鳥獣人の村ですわ。
次の村へ進む私達。途中お昼を済まし、先を急ぐ。
相変わらず道幅の狭い一本道で道に迷う事はない。でも、今通る道は更に狭かった。今までは二列になって歩けていた道から一列でないと通れないくらいに、狭くなっていた。何処にでもある森の獣道を通っているような感じだ。いい加減その同じ景色に飽きてきた頃、次の村らしき物が見えてきた。
しかし、今度のそれは今までとは違い門?の役割をしてそうな物は大きな木だった。木の根本付近に大きな穴が開いていて、木をくり抜いてそのまま入り口に使っているようだった。
「なんか今度の入り口は変わってるね。」
ミリアのそんな感想に一同も頷く。皆で中を覗いてみると、中には階段があった。階段を上がってみると、そこには木々の上を根城としている事が分かるような、木の上に建つ家々があった。木と木の間には人が二人通れるくらいの橋が渡してあり、それを通って行き来をするといった具合だ。
「うわーー。すごーーい!」「こんなの見た事なーい。」
無邪気なリリーネとルーちゃんの声が響く。当たりはとても静かだ。そんな二人の声に反応するかのように、家の中から一人の獣人が出てきた。
今度の村は鳥獣人だった。最初の猫獣人が言っていたその村だった。早くも能力の情報が入るかもと、皆の期待が嫌でも高まる。ミリアもそんな気持ちを持つも、早とちりは良くないと、気持ちを抑えて冷静に声をかける。
「こんにはー。私達は知りたい事があってこの島に来ました。少しお話をしたいのだけど、いいかな?」
「うむ。ここまで人が来るのは珍しいな。では、こちらへ来なさい。」
黄色い鳥の顔をしたその獣人が村長の元へ案内してくれる。
村長の家は真ん中にあった一際大きな木で、家は更に上にあった。一番高い位置にあり、そこからは村を一望する事が出来た。まるで見張り台の役割もありそうな感じだ。
中に入ると、一部屋のみの家のようで、調理場や寝床、真ん中にテーブルと椅子と全てが一室に収められていた。村長の家とはいっても特に特別な事はなく、ごく質素な物だ。
私達はその中央にあったテーブルに案内された。
椅子は四脚しかないため、一つを村長。残りを私、ルーちゃん、ミリアが、座る。
村長に一言声をかけ、ダリアがお茶を入れてくれる。
ああ、いつものダリアのお茶だ。落ち着くわ。
皆が席に着くと、村長が改めて私達を見回すと自己紹介を始めた。
「こんな所までよくいらっしゃいました。私はこの集落を任されている、グネと申します。」
「あたしは。ミリア。そしてこちらがククリナ、ルーちゃん。トロア、ダリア、にリリーネよ。」
挨拶もそこそこに早速本題にはいる。
「実はあたし達はある能力について調べていて、それを知っている人を探してるの。猫の獣人さんに鳥獣人さんが知っているかもと聞いてます。そういう能力や魔法に詳しいですが?」
「能力ですか。うむ。確かに私たち鳥獣人はそういった事に他の獣人よりは詳しいでしょう。それで、どのような能力なのですか?」
「はい。他の人の能力を封じ込める力があるらしいのですが、それがどういう能力なのか知りたくて。。一時的なのか、ずっとなのか、また封じ込められたらした時、それは解除できるのか。防ぐ事ができるのか。お分かりになりますか?」
「封印の能力ですか…確かにそういう能力があるという事は聞いた事があります。ですが、生憎詳しい事は私にも解りかねますな。ただ、そういう能力がある以上、逆も然りです。例えば、眠っている能力を解放したり、その呪いのような物を解いたりなど、能力は一方通行ではありません。」
「そうですか。では、例え封印されても解除するものもあるという事ですね。」
「いかにも。」
能力の事は分からなかったが、無駄足にはならなくてよかった。逆の可能性もあるという事が分かっただけ良いだろう。まだ、エルフなら!という希望も有るし。
「わかりました。ありがとうございました。あと、その能力について知っていそうな人はいますか?エルフとか。」
エルフという単語を出した途端グネの表情が曇った。
「そうですね。エルフですか。確かにエルフには沢山の知識を詰め込んだ道具があると聞きます。もしかしたら、という可能性はあるでしょう。しかし…」
「しかし?何かあるのですか?」
グネは言うか言うまいかと思案するように顔を歪める。
私達は静かにその様子を見守る。
「うむ。」答えが出たようでようやくグネが口を開いた。
「私の口からは詳しい事は申し上げあれません。ですので、こちらの本をお貸ししましょう。それを読んで自分達で答えを見つけてください。」
そう言うと、一冊の本を渡してきた。厚さはそんなにない。本というよりは冊子と言ったほうがしっくりくる。そんな厚さだ。
「ありがとう。それで、ここの試練ってなぁに?」
「ああ、試練ですか。別に何もしなくてもお通しするのだが、そうですね。折角ですから…うむ。では、この村の地下に小さなダンジョンがあります。広さはそうでは無いのですが、実は不思議なダンジョンになります。」
「不思議なダンジョン?」
「はい。中に入るとその個人個人が持つ力や能力によって道が変わるダンジョンなのです。つまり入る時は皆さん一緒でも、入った後は全員が一人になるのです。つまり、一人の力だけでダンジョンから出てこなくてはなりません。」
「えっ。そんなのあるんだ。で、そこにモンスターとかは出るの?」
「はい。出る時と出ない時があります。敵は様々で自分の心だったり、入った人自身の試練となるような物が敵として現れます。」
「なんか面白そうだね。」
「うん。楽しそう。でも、少し怖いね。」
「大丈夫ですわ。リリーネ。私が居ますから皆に危険はありませんよ。いざとなれば…ねっ。」
「うん!そうだね。じゃあ皆で行ってみます?」
「うーん。ルーちゃんはどうしよ?」
「いや!!あたしも行くの!」
ぷぅっと、膨れるルルル。その様子を見ていた私はあまりの可愛さに身悶える。
「ウフフ。そうよね。ルーちゃんも行きたいですわよね。大丈夫です。最悪は私が守りますわ。」
そう。私が守る。全員を。
例え一人づつになったとしても多分問題ない。空間が違えどいる場所は同じなのだから全てを一まとめにしてしまえばいい。
「じゃあ、決まりね。」
不思議なダンジョン。楽しみね。いったい何があるのかしら。
人によって変わる不思議なダンジョン。その名も
――可能性の洞窟――
期待に胸を膨らませる「虹色の集い」一向。
彼女らはその洞窟で、それぞれ運命や、希望
宿命、可能性と出会う事になる。




