龍の縄張り
すみません。短いです。
カントナート山脈に入った私達。森の中にある唯一の道を静かに進んでいる。とくにモンスターや龍など出てくる気配もなく。皆の話し声と足音だけが響いている。一刻ほど歩いた所で川とは呼べないほど細い水の流れる所に出た。山の上の方から水が流れてきているようで、深さもほとんどなくただ地を水が流れているだけの些細な物だ。しかし、その水は微量ながらも魔力が流れているようにも見えた。
「ん?なんだろうねこれ。最近大雨でも降ったのかな。」
「その割には周りの地面は乾いてるよ。」
「確かに変ですわね。」
少し気にはなったものの答えが分からないのでそのまま進むことにした。
そして、最後尾にいたダリアがその小さな水の流れを越えた途端。周りの空気が変わった。
それまでは、暖かい太陽の光が降り注ぎ心地いい森林浴気分だったのに一気に四方八方から太陽の光の替わりに殺気が降り注ぐようだった。
周りの景色はそれほど変わっていないのに別の森に来たような気にさえなった。
「な、なんかおかしくない??」
「ええ。なんか急に変になりましたわね。」
「お姉ちゃんなんか怖い。」
ルルルも何かに怯えている。
異質な雰囲気の中、警戒しながら進む私達。その異質さが何なのかは皆薄々分かってはいたが、その後も何か起きるわけでもなさそうだった為、その緊張感も次第に薄れててきたその時。
「何かくる!」
ミリアは緊張感を解く事もなく広域探知をしていたようで、その気配を直ぐに察知した。そして、その声と共に大きな物体が目の前に現れた。
それはワイバーンだった。
「あ、ワイバーン。でも、この程度なら大丈夫…」
ドラゴンよりも遥かに小さいワイバーンはそれほど脅威は無い。もちろん単体ならばだ。
「えっ!ちょっ。」
現れたワイバーンは私達を一気に取り囲んだ。その数20。
「いくらなんでも多くない?」
「うん。こんな数のワイバーン見たことない。」
「へぇ。これがワイバーンって言うのね。初めて見たわ。」
ミリア、リリーネはそれぞれ武器を構える。一人レイナはワイバーンを見て嬉しそう。
「ウフフ。レイナは初めての戦闘かしら?」
「ええ。そうよお姉様。今まではただ城の中で訓練してただけですから。」
そうこう話しているうちに、ワイバーンが一気に攻撃してきた。まずは小手調べなのか火を吐くわけではなく噛み付いてきた。ただ、四方八方からのため逃げ道もなく避けられる空間もない。後衛のダリア、リリーネを中心にし私、トロア、ミリア、レイナ、ルルルでその攻撃に対応する。トロアは盾で。ミリアは剣で防ぎ、私とレイナ、ルルルは武器で迎え撃つ。レイナは普通の剣より少し短い双剣で、ルルルは槍を使う。レイナは二本の双剣に火を纏わせ、ワイバーンを斬り付ける。前方のワイバーン達を一掃する。
ルルルも槍でなぎ払い、ワイバーンの攻撃をものともしない。
そして私は、ハンマーをムチに形を変えて残りのワイバーンを一振りで薙ぎ払う。
この程度なんでもないわ。ウフフ。
「さ、さすがククリナね。」
ミリアの顔がひきつる。
「まぁ。さすが私のお姉様。流石ですわ。」
「さすがお姉ちゃん。わたしのお姉ちゃん。」
「皆さん大丈夫でしたか?レイナもルーちゃんもやりますわね。」
20体のワイバーンは数に驚いたものの、特に問題は無かった。しかし、そもそもその数が普通ではない。やはりドラゴンの領域たる山脈故の事だからですわね。
「ククリナ様、やはり先ほどの川が縄張りの境だったのでしょう。」
「ええそうね。トロア。それで間違いないでしょう。皆様これから先は益々ドラゴンが襲ってくるでしょう。気を引き締めて進みましょう。」
そうして、ミリアの広域探知で探りながら進む私達。いつの間にか木々も少なくなり、ついには木がなくなり山肌が剥き出しの岩だらけになった。
そしてその時、今度はワイバーンではなく前にも一度戦ったガイアドラゴンが目の前に現れた。そして、やはりドラゴンの縄張り、かずが普通じゃない。
その数5体。
「なっ!!」
「えっ!!ちょっ。ええっ!」
「何かの数。一体でも大変なのに五体って。。」
ガイアドラゴンは地属性のドラゴンでその多きさもワイバーンの比ではない。ドラゴン特有の咆哮はもちろん、その巨大から繰り出される、尻尾や爪での物理攻撃の威力もとても強力だ。
その上数が五体。本来なら一体でもパーティーを組んで挑む敵を七人で五体。明らかに数がおかしい。
「あらあら、仕方ないですわね。私が複数を相手にしますわ。レイナは一人で対応できますか?」
「もちろんですわ。お姉様。」
「分かりました。では、私が三体相手にしますから、レイナ以外の皆様で残りの一体をお願いしますわね。」
「分かりました。ですが、ククリナ様。流石に三体は…」
「ウフフ。トロア。大丈夫ですわ。さぁ、きますよ!」




