退屈な毎日
私は、気ままな第三王女クラリーナ。
特に王位にも関係ない気ままな、お姫様。あるとしたら政治的に誰かとの縁を結ぶくらいかしら。
でもそんなの嫌!
私は気ままに過ごしたいの!
憧れは冒険者ね。冒険者はいいわ。自由だもの。冒険者は冒険者のルールはあるでしょうけど、このお城の中にいるよりはずっとまし。
何不自由ない暮らしは。下界に住む平民達からはよく見えるのかもしれないけど、私にはそんなの退屈でしかない。何をするにも誰かついてくるし、「あれはダメ。これはダメ。」そんなの息が詰まるわ。
礼儀は大切かもしれないけど、ずーーーっとそんなの気にしてるのはほんと疲れる。まぁ、私が実は前世の記憶を残しているというのも一つの要因だとは思うけど。もう、いい加減うんざり。
私が前の記憶が残っているのに気付いたのは4歳くらいの頃。きっかけは食事だった。
ある程度自我が目覚め、自分で色々出来る様になった頃、マナーのお勉強の初歩としてテーブルマナーを学び始めた時にふと頭に浮かんだ、地球の日本で食べていた食事風景。お味噌汁や、納豆、お米のご飯。この世界にない、和食という食事が今の環境と違う事に気づいた時不意に様々な記憶が蘇った。
もちろん、そのことは誰にも言ってない。
知識以外にも前世での経験の記憶も戻ってきた。特に娯楽の記憶はやっかいだった。だって、今の娯楽と比べたらつまらない物ばかりだもの。
それ以来、退屈とどう戦うかが私の思考の大分を使う事になった。
まずは、字を学び図書室にある本を読み漁り、勉強する事から始めた。そこで、魔法があること、スキルという特殊能力がこの世界にある事。という事を知った。
とても魅力的である。
退屈でしかない今の日常に一筋の光が差したような気がした。「これだわ!この退屈を終わらせるのはこれしかないわ。前世の地球に無い魔法とスキルと冒険!私これがやりたい!」
そう決めた私の日常は大きく変わった。冒険をする為に必要な事は何か!それを考える毎日。
まず、装備。。。うーん。これは外に出ないとなんとも言えないわね。城内にもあるけどこれは王国の紋章とか入ってるから、外で使うには問題がある。
次に魔法。これは、スキルと直結した部分もあるから、出来ればスキルと一緒に学びたい。でも、城の中では教師役はいても王女には教えてもらえない。そんな暇があったら社交をもっと学べと言われるのが目に見えている。なら、これも外に出てからね。
色々思案しても結局は外に出てからやる方のが、今後の脱出計画を完遂する為にも都合が良さようだ。なら、今できることは。。。。そうね
「やっぱり冒険する為の体力をつけることね」
体力強化なら色々言い訳が効くわね。
その日からひたすら体力をつける日々、階段を登ったり図書室の本を整理したり、本は5歳の私にとっては重く、筋力をつけるのにも丁度いい。
あとは、護衛や側仕え達と追いかけっこ。何かにつけて走って逃げた。それらの者たちは私がやりたく無くて逃げたと思ってるようだが、それは違う。
まぁ多少あるが、追いかけてもらう為に逃げてるだけだ。
最初は直ぐに捕まった。でも、一週間、一ヶ月、一年とひたすらに逃げた。走った。登った。
お陰で、数えきれないほどの城にある階段を登って、城内と城内にある広大な庭園を一息もつかず走っても、ほとんど息を切らさず十周できるくらい体力が付いた!今の私は本当の意味で疲れる事が無くなった。どうやったら疲れるのか分からないくらいだ。腕力も図書室筋トレのお陰で女子にしてはある方だと思う。
「そろそろかしら。」
私は基礎体力はもう十分ついた事を確信して、今度は脱出するための計画を立てる。元々ある程度の下準備は既に終えている。普段からの素行不良。側近たちのいう事は私は聞かないようにしてた。その為、王や王妃、兄弟達にもサジを投げられてる。ただ、下の妹第四王女はそんな私を慕ってくれているが……そこはちょっと心苦しい。でも、今更後には引けない。
そうやって近しい人達からは居なくてもいいくらいに思われているので、いつでも作戦を決行できる下準備は整えた。あとはキッカケを待つだけ。
因みに、協力者は一人だけいる。私の事を生まれた時から面倒を見てくれ、護衛をしてくれている騎士のトロアだ。 彼だけは私の気持ちを理解してくれて、協力してくれる事になっている。最初はもちろん反対されたが、言っても無駄な事は彼が一番よく分かってくれている為、直ぐに折れた。
そして、その日がやってきた。。