結局運が悪ければ。
今回は普段と趣向を変えてみました。
利知は、平穏な日々を送っていた。
それは、いつものよう。
何週間も何も起きなくて、今までの出来事は
なにもかも、利知が知らぬ間に終わってしまったかのようなまで静かだった。
もちろん、それは利知の勘違い。
願望、希望的観測。
ただの願い。
彼が、見ていないところでは事態はどんどん進展していた。
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矢田刑事は、今困惑していた。
山坂利知について調べたところ
彼は、ただの中学生だという。
しかし、一つ珍しいところがあった。
十年ほど前の新幹線事故、その生き残りは二人、そして
その中の一人が利知というワケだ。
だが。
と矢田は思う。
なぜ殺人事件に彼の名前がある?
ただの新幹線事故にあった彼の名前が。
そして、事故にあったことが名前を書かれた原因なら
なぜ、もう一人の事故に遭ったもの。
好菜野の名前はどこにもない?
という疑問を抱えていたのであった。
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菜野は、うめいていた。
マットレスの上で頭を抱えて。
タバコを吸ったり酒をがぶがぶ飲みたくなった。
でも、どっちも菜野は体質的に受け付けないなのに。
ニコチンとアルコールに心をぐいぐい引っ張られる。
引っ張り返したら頭の中で何かが暴れる。
そして、苦しむのだ。
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白紙錐は、フォバルナエタ会のメンバーと会っていた。
「あなたは、何のためにここに?」
メンバーは答えた
「自由にしていいってのと、いっぱい色んな奴と交流が持てるって聞いて」
錐は、メンバーをにらみつけ、語気を荒げた。
「だから、中学生をあんな風に殺したの……!?」
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利知に妹を見捨てられた
不良は怒っていた。
しかし、利知をボコボコにしてスッキリしたはずだった。
なのに利知は、運悪く
不良に遠くから
友達の麻と元気に談笑しながら帰宅しているところを見つけられてしまった。