白と黒の山(3)
黒が混じった白い光が眩しくて思わず目を瞑った私とダリア。
暫くして、目を開けて見るとさっきまでの岩山とは違い、何処かの部屋にいるようだった。ただ、それも明らかにおかしい。
床も壁も天井も白。
岩山にあった変な入り口に入ったら部屋に出た。ということ自体がそもそもの話なんだけど……まぁとりあえずいいか。良くは無いけど、この際はよしとしましょう。
「なっ……」
ダリアも言葉が無いようだ。
「ククリナ様。。ここはいったい。。」
なんとか言葉を振り絞ってダリアが訪ねてきた。
いやいや、それは私が知りたい。私が聞きたい。
と、そう思うもそれは飲み込む。
「さぁ。私にも分かりませんわね。」
二人で辺りをキョロキョロしならうろついていると。部屋の境を一つ越えた気がした。どこまでも続く白一面の景色だが、隣の部屋に入ったというような感覚がしたのだ。
次の瞬間白が続いていた部屋に黒い大きな箱がいくつも現れた。そして、その箱と共にどこからか声が聞こえた。
「ようこそお越し下さいました。」
「ようこそなのだ。」
「「えっ。」」
二人でも顔を見合わせる。
「ウフフ。驚くのも無理がありませんね。」
「びっくりしたか?!」
その声と共に白のドラゴンと、黒のドラゴンが現れた。
まるでそこに初めからいたかのように自然に。当たり前に。まるで見えるのに見えていなかったような不思議な感覚。
「なっ。」
やっぱりダリアは言葉が出ない。
「ク、ククリナ様。あれはいったい。。」
もう!ダリアったらさっきと同じじゃない!私だって分からないわよ!!もーーー。
「ダリア。私にも分かりませんわ。」
溜息と共にそう答える。もーー。
「アハハッ!なんか面白いね!」
「あらあら。」
なんなのよ。ドラゴンのくせに人みたいな反応。
「ウフフ。戸惑うのも無理もありません。だって驚かす為に気付かれないようにしていたのですから。だから、これは大成功なのです。」
「そうそう!大成功!いっぱい驚くがいいぞ!」
黒のドラゴンが腰に手を当ててドヤってる。。。
なにそれ!
しかも二人?二頭?でハイタッチしてる。。。
もーーーー!いったいなんなのよーーーー!
と大声で叫びたい。でも、今の私は元王女で今まで作り上げたキャラがあるもの。我慢しなきゃ。
「あらあら、まさかドラゴンさん達がそんな事をなさるなんて思いもしませんでしたわ。だから私、すっかり騙されましたわ。」
ニターっと音がしそうな顔で黒いドラゴンがこちらを見る。
「へーー。取り繕うの上手いな。心と全然違う事言ってる。」
「あらあら、いけませんわよ。アクロ。そういうのは黙っていないと。しー。ですわ。」
「ありゃ。ごめんごめん。クラリーナちゃん。」
「!!!!!」
もう頭が追いつかないわ。どうやら、このドラゴン達は私達の心が読めて、色々分かっているみたいね。
「なっっ。」
やっぱりダリアは駄目みたいね。今にも目が取れちゃいそうだわ。口の中も乾かないのかしら。
「ウフフ。ごめんなさいね。クラリーナ。いや、ククリナのがいいかしら?私はザラレス。この黒いドラゴンがアクロ。こんな所まで人が来るのが余りにも久しぶりなので私達はしゃいでしまっているの。それで、つい遊んでしまいましたの。」
「あ、いえ。そうなんですね。」
確かにここはドラゴンの山脈カントナート山脈で、しかしも普通の山とは違う白と黒の山で、今いる私達でさえ飛ばされて来たのだから山脈のどこにあるのかも分からないし。そもそもこの山自体が不思議な力で覆われている。もしかすると普通に来ようと思っても来れないところかもしれないわね。
そう考えながら横目でダリアをみる。
まー。うん。 もうほっとこう。
「分かりましたわ。ザラレス様。私はククリナでお願いしますわ。それで、聞きたいことが沢山あるのですがよろしいかしら?」
「ウフフ。大丈夫よ。でわ私からご説明しましょう。何を聞きたいのかは分かりますから。」
そういうと白のドラゴン、ザラレスと黒ドラゴン、アクロはドラゴンから人型になった。………はぁ。
「改めまして。ククリナ。ようこそ世界の礎、マナートへ。ここは精霊と世界を繋げる場所。そして。それを守護するのが私達。セイントドラゴンと、ダークドラゴンです。」
「マナート。。精霊と繋げるとはどういことなのかしら?」
「資格のあるものがここで精霊をその身に降ろす事が出来るのです。私達はここへ来たものがその資格があるのか無いのかを判断し導く者でもあります。邪魔はしません。聖か悪かはここに来るものが自由に選べます。ただ、どちらか一つしかこの世界には呼べません。聖が呼び出されれば悪は来れず、悪が呼び出されれば聖が来られません。」
「そうそう!どっちか好きな方を選べばいいのだ。」
「あ、あの、呼び出すとどうなるの?」
「この世界の方針が決まります。ただ、その精霊の力を使うのも使わないのも自由。普通に平凡に暮らすのもいい。世界を掌握し、支配するのも自由。過去の例では聖の力は使われたり使われなかったりですが、悪の力は間違い無く使われ、暴虐の限りを尽くしてますね。そして、世界がそのたびに無くなり、再びゼロからのスタートを繰り返していますね。今の世界でもう何回目のやり直しか分かりませんわね。」
「そうそう!いっつも、最後はここしか残らない。」
「えっ!!ちょっ。なにそれ。」
いけないけない。思わず素が出てしまったわ。
「ウフフ。まぁ聖の力を得るものはいつも偶然辿り付くのに対し、悪の力を欲するものはその意思を持ってやって来ますからとても分かりやすいですわ。」
「そうなの。。」
「そもそもここカントナートに住うドラゴンは神より使わされた世界の監視者なのです。この世界は元々精霊が住むための世界でした。その精霊達が暇を持て余し、遊びの一つで他の世界から人や魔物、動物達などを連れてきたのがこの世界の始まりです。聖精霊と悪精霊の手駒として、争わせたのです。見てるだけで飽きたらず、自分たちも干渉できる様にこの礎を作り、最初に召喚された方が勝ち。というようなただ精霊のお遊び。。」
「なっ。。遊びって。。」
「精霊達にとってはその程度の事なのです。それに付き合わされる人や魔物達にとってはいい迷惑だとは思いますが。」
「ほんとね。正直腹立たしいわ。」
「うんうん。わかるぞ!ククリナ!」
「まぁ。いい加減精霊達がそれにも飽きてきた事と、神々に見つかってしまった事からこの世界から神によって精霊達も移され今はこの地にはおりません。ただ、ここで呼び出すことは出来るので、続いているといえば続いているかもしれませんね。もう何百年もここに来たものは居ませんが。。」
「そうそう!!だからあたしはククリナが来て嬉しいのだ!ねっ!だから遊ぼ!!」
「えって!遊ぼ??」
「こらアクロ。ちょっと、待ちなさい!私が先よ!!」
えーーーー。
挫けそうになりましたが、頑張ります!




