いよいよ。エルフとお話しですわ。
私達はロバルートの案内でいよいよエルフ領ガイランの中に入る。
ロバルートの話にあったようにここガイランは中央を守る為にいくつもの壁で囲まれていた。其々の壁に門があり、そこを様々な獣人達や魔物がそれらを守護しているようだ。ここにくるまでにいた獣人達とは桁違いの力を持った獣人や魔物達だ。ロバルートらミノタウルスや、獅子の獣人、悪魔や、魔族までもいる。そして、最奥の門を守るのは首と尻尾が二本ある黒いドラゴンだった。城で見た文献には載っていない見たことの無いドラゴンだった。体は門よりも大きく、私が感じるだけでも相当大きな魔力を感じる。皮膚は黒光りした鱗に覆われて角度によっては虹色にも見えた。それが三体門を守護していた。
先程のエルフ、ジアードの言葉をここのドラゴンも聞いていたようで、私達が通る所を静観している。ただ見ているだけではなく当然威圧を向けながら。ここまで厳重に守られているエルフ領ガイランは一体何なのだろうか。私達にも今まであった軽い空気は無く、皆が緊張している。
空は結界に守られ、地を獣人や魔物で厳重に守られた国。
人間領でもエルフの情報は全く無い。ただそこに住んでいる。という事しか知られていない。まして、魔族やドラゴンの存在がその異様さを物語っていた。魔族領にいるはずの魔族。ドラゴン領にいるはずのドラゴン。クロードは人間、魔物、魔族、エルフなど様々な種族で混成されている為外すとして、ここに居ないのは人間だけのようだ。人が居ないことが偶然なのか、そうでないのかは分からない。けど、最初に感じた嫌な予感は違うという感じしかしない。その様子に私達はより緊張を高める。そんな中最後の門に辿り着いた。
ロバルートが門に近づき跪くと門が開いた。
そして、そこには1人のエルフが立っていた。顔は強張り、緊張で硬くなった私達を見透かすようにエルフが話す。
「そんなに警戒しないでください。貴方達には異様に感じたでしょうがここまでの厳重な守護にはきちんと意味があります。それは勿論貴方方人間にとっても…」
「貴方が先程のエルフさんですか?」
「ええそうです。私がここの管理者しているジアードです。」
ここの管理者と言うそのエルフは先程の嫌な感じはなく、表情も雰囲気もとても穏やかに感じ。最初の嫌な感じを払拭するようだった。金色の髪にエルフ特有の尖った耳。瞳は髪と同じ黄色で、そこに敵意や悪意は見られない。その様子に、私は勿論。ルルルやミリアなど他のメンバーも同様に警戒がゆるんだ。
「管理者?ですか。私はククリナよ。知りたい事があってここに来ましたの。」
「ええ。存じております。貴方達が港で聞き込みをしていた事も。ここに、来るまでの道中で何をしていたのかも知っています。私はここの管理者。この島で起きる事は全て私の管理のもとにあります。」
「あらあら。それは恥ずかしいわね。私変な事してなかったかしら。」
「ふふふ。大丈夫です。変な事はみていません。ささ。ここでは何ですから中にお入り下さい。ロバルート。貴方は自分の持ち場にもどりなさい。」
ロバルートは一礼すると戻っていった。私達はジアードの案内で中に入る。
最後の門を通ると様々な植物が生えた大きな庭がある。中央には池があり、その中には魚が泳いでいた。その奥には城ではなく宮殿と言ったほうがしっくりくる、大きな建物があった。城ほど高くは無いが村が一つ入りそうなくらい大きな建物だ。壁の色も真っ白で汚れ一つ無い。外に晒されながらも汚れのついてないその壁は特殊な鉱石が使われている事が窺えた。
「ほえ〜」
ミリアの呆気に取られた声にジアードは笑う。
「どうですか?とても美しいでしょう。」
「ああ。こんなの見たことないや。」
他のメンバーもミリアの言葉に反応するように当たりを見渡している。リリーネなんて、胸の前で両手を握りうっとりとした表情を浮かべている。
「ウフフ。とても美しいですわね。私もいつかこのような建物を自分で建てて住んでみたいわね。」
「姫様にそんな事を言っていただけるなんて、大変光栄です。」
「えっ!」
「そんなに驚かないで下さい。わたしはエルフ。様々な情報、知識などを管理する者。勿論貴方の素性も存じ上げております。」
「あらあら。」
