沢山の人の運命が混じりあってこじれてほどけるまでに
何日間か執筆していないので、勘が鈍りました。
前回までよりわかりにくいかもしれません、すみません。
とりあえず後書きに2行でまとめておきました。
矢田は、青野に近未来的なフォルムの銃の口をむけられていた。
広い屋敷の玄関で、上に階段で登ろうとした時。
「お前!」
と青野に呼び止められたのだ。
「……君は、なぜここにいるんだい?」矢田は無抵抗を示すように
堂々と何も持っていない手の平を青野にむけて振った。
「別に、どうだっていいだろう」青野は矢田に向けて返す。
睨み合いとなった。
そして「あ……」菜野は玄関ホールについて明らかに緊迫した雰囲気に声を漏らした。
矢田が青野に銃をむけられている。
ギリ、と歯ぎしりをした。
菜野とコンビニで一緒にバイトをした男、猟奇殺人事件の犯人だと知った時憤りを感じた。
大して関係がないとはいえ犯人と気づけたかもしれないと思うとやはりいかんともしがたい気持ちが沸き上がる。
だから
「 ‼‼」大声を出したい気持ちを抑えつけて無音で叫び。
青野に菜野はとびかかった。
「ッなっ!?」
ゴロゴロと青野と菜野は転がりながら取っ組み合いを始める。
「青野お前‼‼‼」奇襲をかけた菜野の方がマウントを取って青野より有利かに見えたが
青野の力が強く、菜野は蹴り飛ばされた。
「菜野さん!?どうして監禁したのに出てきてる!?」青野の言葉は無視して「矢田‼‼こいつが猟奇殺人事件の犯人だッ!」
菜野は矢田に叫ぶ。
矢田の行動は速かった。
青野を取り押さえようと菜野の叫びが終わる前に走りだした。
しかし青野も速かった。
パン。と一発銃を片手で矢田に向けて撃った。
射撃の速度を優先したせいでしっかりと狙うことは出来なかったが、それでも矢田の脚を掠った。
「グッ……この‼」怪我しても、矢田は走るのを辞めなかった。
正義に生きる男ゆえに。
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一方その頃パシャパシャパシャ。
とシャッターを切る音が何度も何度も鳴り響く。
「いやあ、いいねえ、いいよッその表情ッ‼‼‼‼」
利知の目の前に、桂葬儀がカメラをもって立ちふさがって写真を何枚を何枚も撮っていた。
利知は「チッ」舌打ちして桂の横をすり抜けていこうとするが桂は利知が抜けて行こうとするところに立ち位置を細かく変えて妨害してくる。
「何ですかアンタ、何なんですか‼‼‼」怒鳴りつけて殴ってでも進もうと利知はした。
しかし「いやあ、いいじゃないの、君いい表情してるってさあ」
アカネが利知に「ちょっとこの人変よね……」と漏らす。
利知は、そうだなその通りだ。と思う。
「……どいてくれませんか」
立ちふさがってくる桂に利知はイライラとさせられる。
「いやあ、良い表情!もっと撮らねば!」
だが、桂と話がかみ合わない。
「あのっ!」桂に向けてもういっそ暴力に頼ろうか、と利知が思ったとき。
突然前触れもなく桂が利知の『向こう側』にカメラを向けた。
つられて利知もカメラの先を見る。
いた。
赤い化け物がそこに当然のようにいた。
カメラの先にいた。
「おおっ、すっげえ‼‼」桂は、口角を大きくつり上げて笑顔で写真にその赤い雄志を収めようとした。
登場がかなり唐突だ、と利知は思う。
しかし口には出さない。
出したところで赤い化け物が消え失せるわけでもないのだし。
しかし「あっ!?え!?なんだよ!」利知は桂の手を強く引いていつの間にか走っていた。
赤い化け物が後ろから追ってくる。
利知と桂、二人を殺そうと追ってくる。
「利知、何してるの!?その人置いていきなさいよ!」
アカネが利知に怒る。しかし利知は無視する。桂に聞かないといけないことがあるから。
自分のやっていることがおかしいなんて、分かっていた。
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ドスンドスンドスンと、いう大きな音とそれに伴う振動で
青野、菜野、矢田。
三人はまともに動けなかった。
「くッ!」膝をつく菜野。
立ったままバランスを取って青野を取り押さえようともがく矢田。
転倒した青野と、三者三様に振動に翻弄されていた。
「何なんだこの振動‼」矢田が文句を叫ぶ。
ミシミシと屋敷全体が揺れている。
ドガ―ッとか、ドギャとか、何かでかいのが何かにぶつかるような音もする。
そしてその音の出処は動いて来ていて
すぐ近くまでそれが来た時。
そして音が、止んだ。
「……?」菜野も矢田も、青野も。何が起きたのか理解できなかった。
そして。
怪訝に思いながらも三人とも立ち上がって、音のしていた方を見ると。
青年と少年が階段を転げ落ちてきていた。
少年夏なのに緑色のセーターを着た少し小柄な奴だった。
「うわあああああああああ‼‼‼‼」
「あ」菜野は少年が利知と気づく。
それどほぼ同時に矢田が青年は桂だと気づいた。
突然の唐突な出来事に三人とも静寂を生み出したまま利知たちを見る。
ねこだましの音のように注意を逸らす彼らがとても気になって、今争い合っているのを忘れていた。
倒れたまま、利知は必死で何かから逃げようとする。
「お……おい、利知?」菜野は利知の手を取ろうとした。
しかし。
それを見て青野が突然。
「危ない!」
「ッ!?」菜野を突き飛ばした。
菜野は床に打ち付けられながら、見た。
階段の上から、菜野のいたところにいる青野に赤い化け物が飛びかかって、潰した。
ごろごろと赤い化け物は転倒して転がって、屋敷の入り口の前で止まった。
菜野には時間が、止まったような気分がした。
「……なんで」
ボソリと呟く。
青野がいなければ、死んだのは自分だった。
だけど、自分をかばって死んだのが納得できない。
どうして殺しまくった奴がそんな大した関係じゃない人のために死ねるのか、菜野には共感できなあかった。
「う……ぐ……」利知は、転げ落ちた痛みに耐えながら桂と一緒に立ち上がって、気付いた。
まず、菜野と矢田がいること。
自分のすぐ足元に青野のぐちゃぐちゃになった死体が落ちていたこと。
そして、赤い化け物が入り口の前にいること。
つまり。
逃げ道を潰されたこと。
今回のまとめ
利知が桂と一緒に赤い化け物から逃げる、そのせいで菜野・矢田と戦っていた青野が死ぬ。
さらに、赤い化け物が利知たちの逃げ道を塞ぐ。