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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
現ハは非現ヲ交錯サセル
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亜世界 3 真のサブヒロイン×2

利知は今日も悶々としていた、思えば、あの「目」を見てから

ずっと不安がっている。

最近ニュースで『スーパーの倉庫で死体が発見』なんてもんが話題になってるのもなんかキツイ。

そういう時、彼は大好きなアニメ「ヂーギンペムルマ」の

やれやれ鈍感系ヒロイン 才川 才賀 (さいかわ さいが)

のフィギュアを両手で握りしめると落ち着く。


もちろん、周りから見れば変に見られると少年はわかっている。

だからこそ、落ち着く。勇気が出る。


もっとも、引きこもってる時点で勇気があるとはいいがたいが。


利知の家に、親がいるときは少ない。

利知が生まれて母親はすぐ事故で死んで

父親は仕事が忙しい時期で、ほぼ家にいない。


なので、利知が学校にいかず、自室のパソコンでアニメばかり見ているのを

止める者がいないのだ。

「あー、ヂーギンペムルマシーズン2 来週で最終回じゃん」

少年はもう5日ほど現実逃避していた。

ヘタレすぎる。


変なことが起きて、変な人に絡まれて

利知はめちゃくちゃ外の世界におびえていた。


食事もろくなものを食べていない。

家にあったものを、適当に食べるだけ。

だが、冷蔵庫の中がすっからかんである。


もういっそ塩と醤油と砂糖だけで晩飯を済ませてしまうかと悩むと。

玄関のインターホンが鳴った。


利知の心臓が跳ね上がる、まさか、あの菜野とかいう人

何かしに来たのか?

それとも、あの赤いなにか、俺を殺しに来たのか?

そんな風にネガティブな妄想に支配されていると。


「利知君!麻君がしんぱいしてたよ!

早くおうちから出てきなさい!」

幼馴染の声だった。ヨモギという名前の。


利知はホッとすると同時に、緊張が解け気を失いそうになる。

こらえて、幼馴染みの彼女を迎えに行った。


玄関、利知の目の前で、小学生のころから交友のある

二人の少女がべらべら話す。

どちらも幼馴染だ。

「利知、今回はどんな理由で引きこもったのよ?」

「このまえは、15人の不良に恨まれたからだっけー?」

「それなんでだっけ?」

「確か、人違いで利知君が不良らのリーダーをボコボコにしたって誤解されてたから」


引きこもりの理由を覚えていない、頭の悪そうなほうが ヨモギ 天真爛漫な少女だ。

覚えているほうが 古賀 という生真面目な少女だ、


「な、何だよ、お、お前ら、何しに来たんだよ」

ビビりながら利知は、ヨモギの手に袋が握られているのを見た。

「いやー、私クッキー焼いてきたから」

そんなこと言いながら。

ずかずかとヨモギは、玄関から家に入ってくる。

突然なので誰も止めることはできなかった。


靴を脱いで、ガンガンとヨモギは進む

そして、階段を上がっていく。

古賀はたどたどしく利知に言った。

「じゃあ、私、帰るね学校来なさいよ」


そして、ドアをバタンと閉め本当に帰った。

利知はお前何しに来たんだと思う。

心配して様子を見に来てくれたということに気づけない少年なのだ。


二階から声が響く

「おー利知くんのへや、すっごー」

利知の体中から汗が噴き出した。

階段を駆け上がり、自室へ飛び込む。


思春期の少年の部屋には、見られて恥ずかしいものは大量にある。

大量の美少女フィギュア、男性向け恋愛ゲーム、アニメのポスター。

それらが大量にある部屋なのだ、普通の神経してたら誰にも入って欲しくない。


だが、部屋にはヨモギが入っていた。

あわててヨモギを追ってきた利知を見て

ヨモギはへらへら笑う。

そしてクッキーの入った袋を差し出した。


「食べて」利知はそう言われて、渋々一枚クッキーを取り口に放り込んだ。

ヨモギはよくこうして菓子を作って持ってきてくれるが

なぜか自分で食べようとせず、利知に食べさせようとするのだ。


クッキーは、硬くて甘い。

先ほどの焦りがウソのように消える。

利知はもう一枚袋からクッキーを取って食べた。

するとヨモギは「たべたから、学校来てよー?」

と、頼む。


「い、行かない」

利知は拒否。

「あ、クッキー恵んだのにー頼み拒否された、恩知らず」

ヨモギは上手く利知の心を抉る。


「そろそろ学校行かないと、勉強おいてけぼりだよ?君そんな頭良くないんだから」

ヨモギは利知が引きこもる時、彼を外に出すその方法を熟知していた。


「あ、じゃあ私帰るね」

そして、ヨモギの行動は突然だ。

もうちょっと居てもいいんじゃないのという利知が止める暇もなく

彼女は踵を返す。

そして、ガンガン進み、利知の家の外に出て帰っていく。


利知は、なんだかどっと疲れた。でも、明日は学校行くかとぼんやり思う。

そして、パソコンで小説投稿サイトを見た。

息抜きに面白い作品を探そうとしていたが。


利知は何かの声を聞いた。

小さな小さな声だ。

「やっぱり、印象は強いほうがいいよね?」

そんな言葉が聞こえて。


突如、利知の体温が下がる。よくわからない不安がこみ上げる。

世界が何だかすべて変わってしまったようにすら感じた。


その恐怖から逃げるため、パソコンの画面に集中した。

そして、適当に小説を読むことにする。


_え、ウソ?_利知はそう呟いた。

その小説は、こんなものだ<山坂利知は友人の麻と下校中>

画面から目をそらす。


「まさか、また亜世界?いや、なんで?何も見てないのに何で?

この世界何なんだ?」

意味不明なものに対する恐怖と疑問がわく。

そんな疑問に答える奴がいた。

「あなたの世界よ」

利知は声のした方に振り向く。

そこにいたのは

赤毛の少女だった、セーラー服を着て、利知と同年代くらいで

どこかで見たような顔をした。


いつの間にか利知の部屋にいた。


「うわあああああああ!」

不気味な少女に、利知は悲鳴を上げる。

その悲鳴は、だれに届くこともなかった。

伏線とかネタバレしたくなる

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