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~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
一ノ瀬
20/89

利知は、平穏な日々を今日も送っていた。

こんな日々がこれからもずっと続いて行けばいいと思った。


逸らした目。

結局、そんな淡い思いは無意味に消えていった。


「……麻」

利知は、彼の姿を見て絶句した。

頭は包帯で巻かれ

右脚が、無い。

他にもいっぱい傷だらけ

見えない怪我もたくさんある。

自分のせいだと思い、ぞわぞわと悪寒に震えた。


_______________昨日_________

麻と仲良く返っていた利知を見つけた不良は

麻と利知が解れた直後。


麻にオトシマエをつけさせた。

利知が妹を見捨てたことへの。

麻と関係がないが、それでもなにかしないと怒りでどうにかなりそうだったから。


そこまでは、まだよかった。

だが、利知の運の悪さが麻を襲っていた。

利知が運悪く不良たちに暴行を受けた


そして運悪く元気になったところを見られてしまった。


つまり不良に、「利知に対する暴行程度ならやり過ぎじゃない」という認識を与えてしまった。


利知は怪我の治りも生命力も異様なまでに強いから。


そして、麻に対して利知にやった暴行を加え。

取り返しのつかない、一生重い障害が残るほどの怪我を不良はさせてしまったわけだ。


_________________________


そして、利知はヨモギ、古賀とともに面会に来て気まずくなっている。

利知は、うつむいて泣きそうになった。


自分のせいで、麻がこんな風になったと。


利知には何も言えなかった。


自分のせいで、麻がこんな風になったと。

自責の念にとらわれたが。

謝罪しても無駄だ、麻の脚は戻ってこない。



だから、お互い一言も口を利かず帰った。


本当は謝りたかったけど、麻が周りを拒絶していたから。


古賀も、麻に一応は礼をしたが

彼女もまたなんといってよいかわからなかった。


麻も、自殺しようと思っていたから一人になりたかった。

彼はもはや、何の希望も持っていない。

脚がなくなったことだけでなく

他にもたくさんのたくさんの障害が、一生残る傷がついた。


そして、面会から帰って。

ヨモギと麻だけが病室に残されて。


「……帰らないのか?」麻はヨモギに聞いた。

ヨモギは返した。

冷たく、寂しく。

「……あなたがここで死んでも皆自殺と思うね。」

麻はヨモギの目を見た。

虚ろ。何も感じないように、考えないようにしてる。


「利知くんのせいで、こんな風になるなんてみじめ」

温厚な麻も、ヨモギを睨む。

「あなたの命は無意味だった」

ヨモギは、拳銃を取り出す。


「……!お前、何をする気だ!」

「意味は、ないわ」

ヨモギは平気でそう言いながら麻に銃口を向けた。

麻は、どうにかしようとするが

脚がない、動こうとしてベットから転げ落ちた。


「いたッ!」また傷が治りきっておらず、振動が傷口に響く。

「未来の利知くんと同じように」

麻の中で、その言葉で自殺の優先度がガクッ、と下がった。


「どういう意味だ!利知に何かする気かよ!?」

麻は、ヨモギにしがみつく。

問いただそうとした。

こんな悪ふざけをするなんてなんでだ、利知をどうするっていうんだ_

と。


パン。


静かな銃声。


サプレッサーがついてて元から静かな銃じゃないとできないような銃声。


麻の額から、上手く脳を打ち抜いている。


頭蓋骨があるから運が良ければ即死はないのだが。


麻は死んだ。


無意味に。


いのちのともしびはきえる。


ヨモギは少しの返り血を浴び、死の匂いを無感動に感じていた。

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