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燃え行く
散歩していた矢田は、異臭を感じた。
ごうごうと何かが燃えていた。
明らかにおかしい、近くから灰の匂いがする。
煙がすぐ近くから立ち上っている。
走ると、野次馬たちがいてその視線の先にぼうぼうと燃える家があった。
表札には山坂と書いている。
利知の家だった。
「利知君!?」
家に向かって叫ぶ。
矢田は利知が心配だった。
返事がない、とにかく消防車を呼ばないとと矢田はスマホを取り出した。__
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一方その頃、利知は上松を殺すことができず。
学校から走って逃げ出していた。
そしてどうしようかと迷っていたのであった……
「あれ?」アカネの呆けた声、アカネが何かを指さす。
利知の家の方向から煙が上がっている。
不安になって走った。
そしてその不安は的中した、利知の家がごうごうと燃えていた。
体調が悪くまともに動けない父のいる利知の家が。