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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
俺たちの戦いだ
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覚醒

次回はお色気要素を入れるかということで迷っています。


菜野は淡々と準備をしていた。

スタンガンだのナイフだのを腰につけるポーチに入れていく。

上松が『大災害』をやらのよくわからないけどヤバイことを起こす前にどうにか「殺してでも止める」ために。

一応、上松を「殺して」大災害がなにかわからなくなってどうしようもなくなったりするかもしれないから

殺すのはそうするしかない時だけだが、それでも利知は悩んだ。


だが、菜野と共に上松と戦う計画を練りはした。

―結局、こんな暴力しかないのか?俺たちには―

自分たちのやっていることは、倫理から外れているように感じたがそれでも……と。


「それじゃあ、お前のまとめたデータをもとに計画を発表するぞ」


―――――――――――――――――――

利知たち二人は電柱の陰に隠れて周りに静寂漂うバス停を見ながらキを窺っていた。

計画はこうだ。

まずは、上松がバス停にやって来るのを待つ→いつも、彼はバスがやってくるよりも大分早くやってくるので

誰にも邪魔されず奇襲をかける→誘拐してお話を聞く→大災害を止めさせる

以上。


そんなことをするためにじっと時間がたつのを待っているとむしょうに虚しくなる……。

「ッ!来た……!」

緊張の電流走る。

上松が、バス停の前にたたずんでいた。

よし、行くぞうと利知たちが走り出そうとすると。

突如として上松がターンした。


無理矢理二人は飛び出すのを止めた、そのせいで運悪く利知は足を変に捻ったのであった。

「何だいったい?あの上松め」

上松がターンして視線を向けた先には高校生集団がいた。

どうやら部活帰りのようだった、男ばかりで……弓の話をしているから弓道部であろう。

その人たちを見ながら

上松の腕はぶちゅぶちゅと赤い泡を出しながら、触手の先っぽに刃がついたものが湧いて出てきた。


「な、なんだアレ」

「赤い化け物の力を上松は得て使っているのですよ」アカネが菜野の疑問に答えるが

利知以外には彼女の声が聞こえない

だから代わりに説明しつつ利知は察した。

上松は、あの部活生たちを殺そうとしている、上松の言う通り本当に無意味に。

利知は、正直彼が理解できてしまった。

友達たちが無駄に苦しんで死んでいく世界の無意味さを知っているから。


助けに行こうと足を踏み出そうとした瞬間

菜野が利知の腕を掴んでそれを許さなかった。

「なんですか?」利知は文句を言うように菜野にたずねる。

「上松は戦闘態勢だろ、奇襲をかけても無駄だ」

利知は菜野をにらんだ、菜野も利知をにらんだ。

「助けるべきでしょう」

「いいや、あんな戦闘態勢の相手と戦えばこっちが死ぬことだってある

奴が獲物を狩って油断した瞬間……戦闘態勢を解いた時を狙おう」


利知は、菜野に言われて迷った。

自分はこれまで普通死ぬような怪我を何度もしたのに生きているが、菜野は普通に死ぬのだ。

だから彼女の言っているように危険は出来るだけ回避しようという気持ちはわかる。


しかし、人の命を失うことを作戦に組み込むことも納得しがたい。

正義感の強い矢田だったら絶対に納得しないだろう。


アカネの方を見てみたが、何も言ってくれない。

ただ、菜野の言っていることを否定しない。


菜野の方を観察してみると、体を強張らせていた。

倫理的なものを無理やりねじ伏せていることが分かった。

元より菜野は子供である利知に上松殺害計画を手伝わせたりと社会のルールより自分なりの正義を優先していたから、今こうしているのもそういったことの延長上にある。


そして、二人を観察して、利知は何に従えばいいのかわからなくなってきた。

あの部活生が殺されるのを黙って見ているというのはつらい。

でも菜野の言っていることもわかる。

中途半端に理想論もそれ以外も理解できるせいで利知はどん詰まりだった。


上松はもう完璧に戦闘態勢に入ってゆっくりとだが部活生たちに近づいている。

「ッ!」迷っている時間ももうないのか、利知は辟易とした。

「俺は、どうせ死にません」菜野にぼそりと呟く。

彼女は少し掴む手を緩めた。

「俺は……もう誰にも苦しんでほしくないんです」

「だったら、一人で行け……私は自分を殺すような戦い方はしない」

菜野は、利知の意思をくみながらも自分の意思も曲げなかった。

でも、それで利知は十分だった。


利知は、一人で駆けだした。




今回から始まった上松戦編。

利知を苦しめ続けたフォバルナエタ会の設立者、ようやく上松との本格的な戦いですねぇ……ということで少し上松についておさらいしましょう。


上松は無意味に世界を滅ぼそうとしています。それは彼にとって何の疑問湧かないごく自然なことなのです。

上松は利知を殺そうとしていました、それは利知は唯一赤い化け物を殺すことの出来る力を赤い化け物自身から与えられていたからです。

そのため、世界を滅ぼすのに必要な赤い化け物を消す可能性がある利知は邪魔なのです。

あ、でも利知を殺せなかったので精神崩壊させようとしていたりもしました。

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