亜世界 4 本作のサブヒロイン×1
赤毛の少女、彼女は利知の前に現れた。
そして、突然のことに利知は腰を抜かした。
以上、前回のあらすじ。
赤毛の少女は「さて、ここで問題です私は何者でしょう?」
と高いテンションで聞く。
利知は、困惑した「こ、答えなきゃダメ?」
コミュニケーションが苦手なので、しどろもどろになりながら聞く。
「10、9、8、7、6、」
カウントは勝手に始まった。
利知は慌てて答える。
「幻覚!」ブー、と少女は擬音をわざわざ口に出し、不正解と告げる。
「え、え、え、っと俺の妄想!」ブー「えーっと、幻覚!」もう時間切れよ
「うっ!じ、時間切れだとどうなる?」特に何も。「なんだよそれ!結局お前はなんなんだ!」
利知に聞かれて、当たり前のように少女は言う
「知らない」
「なんで」
威圧的にとげとげしく利知に言う。
「知らない」
「だからなん」「知らない」
食い気味。
利知は困り果てた。
いきなり現れた少女が、自分のことが何者か?
なんて問題だしたくせに答えを知らない。
色々、むかつく。しかし利知はヘタレだからその怒りをあらわにせず
優しく、相手の気に障らないよう。「じゃあ、分かるところから話して」
赤毛の少女はハキハキと言った。
「私記憶がないんだー、だけど、なんとなく君を助けなきゃっていうのは覚えてるの」
利知はそれを聞いてあほくさ、そう思う。
何で面識もない奴が自分を助けるのだと。
「じゃ、よろしく、私のことは勝手な名前で呼んで」
ガンガン話を進める少女に、文句を言おうと詰め寄った。
そして、視界にスリープ状態になってパソコンの暗転した画面が入る。
利知だけがうつってる。少女はうつるはずなのにうつってない。
「ゆっ!ゆうれい!?」利知の膝はまたがくがく震えだした。
「かもね」少女はとくに表情を変えない。彼女に足はある。
しかし、海外は結構足のある幽霊の話があることが利知の想像をかきたてる。
「ん、じゃあ今から名前付けてよ?お前と呼ぶのをやめなさい
夫婦でも恋人でもないんだから」
利知は、恐怖からただ相手の言うことに従う。
「……じゃあ、ア、アカネって呼ぶな、これから」
「ん、おーけー、じゃ、またね」
気づけば、利知の目の前から少女は_アカネは_
消えていた。
部屋に満ちていた独特な空気も抜けている。
利知の体中からどっと力が抜けた。
話すことは緊張させた。
利知は現実逃避を始めた。
うん、あれは夢だ、幻覚、わー俺ヤバい―
うん、あんなの見るのは疲れてるだけで
決して俺が何かの渦にいるなんてそういうことは。
だが、現実逃避はただの逃避。
現実がなくなるわけない。
だから。
「また会ったね」
少年の頭の中で、声が響く。