砂漠の地下の街(後編)
ククリナが、ノロの首を掴みながら説明する。
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皆が黒い穴に引き摺り込まれる時、ククリナは寸前の所で同じ魔法で相殺。引き摺り込まれずに脱出。
ルルルを拐ったノロを追いかけたらしい。
そして、行き着いた先はノロの屋敷で中に入る前にノロを捕獲したとの事だった。
「き、貴様、なんで!」
「ウフフ。わたしには効きませんわ。さぁ、ルーちゃんをお返しなさない!」
「お前、私にこんな真似をしてただで済むとおもってるのかぁ!!」
「あら?こんな真似ってどんな真似ですの?私は私の大切なルーちゃんを勝手に拐った愚か者を捕らえただけですわ。何にもおかしな事はしておりませんよ。」
「はぁ??お前は馬鹿なのか。私はクロードの四天王、シルクハットのノロ様だ。言うて分からないならこうしてくれるわ!ダークアロー!」
ノロが黒い矢の様な魔法をククリナの脳天目掛けて放つ。
しかし、それはククリナに当たる前に掻き消える。ククリナがマジックシールドを張っているためだ。
「なぁっ!!何故だ!」
「ウフフ。どうなさいました?ダークアローとはなんですか?魔法ですの?貴方は魔法の使い方も知らないのね。では、私が教えて差し上げますわ。 ミニマムフレア。」
そうククリナがミニマムフレアを発動させる。これは前回湖を消滅させたフレアバーストの改良版で簡単に言えば威力を抑えただけだ。しかし、フレアバースト自体が規格外の威力のため、いくらミニマムでも威力は充分すぎる。
放たれたのは小さな火の玉。それがゆらゆらと屋敷に向かって飛んでいく。フレアバーストとは違って赤い火だ。
その小さな火を見たノロは
「ふん!何がミニマムフレアだ。そんな聞いたことのない魔ほ……」
ボン!!
火が屋敷に到達した瞬間、屋敷が消しとんだ。
「ああああ?な、なんてことを…」
「おわかり頂けまして?魔法とはこういうものですよ。」
という次第で今に至る。
「あはは。さすがククリナだね。そもそも貴方がいるのを忘れてたよ。何にも心配する必要なかったね」
「ウフフ。そうです。私がいる限りは誰も悲しい思いはさせません。しかし、この度のルーちゃんへの失態は私の落ち度です。ルーちゃん本当にごめんなさい。」
「…うん。大丈夫だよ。ククリナって凄いね!!」
先程までの恐怖は無くなった模様のルルルが目を輝かせる。わたしも同じように強くなりたい!と顔に書いてある。
「いえいえ、私もまだまだです。こうしてルーちゃんに怖い思いをさせたのですから、、さて、この者はいかがいたしますか?」
「ああ。じゃあ、縛った上で一旦下ろして理由を探ろうよ。」
クロードの名が出てきた事で厄介ごとには違いない。そう判断したミリアがいつものように仕切る。
「さぁ、ノロさん。今後はククリナの奴隷になっても良いと言っていたけど間違いない?」
「は、はい。」
「んーー。流石に奴隷ってゆうのは好かないから、手下って事でもいいかな?」
ミリアがククリナとノロに視線を向ける。
「私はなんでもいいですわ。ミリアに、お任せします。」
「じゃあ。今からあんたはククリナの部下ね。それで、その部下に聞きたいんだけど、どうしてクロードがその子を狙うの?」
ククリナの力を目の当たりにしたノロはクロードのボスよりも脅威を感じたのか従順に説明を始める。だが果たして本当に信用できるのか、半信半疑ながらもククリナ達は耳を傾ける。
「はい。指示はクロードの本部からです。魔族からその少女を拐って殺すようにと依頼があったそうです。」
「殺す」という反応するククリナ。こめかみの辺りがピクピクいっている。それを視界にとらえるも言い訳をするかのように話しを続ける。
「しかし、我々クロードもそんな素直じゃありません。なので、殺したことにして密かに隠し売り飛ばそうとする事にしたそうです。ですが、輸送中に逃げられた為魔族にバレる前に確保するよう各支部に指示がとんだ次第です。」
