亜世界転移 走れ、彼女の元へ
赤い化け物になれる人間は「赤い化け物の力を得た人間」になれません。
赤い化け物になる薬を飲んだりした時に適応力が異常に高いと赤い化け物になり、適応力が普通だと葵のような存在になり、低いと死にます。
走っていた。
利知は、ミノリがぼそぼそと言っていた
海岸に向かって必死で。
息を切らしながら走る。
走りながら考える。
生まれた意味、生きる意味、死ぬ意味。
なぜ自分は何度もひどい目に遭いなぜミノリが化け物にされたのか。
______意味なんてねえよ!_______
走りながら。
「ぷ、ぜひ、びゃ、ゴフッ!」
流石に息が持たずそれでもどうせ死なないだろと利知はタカをくくっていたが
「げほげほげほげほ」咳が止まらなくなり
「休憩しましょ!ちょっと」アカネに止められた。
少し休憩
利知は自販機でビタミンたっぷり系飲料を買って飲みながらアカネに訊ねる。
「・・・・・・たぶん、戦うことになるよな?」殺し合いになるとは、言えなかった、言いたくなかった。
「ええ、でも勝算は?」
利知にはない、それでもミノリを見捨てられない。
だから利知は必死で考えるどうやって戦うかを、自分を奮い立たせるために。
「……さっき通常の武器がミノリに効いてなかった
あれ、菜野さんと一緒にいた時襲ってきたフォバルナエタ会の女の人も似たようなことになってたよな?」
アカネは頷く。
「でも、俺はあの女を殴れた、ミノリにも攻撃できるかもしれない……殴りたくはないけど」
アカネは「でも、攻撃できるの?ああ、この質問は心理的な意味じゃなくて、物理的な意味ね」
利知は頷かず一気に持ったそれをを飲み干す。
黙ってまたずんずん進む。
ミノリが好きな自分が、何もできなかった自分が、責任を取らないといけないと思った。
殺さないといけないなら自分の手で殺さないといけないと思った
自分と関わらなければミノリはああなることなどなかった。
つまり、この不幸は自分のせいなのだから。
アカネはそんな利知をみて「痛ッ」ズキズキと頭を痛め。
頭の中のどっかで蓋がぽこんと開き。
断片的に言葉を浮かべる。
___本体 壊せ いい 散らばった も 死ぬ ___
もともとアカネは不完全な存在、記憶に欠損がある。
だから今ここで変な言葉が出てきたことに、「思い出した」のだろうと疑問は抱かず
言葉の間を埋めてみようと考える。
___本体を壊せばいい散らばった も 死ぬ_______
アカネはああ、と思った。
赤い化け物たちは特定の箇所を破壊しない限り絶命することはないという記憶がよみがえってきた。
ミノリとこれから戦うからだろうか?
そんな考察をしながら、利知にそのことを伝えようとして。
ぞわりとアカネは気持ち悪さを感じた。
腹の中でぐちゃぐちゃと何かが暴れまわっているような。
なんだか、何か大事なことを忘れているような。
気付かないうちに色んなカードを入れた財布を落としてるような。
_____散らばった も 死ぬ ________
アカネは吐き出しそうになった。
しかし利知にはなんだか絶対に悟られちゃいけないと思った。
だから、平静を装いながら
赤い化け物の本体を壊さないといけないよう利知に伝えた。
利知は、アカネの望み通り。
前だけ見てミノリの元へ走る。
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ミノリは海岸へ走っていた。
泣くように鳴きながら、進路に立ちふさがる人間を叩き潰す。
やりたくなくても体が勝手に動く
それでも、利知に言ったから。
「海岸で、殺して」
この近くの海岸はドロドロと汚れていて近隣住民は
近づかない。
誰にも、利知に殺されるところを彼女は見たくなかった。
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利知は、ミノリは
海岸についた。
もう陽は落ちかけ闇があたりに漂い。
利知は辺りを見回す。
いた。
たとえ赤くて人の原型をとどめていなくても
その立体的楕円に腕と逆関節の脚を二本づつ生やしたようなフォルムだろうと
それは、ミノリだった。
利知が好きになってしまった少女だった。
次回もしくは次々回もしくは次々次回、ミノリ編完結
のはずです。




