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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
結局日常の中で無意味に非日常は続くんだね
44/89

少しだけ、矢田の話

_________少しだけ、矢田の話________________


利知は利知であり、菜野は菜野であり、矢田は矢田である。

だから三人ともお互い何をしているのかなんてさっぱり知らない。


ただ、フォバルナエタ会と猟奇殺人事件でつながっているだけ。


だから、矢田が猟奇殺人事件が起きた場所が住んでいる街ばかりだから

犯人もこの近くに住んでいるとアタリをつけたことも……

矢田が利知と菜野の事故について調べていることなんて二人とも知らない。


矢田は、やる必要はないのだが利知と菜野の事故のことが無性に気になり隙間時間に

ネットや資料を使って調べてみた

フォバルナエタ会について何かつながるかも知れない。

なぜかロクに捜査をしない____フォバルナエタ会員はどこにでもいる、そういうのが手を回しているのだろう___警察の流れに彼は逆らっていた。

十年前の

新幹線の脱線事故。

この街、安水町から少し遠い陽火町に向かう新幹線で起きた。

高速で運転しているそれが脱線して森に突っ込んだ。

映像記録が残っておらず、詳細が不明だが生存者を何人か保護できた。

資料に名前は書いていないがそれが、好菜野と山坂利知の二人であると矢田は知っている。


そして、矢田は資料に書かれた一文に目を留めた。


尚、数人の近隣住民から赤い化け物を事故の時見たという証言があるが

詳細は不明

なにかの見間違いであるだろうが、一応記しておく


見間違いというものも大きな手掛かりになることがある。

たとえば、煙をもやもやしたお化けと見間違えていた

変な格好をした犯人を本物の怪物と思い込んだり

そういう真実に近い見間違いは、その誤りを正せば真実につながることもあると、矢田は思っている。


だが、これはどうだろうか?


矢田は、錐や利知の口から赤い化け物を聞いたことがある。


……これ、見間違いではないのではないか?


矢田は何かうすら寒いものを感じた。



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