お前は人間じゃない
悪いことの次に悪いことが起きるなんてことしょっちゅうあります。
利知は、ミノリの家、屋敷の門をくぐり
中に入り、蔓延する満ち広がった血と死の匂いで嘔吐しそうになった。
「ミノリ!ミノリ!どこだ!?」それでも、泣きそうになりながら利知は彼女の名前を呼ぶ。
やっと見つけた希望なんだ、手放してたまるか。
あんなにやさしい彼女を、こんなところで失ってたまるか、と。
廊下を歩きだし
「うわっ」
よろけ。
足にだれかのぶちゅぶちゅな元人間が引っ掛かったと気づき。
利知は泣きそうになった。
「クソ、何でこうなってんだよ!?」
「何で俺の周りは酷いことになるんだ!!」
文句を垂れ流しながらもミノリを探そうと、走る。
利知は、ひたすら走る。
が、廊下の角を曲がろうとして止まってちょっと戻った。
「ヤバそうな人がいる……!」
道の先に、この豪邸と全く雰囲気の合わない大柄な男がいた。
こんなそこらへんにゴミのように死体が転がっているというのに平気で堂々と
歩いているということは
おそらく敵。
「やり過ごさなきゃ……」
と思って自分の走ってきた道に振り替えるが隠れられそうな場所の数は「0」
どうしよう?どうしよう?
と泣きそうになる。
諦めてはいけない。
それはわかる。
ミノリを探さないといけない。
相手と戦ってでもどうにかしなければいけない
でも怖いし利知は弱いし絶望的だ、それが利知の足を止める。
恐怖が息切れを起こす。
一応作戦は思いついたが
利知は緊張していた。
そして、廊下の角から先ほどやってきていた男が現れた。
利知はその瞬間に走り出す。
相手がわけもわからぬうちに自分のやりたいことをやる
そんなが作戦だった。
男は突然の利知に驚き反応が遅れ、取り逃がした。
利知は、振り向かず走った
おそらく敵であるはずの男から逃げるため
それは正しい選択だったが
利知は少しばかり足が遅く、不運なことに男は足が速かった。
利知は「あぐっ!」男に低いタックルをかけられて捕まえられた。
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「離せ!」利知は暴れる、男の手から離れようと。
「ち」男舌打ちをして利知の顔面を殴りつけた。
利知は鼻の骨がめっきりと折られた苦痛に身悶え、完全に抑え込まれてしまった。
男がゆっくりと口を開く。
「フーン、聞いてたけど気持ち悪いなお前」
利知の折れた鼻は、ぐんぐんと治っていた。
利知は男の手から逃げようと思い、睨んでチャンスをうかがっていた。
「……そうだ!」男はポケットからライターを取り出す。
そして、着火。
「これ使ってみるか!」男は利知の腕に火を思いっ切り点けた。
利知は、苦痛にびくびくと何もかも忘れ叫ぶ。
「ああああああああああああああああああああああ!!!!」
「はは!おもしれっ!火傷したところから治ってく!」
男は、首にも火をつけてみた。
「あああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
「あっはっは、治ってく!こんなお前は人間じゃないな!化物だ!」
利知のいつからか持っている力、強力な治癒は利知を助けることはなく
ひたすら、ひたすらに苦痛を長引かせ。
そして、利知は気絶した。
目が覚めると、利知は暗い場所にいた。
「……独房、檻?」
暗い暗い、檻の中に利知は閉じ込められていたのだった。