ようやくシナリオに絡みだすメインヒロイン
揺れるカーソル。
死にそうになりながら。
不眠不休で白紙錐は、パソコンに向かっていた。
彼女はフォバルナエタ会で聞いた全ての会話を録音し
それをパソコンに取り込みチェックしていた。
『いや、その少年は不死なんだろ?どうやって……』
利知は、ミノリの家に呼ばれ
ビビりにビビりまくっていた。
デカい、デカすぎる。巨大壮大極大なその屋敷。
頭を抱えて、踵を返して逃げ出したくなるが
それをすると明日ミノリと気まずいので門へ向かった。
黒服の人に案内されて殺風景な部屋に通される。
ミノリがいた。
利知を見てほほ笑む。
「よく、いらっしゃいました」
「な。何の用で俺を呼んだんだ?」
パチン、とミノリが指を鳴らすと
黒服の人が拘束した悪そうな人を連れてやってきて
そして、利知の前に放り投げた。
よく見ると麻や利知を襲った奴だった。
「利知くん、捕まえてきましたわ」
「ファッ!?ちょ、ちょっと待って。一体何してるんだよ!?」
「殺したい、でしょう?」
首をかしげるミノリ。
利知の中のここから逃げたいという思いとアカネの逃げちゃダメという思いが拮抗して
利知は動けずにいた。
「あなたのことが、好きですから、復讐の、機会を」
利知は頭の中で言葉を飲み込んで。
___________好き?__ストーカー
連想して。
「まさか!?俺の部屋に盗聴器を仕掛けたのお前か!」
「違いますわ」即答されてしまった。
「私はあなたの味方です」
その言葉に嘘はなく感じた。
利知は、とりあえずナイフを差し出して「これで刺して下さいまし」と
言ってくるミノリを制止し。
「……そいつを解放してくれ」そう頼んだ。
「よろしいのですか?」
利知はその決断が正しいと思っていない、ただ。
「もう、そいつが悪いことしないようしっかりと言っておいてくれ」
人を罰することが、怖かった。
「そうですか」
ミノリは、ほんわかとした笑顔を見せた。
家に帰り。
利知はなぜミノリが自分を「好き」と言ったのか
考えてみたがわからない。
アカネにたずねると
「お金持ちのお嬢様だし感性が独特なんじゃ?」と答えられた。
利知は微妙な気持ちになった。