3/6
俺の手はまさに神風
勇者パーティーの観察を続けているとどうやら別行動を取りはじめた
各々散らばり街の人々に聞き込みをしているようだった
「こりゃチャンスだな」
一人下卑た笑みを浮かべ勇者に忍び寄る
まずは財布の在処の確認
俺の卓越した観察眼によるとポケットにはなし
ということはおそらく腰に付けてる道具袋の中だろう
さて俺のスリテクを見せてやるか
完全にこっちには気づいていない
俺はナイフを片手に持ち勇者の背後に立つ
そして一気に道具袋を音も感触もなく切り裂き道具袋の中を露出させ財布を抜き取った
成功を確信した瞬間俺の手が青く光った
その光によって勇者がこっちを振り向いた
「…なるほどね、そういうことか」
勇者は呆れたように呟くと俺の手を掴んだ
「…ッ!!」
やべぇ!くそっ逃げらんねぇ!
つか力強いこいつ!痛い痛い!!
「ちょっと来てもらおうか」
俺を引きずり勇者は歩いていく
「おい痛ぇんだよ!離せよっどこ連れてく気だ!」
俺の訴えが虚しく響いた