに、私達の相手をしながら障壁で弾いていらしたのですね。」
うん。まぁこのくらいわね。私は来てすぐに結界を張りドラゴンからの攻撃を無効化していた。相手が闇属性のため、光属性で吸収している状態だ。
「ウフフ。二人もここの中に居れば安全なので、決して出てはなりませんわよ。あ、それとダリア。トロアとミリアの回復をお願い。」
「はい。分かりました。」
さて、二人の回復はダリアに任せておけば大丈夫だね。ダリアは治癒魔法も回復魔法も得意ですからね。
「ところでお姉様、あのドラゴンは魔法が全く効きませんわ。皮膚も硬いので全くダメージを与えられないのです。一体どうなさるおつもりですか?」
「ウフフ。大丈夫ですわ。あ、そうですわ。折角ですから二人ともあのドラゴンを使って、訓練をしましょう。」
「「くんれん??」」
「そうですわ。ちょうど二匹いるのですもの。私が手伝うのでもう一度其々戦いましょう。」
そうして、私は二人にマナポーションとハイポーションを渡して回復させたのに、一頭づつ相手させる事にした。折角の強敵だもん。勿体ないよね。
ドラゴンからの攻撃は未だに続いている。火球が効かないのに焦れたのか、尻尾や爪などの物理攻撃で迫ってきている。でも、この程度なら私の障壁が崩れることはない。私のスタミナ値を魔力に多めに振ってあるのでこれを破るのは不可能だ。
さて、訓練とは言ったもののどうしたものかな。普通に挑ませたところで、先程までの追い込まれ具合を見た限りだと意味ないだろうし。
うーん。あ、そうだ。トロアとミリアのことすっかり忘れてた。二人を早く復活させてきちんと役割を持って挑めばなんとかいけるはず。今回は二匹居たために戦力も分散されて追い込まれたのだろうし。私が一匹相手にすれば残りの一匹なら、六人で力を合わせれば大丈夫なはず。あれ?リリーネが見当たらないな。
「あの、レイナ。リリーネはどこかしら?」
「あ、はい。リリーネもお姉様達と同じ時にいなくなってしまったのですわ。お姉様と一緒ではないのですか?」
「なんですって!私とは一緒ではありませんでした。という事は、今頃何処かに一人…。まずいですわね。流石に一人では危険すぎます。さっさとあのブラックドラゴンを倒してリリーネを探しましょう。」
「はい!お姉様」
「うん。わたしもリリーネが心配。お姉ちゃんさっさとやろう!」
やる気を出した二人が気合を入れているところ、回復が終わった二人が目を覚ました。
「ククリナ!」
「ククリナ様!」
「ウフフ。やっとトロアとミリアも目を覚ましたようね。」
「ククリナ無事だったのね。良かったー。ってかどこ行ってたのよ。ほんと大変だったんだから。」
「ウフフ。ミリア。詳しい話はあいつを倒してからにいたしましょう。それにリリーネが心配です。二人とも戦えますか?」
「もちろん!!ねっ。トロア。」
「はい!ククリナ様。今度は必ず倒して見せます。」
「それでは皆さん。私が一匹相手にするので、もう片方をお願い致しますわ。」
「えっ!お姉様。流石にそれは…。」
レイナがククリナに注意しようとするもミリアに遮られる。
「レイナ。ククリナなら大丈夫よ。ヘタをすると二匹同時でもなんとかしちゃうかも。」
「えええ。いくらなんでもそれは…。ねぇ?お姉様。」
「オホホホ。」
意味深なククリナの笑いにレイナは苦笑いをする。
「さー。時間がありませんわ。皆様いきますわよ。」
(ピーキーもよろしいですね。)
(うん。任せて!)