「ああ、ただ警戒しないでください。私は情報を管理しているだけです。逆に言えばこの世界にある全ての情報を蓄え、管理し守る事が私の使命です。なので、それらを外に出したり誰かに与え何かをさせるような事はしません。情報は良いことにも悪い事にも作用します。管理者である私は情報は保管しこの世界を見守っているのです。」
「ふーん。なんか大変そうだね。」
「そうですね。もしここが悪意のある者に支配されるようなことがあったら、ここの世界も終わるかもしれませんね。」
「なっ。」
「ふふふ。大丈夫です。そのための守護です。ささ。どうぞ中にお入り下さい。お茶でも飲みながらお話ししましょう。私に聞きたい事があるのでしょ?」
「ああ。うん。じゃあ、ククリナ。皆んな行こうか。」
美しいエルフの宮殿の中に入る。中も外と同じ様に真っ白で汚れ一つ無い壁や床だ。装飾品等は殆どなく、代わりに様々な植物が中にも置いてある。他にもエルフがいるのだろう、方々から話し声が聞こえる。どうやら二階建ての様で正面に上へ通じる大きな螺旋階段があり、部屋がいくつもあった。私達はその中の一つの部屋を案内され、荷物などを置かせて貰った。ここに居る間は自由に使って良いそうだ。そして一人メイドを置いてくれた。
荷物を置いた私達は、ジアードが待つ応接室に案内された。
「部屋は大丈夫ですか?狭くありませんか?」
「ええ。大丈夫ですわ。お心遣いありがとうございます。」
「いえいえ、却って姫様に失礼かもしれませんがここの宮殿にはあれ以上の室が無いのでお許しください。」
「あらあら。そんな事大丈夫ですわ。私は姫を捨てた身。今は唯の冒険者ですわ。」
「ふふふ。そうでしたね。でも、やはり姫は姫です。無我にはできません。さっ。どうぞおかけ下さい。」
一つのテーブルを囲む様に並べられたソファーに座る私達。やはりそのソファーも白かった。
エルフさんは白がお好きなのね。
「マル。皆様にお茶を出してくださいな。」
「はい。」
マルと呼ばれた猫の獣人がお茶を出してくれた。その猫の獣人も毛並みは白い。壁の前に居ても気付かないくらいだ。
また白。ここまでくるとちょっと異様ね。
そう思いながらも早速お茶をいただく。そのお茶は今まで味わったことのないとても美味しいお茶だった。
「あら。このお茶とても美味しいわね。」
ダリアが目を瞬く。
「ありがとうございます。この茶葉は外の庭で育てているエルフに伝わるハーブで入れたお茶です。疲れが取れ、魔力を微量ながら回復できるのです。」
「あら。それは素晴らしいわね。」
皆でお茶を飲み。久しぶりに落ち着いた空気になる。
「気に入っていただけたようで何よりです。良ければ帰りに少しですがお持ち帰り下さい。」
「まぁ!それはありがたいわ。」
「ウフフ。それで、私に聞きたい事があるのですよね?」
「ああ。そうなんだ。実はこの世にある能力について聞きたいことがあるんだ。」
ミリアが代表してエルフにことの次第を話す。あくまでもククリナの能力は伏せた上で…
「ふむ。なるほど。他の能力を封じる力ですか…。まぁ。結論から言うと、 あります! ね。」
「やっぱりあるのか…」
「ええ。というよりもこの世界に生きる全ての者には無限の可能性があります。生と死。光と闇のように、能力が生まれる事が有れば無くすことも出来ます。つまり、能力解放する力も有れば封じる力もあります。必ず双方向です。」
「なるほど。つまり、そんなに心配する事無いって事ね。」
「ええ。まぁそうですね。例え封じられても、それを覆す能力もあるはずですから。」
力は相互関係。原因と結果ね。ていう事は、私の能力値を無くすことも出来るのかもしれないわね。
うーん。あってもおかしくは無いその力は怖いわね。逆を言えば守る事も出来るのでしょうけども。。
でも、もしもを考えるならば何か対策をしなければなりませんわね。
「ところで、皆様は虹色の集いという冒険者チームを組んでいるのでしたよね?」
「うん。そうだよ。それがどうかしたの?」
「ええ。実は何方かにお願いしたい事があったのです。ここまでこれた貴方達の力は本物です。なら、貴方達ならお任せ出来ると思いまして…」
「おおお。エルフさんの頼みなら是非聴きたいよ。こんな機会滅多にないし、なにより部屋まで貸してくれたんだ。喜んで受けますよ。」
そうして、私達はエルフからのクエスト依頼の話を聞く事にした。何にしても聞いてからでないと、可か不可か分からないからね。




