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不思議ダンジョン(ミリア編)

 

ミリアが転移してきた場所はただ真っ暗な空間だった。


 瞑っていた目を開けると、開けたはずなのに余りにも真っ暗過ぎてまだ目を瞑っているような感覚になった。


「えっ!えっ。」


 驚きの声を上げるが、それが周りに響いた様子は無くただ頭の中で響いているようにしか聞こえない。


「いったいここはどこ?」


 脳内にしか聞こえない声に違和感を感じつつも、周りを見回してみる。


 ただ真っ暗なだけだった。それ故に自分が立っているのか横になっているのかさえ判らない。中に浮いているような感覚にミリアは少し気持ち悪くなった。


「なにこの感覚。」


 しまいには「自分は死んだのでは?」という不安感にも襲われた。


 そうやってミリアが、なんとか自分の現状を知ろうと悪戦苦闘していると突然目の前に小さい光が浮かび上がってきた。


「うわっ。」


 そして、その日からはどんどん大きくなりフラッシュバックした。


「えっ?なになに?」


経験したことのない状況に狼狽るミリア。フラッシュバックの後に浮かんできたのは、仲間達の姿だった。

 ククリナ、トロア、リリーネ、ルルル、ダリア


さっきまで一緒だったのに、何故か懐かしく感じた。


 それらの面々は今のダリアにとってかけがえの無い存在だった。出会ってまだ間もないかもしれない。けれど皆を観察し、笑ったり、呆れたり。次は何が起きるんだろう。といつもワクワクさせられる存在。


 ククリナは本当はお姫様なのに城を家出し、それに付き添うダリアとトロア。ミリアはそんな三人の関係が羨ましくも思った。けれど、自分もククリナの側にいる事を誓い、主と仰いだ。ククリナが城に戻ると言えばもちろん一緒に着いていく。そう、誓っていた。


 リリーネは妹のように思っていた。ククリナと同い年くらいのようだが、嬉しい時や楽しい時は子供のようにはしゃぎ、特に美味しい物には目がない食いしん坊。


 ルルルもそうだった。いつも大人しいが珍しい物、美味しい物、楽しい物に目がない。魔族だと言っていたがそんなのは関係なかった。



 ミリアがそんな仲間が大好きだった。


 光の中に浮かぶその仲間達の姿を見てそういう気持ちが溢れていた。「あたしはなんて幸せなんだろう」


 ギルド長の娘としてギルドで冒険者をやっている時は楽しい時もあったが殆どが惰性で、こういう感じでいつか結婚して、子供産んで、ギルド継いで死んでいくんだろうな。諦めにも似た気持ちで過ごしてきた。



 それがククリナと、いやクラリーナと出会った事で全てが変わった。


「クラリーナ様…」


 そう呟くと、目の前の光景が変わった。


 次に映し出されたのはクロードの領地だった。


 荒れ果てた街並み。崩れかけの王城。

それらの場所を闊歩する、荒くれた獣人や人。

 ルルルを狙っているというクロード。それを廃除したいものの、クラリーナの能力が封じられる可能性があるためここに来た。

 

 いったいどんな能力なのか?そもそも本当にそんな能力があるのか。


 分からないことだらけで次々と疑問が生じる。


 主を守るためにここへ来た。主を守るために強くなりたい。例え身を挺してでも…


 だが、クラリーナはきっとそんな事は望まない。


 やはり今の自分に必要な事は強くなる事だ。

武器は何か?この間の鍛錬でスピードは上がった。次は何か?力?魔力?

 確かにそれは欲しい。でも直ぐにどうこうできるものではない。


 ミリアは頭の中でひたすらに思考をこらす。


 しかし、いくら考えても必要なことがあり過ぎて答えが出ない。


「もーーー!あたしはどうしたらいいんだ!!」


 ありったけの大声で叫ぶ。


 すると聞いたことのない声が脳内に響いた。


「汝に試練を与える。それを越えて力を得るがいい。」



「ん、試練?」



 その声が聞こえると、再び真っ暗な空間にもどった。

そして…どこからとも無く槍が飛んできた。


「!!」


 もちろん真っ暗な為何も見えない。でも足元に刺さったものが槍だと分かった。


「ちょっ。やばいよ。こんなのが何本も来たら避けられないよ。」


 焦るミリア。

 

再び足元に槍が刺さる。


「んーわわー。どうしよー…」


間髪入れずまた音もなく飛んでくる。今度は二本だった。

一本は当たらなかったが、もう一本が太腿に刺さる。


「ゔっ。」


 悶絶するミリア。この槍も刺さるまで来るのが分からなかった。


 次から次へと飛んで来る槍


 次第にミリアの傷が増えていく。


手、足、肩、


どんどん自由を奪われる。左手に刺さり、右肩に刺さり、もはや感覚が無くなっていた。


「こ、この、ま、まだと、ほん、とに。」


全く止まる気配がない槍。ここまで来ると避けない限りは止まらないと感じた。


 満身創痍のミリア。

    

        ここである事を思い出す。

       魔法はイメージだという事を


「そうだ。クラリーナ様みたくイメージするんだ。」


 イメージするのは蜘蛛の巣だ。蜘蛛の巣はその糸に敵がかかると分かるという。その蜘蛛になったつもりで魔力で蜘蛛の巣を作り出す。

 大きさは?


 ミリアはどこから、どの距離から来るか分からない槍を感知する為この空間全てに広がるようありったけの魔力を込めて巣を広げる。距離は無限。どこまでか分からない。


 ミリアはどこまでも遠く、どこまでも広く魔力の巣を広げる。


「くうーー。」


「うわーーー。」


すると、槍が出る瞬間を確かに感じる事ができた。


「!!!」


 傷だらけの身体を無理やり捻る。


ドスッ


 槍は自分の後ろを通過して足元に刺さった。


「や、やった。」


 それ以降槍は飛んでこなかった。

安心したミリアはその場に倒れ込む。


「や、やったよ。ク、クラリーナ様。この力が…有れば、ど、どんなに遠いと…ころからでも敵…の攻撃を…感知できるはず。」



 そして、気が遠くなる。主を守る為の力を得られた安心感で満たされていた。


 ミリア…万里眼と感知を合わせたスキル。


  万眼感知を得る。


 静かに転移陣が発動する。行き先は主クラリーナの元へ。


 



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