「「「「はい!」」」」
そうして、ブラックドラゴンとの対決が始まった。
まずは先ほどからずっと障壁に攻撃して纏わりついてるのを引き剥がさなくてはならない。
と言っても剥がすだけなら簡単だ。自分にではなく別の対象を短距離転移で飛ばすだけ。 よいしょっと。
「「「「「 えっ!!!! 」」」」」
「さー皆様、ドラゴンは引き剥がしました。私はあちらのドラゴンと戦いますから、貴方達はあちらをお願いね。」
そうして、私は一回り大きい方のドラゴンの所へ向かう。
その場に残った五人が早速動き出す。
「よし。レイナ様まずは、一旦魔法で足止めしてください。その後私が突っ込みます。」
「わかりましたは。(ピーキー、足元に火の壁を)」
(オッケー。)
そして、ピーキーがファイヤーウォールで火の壁を張る。
それを追うようにトロアが『騎士の鏡』から進化した『騎士の嗜み』のスキルを発動して剣を右手に持ち、ドラゴンへ突っ込む。スキルが進化した事で主のピンチという楔が外れ、自分の意思でいつでも発動できるようになっていた。効果は全ステータス向上し、攻撃に貫通ダメージが乗るようになった。
「はぁーーーー!」
ドラゴンが火の壁を払ったタイミングでトロアが低い体勢で足に目掛けて剣を横に振るう。
トロアが体勢を低くした事で巨大なドラゴンの足元は死角になりやすい。その為、トロアの攻撃はドラゴンの抵抗もなく足に直撃する。
ザクッ。ザシャー。
と深くは無いがドラゴンに傷を負わせる。
「よし。攻撃が通ったぞ。もう一撃!」
すぐさま同じ箇所は剣を返す。一度傷が入った事でこの攻撃は更に深い傷を負わせる。
「グァーー。」
ドラゴンも負けじと爪を振り下ろす。
「トロア危ない!」
ミリアがすかさずフォローに入る。俊敏な動きが得意なミリアが無防備になった顔目掛けて水魔法ウォーターショットを放ち、合わせて剣で斬りかかる。
「ゴォーーー!」
一応ダメージは入ったもののすかさず尻尾での反撃が飛んでくる。しかし、飛びかかって空中にまだ居たミリアには回避が出来ない。ミリアは仕方なく腕をクロスし防御する。
「うわーーーーー。」
尻尾での攻撃を受けたミリアは激しく地面に打ち付けられる。そこへ追い討ちの闇の火球が放たれる。
「危ない!!」
間一髪の所でフォローで走っていたダリアがミリアを抱えて飛ぶ。
「ウッッ!!」
火球の余波で二人とも吹き飛ばされる。
そこへ畳み掛けるように、ブラックドラゴンの鼻先に生えた角が青白く光り始める。バチバチッ。バチバチッ。
と角が帯電を始めた。
「えっ!雷属性魔法!!」
実はブラックドラゴンは個体によっては複数属性を操る事が出来る。その為ブラックドラゴンの脅威度は未知数となる。万が一全属性であった場合、魔法の不利が完全になくなるからだ。ただし、ククリナを除いて。
「あれはやばい!溜めが終わる前にあの角を破壊しなくては!」
「わかった!わたしがやる!!うぉーーーー!」
ルルルが半鬼神化し、ククリナにもらったオリハルコンのナイフを角に突き刺す。
ガキッ!
流石に角は固く、剣先が少し刺さっただけだった。
しかし、ルルルは更に力を込めナイフを捻るように押し込んで行く。
「うおーーーーー!クッ!ウゥ。うわーーー!」
その間にもドラゴンは怯みもせず帯電を強める。その為ルルルにもナイフを伝って雷に巻き込まれていく。その電力に耐えながらルルルは力を振り絞る。
ガキッ!!
「グアーーーーーー!」
電力にまかれながらもルルルがなんとか角をへし折った。
「ルルル!」
体制を整えて立ち上がったトロアが落ちてくるルルルを下で受け止める。角は折れたものの、ドラゴン若干残っていた帯電ををトロア目掛けて放つ。
「グアッ!!」
「ウウッ!!」
威力は弱まったものの雷が二人を包む。二人の意識を刈り取るには十分な威力だ。
「トロア!ルーちゃん!このままじゃまずいわ。通じるか分かりませんが一か八かです。ピーキー行きますわよ!」
(オッケー!二人の魔力を掛け合わせよう)
「ハァーーーーー!」
「グォォォォォ!」
レイナが炎を収束させる。それに合わせてピーキーも獄炎を掛け合わせる。しかし、それに対抗するようにブラックドラゴンが最大火力の闇の大火球を溜め始める。
そして、ほぼ同時にそれらが放たれる。
「合体極炎魔法。フレアカノン!!」
「ガァーーーーーー!」
ブラックドラゴンは自身とほぼ同じ大きさの真っ黒い大火球を放つ。
「あ、あれはま、まずい、です。レイナ様避けて下さい!」
ダリアが叫ぶが、レイナも既に魔法を放っている。
レイナが放ったフレアカノンは火の精霊ピーキーとレイナの火炎魔法を合体させ、それを更に指先と変わらない細さまで収束させた、言わば火炎のレーザーである。
そのレーザーと大火球がぶつかり合う。
ピュン!
そのレーザーは大火球を貫いた。そして、勢い衰えずレーザーはそのままドラゴンの口から入りドラゴンも貫いた。
その際の余波で頭が吹っ飛んだ。
「ハァハァハァ。や、やりましたわ。。」
魔力を使い果たしたのか、レイナへそう言うとその場にへたり込んだ。
「やった!レイナすごーい!」
「レイナお見事だ。」
「流石はレイナ様です。」
「レイナ。お前もなかなかやるね。」
皆は其々負傷したものの既に起き上がり、レイナの元へ集まる。
(ふぅーー。なんとかなったね。レイナ。)
(うん。ピーキーありがとう。お姉様は大丈夫かしら)
と、ピーキーとの話を終えてククリナの様子を伺うレイナ。
レイナがククリナの方へ視線を向けた事で他の皆んなもククリナの様子を伺う。
「ウフフ。皆様お見事ですわ。お疲れ様でした。」
ククリナは既に戦闘を終えテーブルと椅子を出しティータイムを楽しんでいた。
「えっ?」
レイナの意識は遥か彼方へ飛んだ。