「はっ!それでたまたま見つけたルーちゃんを拐ったという事ね。」
「虹色の集い」の面々の顔が怖い。今にも手を出しそうなのを堪えてククリナが命令する。
「わかりました。とりあえず貴方は引き続きクロードの幹部としてそのまま潜んでいて下さいませ。それで、何か情報があればすぐに知らせる事。よろしいかしら?」
言葉遣いは穏やかだが、表情は般若のようだ姫らしく取り繕う事が出来ていない。そして、尚も続ける。
「それでもし裏切るような事があれば直ぐに貴方を灰にします。」
「は、はい!ご主人様。」
「それで、今の時点で何か有力な情報はありますかしら?」
「えーと。情報といいますか、ご注意したいことがございます。」
「注意ですか…それはなにかしら?」
「はい。クロードの幹部の中に、相手のスキルや魔法を封印できる能力を持った者がいます。そして、封印された者はほとんど自我を失ってただ生きているだけの人形のようになってしまうとの事です。生憎詳しい名前や姿形は組織内でも秘匿されている為わかりません。くれぐれもご注意下さい。」
「なるほど、それは厄介ですわね…」
「せめてその能力の名前とかわかればねぇ。魔法なのかスキルなのか。情報が足らないね。万が一を考えると危険だよね。」
とミリア。
皆の空気が重くなる中、ダリアがふと思い付いたようで提案をする。
「やはり、魔法やスキルなどの異能力についてはエルフに聞くのが良いのではないでしょうか?」
「うーん。そうねぇ。どうする?」
ミリアが皆に提案をする。エアレルン大陸は亜人種が多く住んでおり、人を嫌う彼らの所は飛び込むのは正直危険だ。だが、ククリナの能力を封じられる事が一番怖い。その為皆躊躇しているようだ。一名を除いて…
「私は賛成ですわ。このままでいても何も変わりませんし、それに亜人の楽園!見てみたいではないですか?どんな所に寝て、どんな食べ物を食べ、何をして遊んでいるのか?私はとても興味がありますわ。それにエルフ達なら私達の能力を、伸ばす方法も知っているかもしれません。私を始め、皆んなの力が増せばクロードなんて怖くわない。そう思いませんか?」
「確かにククリナ様のおっしゃる通りです。私はククリナ様の騎士です。どこまでもついて参ります。」
「わ、わたしもエルフの生活見てみたい。」
「そーだねぇ。ククリナの言う通りだよ。いつもいつもククリナの力ばかり頼っている訳にはいかないよねぇ!よし!行こう!」
そうしてエアレルン大陸へ方向転換する事を決めた虹色の集い。
「ところで、ここの入り口って本来どこなの?あたし達は一本の木のところから来たんだけど。」
「ああ、あそこは非常口です。本来は砂漠の南トット村と砂漠の丁度中間くらいに水場が一つだけあります。そこに隠し階段があります。なので、この屋敷。。。跡の真反対に向かって歩いていだだければ門がありますので、そこから外の水場の所へ出られます。」
「あーそーなんだ。分かった。じゃあそんな感じで、今日はもう遅いからここで休んで明日の朝出発しよう。」
「そうね。皆も疲れたでしょう。ルーちゃんは体大丈夫?」
「うん。ククリナお姉ちゃんが守ってくれたから大丈夫。助けに来てくれてすっごく嬉しかった!ありがとう。」
そんなルルルのお礼と笑顔に完全に打ちのめされたククリナ。特にお姉ちゃんと呼ばれたのがククリナの心を撃ち抜いた。
「んまぁ!!ククリナお姉ちゃんだなんてー。ルーちゃんったらー。どうせなら、お姉ちゃんと呼んでくださいまし。」
「えっ、いいの?」
「もちろんですわ。私国にも一人妹がおりますが、お姉様といつも堅苦しいのですわ。だからルーちゃんにはお姉ちゃんと呼ばれたいですわ。」
「わかったぁ。お姉ちゃん。テヘッ。」
「ウフフ。ウフフフ。」
ニヤニヤが止まらないククリナであった。




