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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
結局日常の中で無意味に非日常は続くんだね
52/89

サブヒロインメイン回

利知は、やみくもに走っていた。

「多少は行く場所にアタリを付けて……」アカネのアドバイスはもっともだが

利知には、そんなことできない。


商店街の牛丼屋とか覗いてみたがいない。


古賀に危険が迫っているかもという不安、というより……直観

それは

体中に染み渡る。

今すぐ古賀を見つけないと。

そういった感情が、支配する。


何となく、ミノリを殺した海岸ものぞいてみたが

悲しくなるだけで得るものは無かった。


「クソ!」矢田や菜野に連絡を取ろうとしたが、繋がらない。

矢田も菜野も忙しかった。


つまり、利知一人でどうにかしないといけない。


と、住宅街をかけて。

ヨモギの家があることに気づいて、迷わずインターホンぽちぴんぽんぴんぽん

がちゃ。


「なんですか・・・・・?」ヨモギの母親が出てきた。

がっくりときた。

古賀とヨモギは親友。

なら、古賀は自分のことをヨモギくらいには言っているかもしれない、そのことを聞いたら彼女の居場所の

手がかりがつかめるかもと思ったのだが。

そういえば今、学校の時間だしヨモギはおそらく教室で授業を受けているだろう。

「その……ヨモギは、古賀……自分の友達がどうとか、言ってなかったですか?」

一応、利知は聞いた。


どうせ手掛かりはないだろうが、聞かないよりすっきりする。

が。

返答は明らかにおかしかった。

「……ヨモギって、誰?」

「……は?」利知はそんなことしか言えなかった。

「え――ッと?ところで君は」

利知は踵を返して駆けだした。

明らかに一瞬空気が凍っていた。


______________________________

「くそ古賀……!古賀……!」残った数少ない友達の一人。

利知は、絶対に見つけてやると焦っていた。

「古賀ア!古賀ア!」人ごみの中を足を踏まれたり、スリに財布を取られたりしながら探す。

うるせえ死ねとぼそりと文句を呟かれても。

「利知ッ!?お前学校は!?」人ごみの中、利知は誰か知り合いとすれ違う。


父親だった。

人波に流されて利知からぐんぐん引き離されていく。

利知は、ガン無視した。

「利知ッ!?」もう他のことは目に入っていない。


古賀は、ヨモギと一緒に。

ずっと利知と友達でいてくれた。

利知はずっと彼女たちが好きだった。


例えほぼ無駄にしかすぎなくても。

利知が探すのを辞めるなんてできない。


人ごみを抜けて。


「利知君のお父さん、不登校心配してくれるんだ――」

ヨモギが、利知の目の前に現れた。


「ヨモギ!古賀が、古賀が!危ないかもしれないんだ!」

泣きそうになりながらすがりつく。

「利知君」

ヨモギは、優しく微笑んで。


その、右手に何か重いものが入ったビニル袋をさげていた。

_________________

利知は気付かなければよかった。

がたがた家で古賀の危機を「俺には関係がない」そう言って放っておけばよかった。


ヨモギと会わなければよかった。


何も知らずにいれば、幸せだったんだ。


利知は、運悪く見てしまった。


その、袋の中身。


ガサガサしていて、見ちゃだめだなんてわかってるのに。


あきらかに、重たそうで見ちゃダメと知っているのに。


赤かった。

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