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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
結局日常の中で無意味に非日常は続くんだね
54/89

その袋に何を入れてるんだよ?

少し、利知君と読者の方のノリが今回あっていないと思いますが

これは、利知くんが持ち前のネガティブさによっていろいろな出来事を瞬時に察した結果です。

利知はそのビニル袋を見て。

ボロボロ泣いた。

赤い、赤いそれは、ヨモギが持っているそれは

どうみても、人の頭部だった。


利知は、ヨモギの手を引いて人目のつかないところへ走る。

人に、その場面を見られたくなかった。

きっとまた嫌なことになると利知は心の奥底で感じていた。


「なあ?その袋、何で持ってるんだよ?」

利知はすべてを察してしまった。

だけど、そんなものすべて自分のカン違いなんだと無理やり思い込んで。

自分の直感は間違っていると証明したくて。


「ヨモギ!」ヨモギに聞いた。

利知は、自分が考えた可能性は全て間違っているんだろ?

と思う。

だって、むちゃくちゃだから。



「……私が、殺したの」

「何でだよ……!」

利知は袋を奪い取り、中身を見る。

予想外れろと念じた。

せめて、あの娘の頭じゃないのがでてきてくれ。

外れなかった。


古賀が、苦悶の表情を浮かべて、死んでいる。


心の隙間で傷が荒いから、ノコギリでも使ったのかなと利知は冷静に分析しつつも

ボロボロ泣いていた。


「何で……ヨモギ……殺したんだ……古賀を……」泣きながら、しどろもどろに

聞く。


何もかも最初から、気づくべきだった。


いつ、盗聴器が仕掛けられていたのか。

ヨモギが家に来た直後に発見したアレ。

アレは、ヨモギが仕掛けたとすればすっきりする。

だとすると、ヨモギはフォバルナエタ会だ。


利知は首を振った。

ヨモギを信じたいという願望がある。


なのに。

「……ねえ利知くん、古賀 が 首を切り落としたら死んだの……」

ヨモギが、利知の願望を崩していく。

「ねえ 私のあげたお菓子はおいしかった 精神安定剤 とか が 入っていたんだけど」

そんなもの幻想だと。

無意味な妄想でしかないのだと。


「どうしてだ‼どうしてなんだ‼‼‼‼‼‼‼」利知は泣いていた。

ぽつぽつアスファルトに涙が小さく黒いシミを作る。

「ヨモギ!何で殺したんだ!なんでフォバルナエタ会にいるんだ!何で‼‼‼」


「避けて!」アカネの指示。

利知は、体をひねらせた。

さっきまで利知がいた空間をヨモギのナイフが切り裂く。


「なんなんだよ!無意味だろお前ら!なんで無駄に殺したり無意味なことばっかりするんだ!

何でそんなに命をもてあそべるんだ!」

「意味が無いから」ヨモギは、当たり前のようにそう返し、また利知に一閃。

利知の人差し指が切り飛ばされる。

しかし、また治る。


「クソ!何でお前は俺にナイフで切りかかって来るんだ!どうして!」

「意味が無いから」ヨモギの目は虚ろ。

そして、利知が持っていた袋の持ち手を切った。

ごとり、と中の物が落ちて転がる。

古賀の頭部が、乱雑に髪を振り乱してごろごろと。


「もういやだ!なんで俺の周りはいつもこうひどいことになるんだよ!?」

必死で、ヨモギに無意味な殺し合いをやめるよう言葉を投げかける。

なのに

「利知君って、死神みたい!」

ヨモギは止めない。


「利知君って、勇者や英雄になれるようなタイプじゃないね!」

笑っているのか泣いているのか怒っているのか、感情がごちゃごちゃになって

めちゃくちゃになっているヨモギの攻撃を耐えながら利知は

だんだんナイフを避けるのに慣れてきた。


__今なら、タックルでもかけて押さえつけられるか!?__

そう思った瞬間。

利知の右太ももが、打ち抜かれた。

いつのまにか、銃を出していたヨモギ。

利知をヨモギが撃ったのは明らか。


利知にっとっては死なないしすぐ治る程度の怪我、焦る必要はない。

だが、タックルは無理。

利知はヨモギの隙をついて、ターン。走る。銃声。利知に向かう弾丸。外れた。

利知は、そうして車のカゲに射線を切る様に素早く隠れた。


隠れたは、脚の怪我の治癒時間を稼ぐためと

アカネと相談するためだ。

できる限り早口で、簡潔に二人は会話する。


「ヨモギを拘束したい」

「してどうするの?」

「事情を聴く」

「そうね、あと5秒程度でその怪我治るわね」

「ああ、タックルかけるからタイミングを頼む」

「0と同時に行ってね」


アカネは「3」

ゆっくり、ヨモギが近づいてくる

「2」

ゆっくりと、利知は緊張した

「1」

力を入れる

「0」

ヨモギにタックルを仕掛けた!


「ヨモギッ!」友達に暴力を仕掛ける罪悪感はあるが仕方がないと利知は思う。

結果として、成功した。


利知はヨモギを押し倒した。

そうするとさっきまで執拗に利知に攻撃を仕掛けていたのがウソのように

抵抗しなかった。


それどころか、利知を扇情してくる。

「女の子……押し倒すんだ」

どこか色っぽく。

だがすぐにそんなことやめ。

「好きな娘を殺すような人だもんね」

利知は、ヨモギの顔面をぶん殴った。



「やめなさい利知!」アカネの声で、目を覚ます。

気付けば利知はギリギリ歯ぎしりをしながら、

ヨモギの首を絞めていた、完全に殺すつもりで。

ぞっとして慌てて手を離す。


「っごめん」利知は謝るが

ヨモギは咳込んでその後利知を睨み付け。

ニヤニヤ笑いながら言った。

「本体を殺すと、コピーも死ぬ」

そんな彼女の表情の裏腹で彼女の瞳に移っているのは虚無。


そういった後、ヨモギは利知を突き飛ばした。


________________________

また利知は助けられなかった。

誰も。

手を伸ばそうとしたのに。

目の前にいる少女すら。


__________________________


ヨモギは口に銃口を突っ込んで。

撃った。

血しぶきが飛び散った。


_____________________________

日が沈みつつあり夕方。

「なあ、起きろよ、起きろって、起きろよ、起きろ」

ヨモギの死体に涙はこぼさないで泣きながら利知は話しかけていた。

「おかしいだろなんでじさつなんてするんだよ無意味だからってなんだよ

結局お前なにがしたかったんだこんな死に方していいわけないだ」

「おい!おい!何で起きないんだよおかしいだろこんな、こんな無意味な」


利知はもう涙を枯らしてしまっていた。

ただただ胸くそ悪さに吐き気を感じていた。


「起きろよ、ヨモギ!」

起きない。

ただただ、そこには死体があるだけ。


―――――利知君はもっと周りを信用して良いと思うなあ――――

何度も何度も、頭の中に彼女の言葉が反響した。

______________________________

本体が死ぬとコピーも死ぬ。

利知は、まだその言葉の意味を知らなかった。

ただ、今は何も考えず家に帰りたかった。


寄り道や遠回りせず帰路を歩む。

陰気臭い表情をしていて、周囲の奴に睨まれることがあるが気にしない。


ふらふらと、歩く。


アカネは、そんな利知を見て。

その真実を言うかどうか迷っていた。

本体が死ぬとコピーも死ぬ。


これは、利知にとって死刑宣告でしかないのだから。

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