表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~亜世界転移~  弱虫クソ雑魚鈍才な勇者(一秒のみ)    作者: 赤木野 百十一茄太郎
現ハは非現ヲ交錯サセル
16/89

近似の泥梨

たまにはサブタイトルも凝ってみました。

「ハア、ハア、はあはあはあはあ」

利知はカタカタとキーボードを鳴らす。

マウスをシャカシャカ右へ左へ動かす。

ハイスピードロボットオンラインアクションゲーム中だ。


自機を素早く右と左交互に動かしながら

ミサイルをガンガン発射し。

時折ジャンプしたり、フェイントをかけて

相手を翻弄。


が、相手のレーザーが利知の機体にあたり。


<ヨマの勝利>

相手プレイヤーの勝利画面が出てくる。


「ああああ!クソ負けた!」


ゲームを終了し、利知は掲示板サイトでも見ようと

シャシャと、マウスを動かすが。

反応は無し。


完全にマウスの電池が切れていた

無線ゆえに。

「あ、クソ、」

利知は、夜だけども外に電池を買いに行くことにした。

趣味ができないのはつらい。


一方その頃、菜野は。

足がもつれこけそうになりながらも走っていた。

狭い通りを抜けて、また別の狭いところに飛び込んで走る。

サバイバルナイフを振り回す女から逃げていた。

フォバルナエタ会の女である。


その頃、利知は

近道である人通りの少ない道を通って電気屋に向かっており。

「あれ?菜野さん」

「あっ、利知!逃げろ!」

殺意をもった人から逃げている菜野と運悪く出会ってしまった。


菜野の後ろに見える、充血した目を開ききった女と目が合いビビり

利知は菜野と同じように逃げ出した。


もし女の標的が自分に移った時、自分ひとりでは対処できない

だろうという事実が彼にそうさせた。


「いや、なんで私と一緒に逃げるんだよ!?

お前狙われてないんだからもっとこう・・・・・・!」

走りながら菜野と話す。


利知は体力がなく

「ぁ・・・いや・・・・・・だって」

走りながらだとこうなる。


そして、すぐに行き止まり。

二人は塀と女で囲まれてしまった。

詰みに近い。

塀を乗り越えて逃げることもやってみることはできるが

そんなことしてたら____と菜野が考えていると。


利知が塀に手をかけて必死で登ろうとしてた。

しかし手が滑るようでなかなかできない。


その時、女が爆発的瞬発力をだした。

しなる腕を使いナイフを投げる。

野球選手並みの剛腕。

隙だらけの利知の太ももにナイフが突き刺さり

痛みで彼は倒れ呻いた。


「クソ!お前!」

菜野は石を拾い上げ、女に投げつける。

流石に野球選手とまではいかないが

そこそこ剛腕。

女の顔面にクリーンヒット、したはずなのに

どろりと、水にぶち当たるかのように女の体を

石はどろりとすり抜けた。


「は!?」

菜野は、驚愕した。


そして、利知は別の感情を抱いていた。

どこかから、声がするのだ。

___戦いなさい__

辺りを見回しても誰もいない。

___殺しなさい___

頭の中で声が響いてる。


アカネの声が。


「うわあああああああああああああああああああ!」

利知は絶叫した。

そして立ち上がる。

太もものナイフが肉体にさらにダメージを与える。

ズキズキズキズキと灼けるような痛みが走る。


また絶叫して

ナイフを引き抜いた。

それは勇気でなく発狂にちかい。


そして女の顔に右こぶしを勢いよくめり込ませた。

ふらふらと女は倒れそうになり、利知に叫ぶ。

「テメエ!なんであたしが殴れるんだよお!?」


その剣幕におされ利知は泣きながら

ごめんなさい!

と叫んで土下座した。

見事な土下座である。


菜野は「うわあ……」と漏らした。あきれと驚きと軽蔑のミックスのような声だ。


「テメエえええ!なんで私を殴れるんだよオ!?」

女は素早く小さいビンを取り出し、その赤い液体が入っていた

それをごくごく飲むと

女の殴られた跡がみるみるうちに消えていく。


菜野は愕然とした。

しかしこちらに憎しみのこもった視線を向ける女に

「いい加減にしないと、ホントにお前地獄みるぞ?いいのか?」

言葉で脅す。


そして冷や汗を流しながら

菜野は「流石に使うか……」となんだか不服そうな声をあげ

スマホを取り出していた。


そしてそのスマホの画面を女に見せつける。

利知に先日見せた亜世界__DDW_に行ける画像だ。

正直彼女はこれをあまり使いたくなかった。

それが相手を地獄に突き落とすのと同じことだから。


それを見てぷっつりと糸が切れた人形のように

女は倒れた。

女の目はとろんとしていた。


「おい、利知いつまで土下座してんだ?」

未だにビビってる利知に女を倒したことと

倒した方法を伝え、もう危険がないと納得すると

ようやく利知は顔を上げた。


そして、利知は立ち上がり。

「……太ももの傷が治ってる」と気づく。

そのことは流して

そして菜野に聞いた。

「なんであの画像最初から使わなかったんですか?」


といいながら利知は気づいた。

DWやDDWに行って戻ってきたとき現実ではほぼ時間は立ってない。

十分や二十分いてもそうだ。

では、そこに倒れてる女はどうだ?

現実で数十秒経ってるのに戻ってきてないのは

DDWで何年も一人で暮らしているということでは?


どんな生物もおらずずっとずっと静寂の世界で暮らすこと

は孤独と不安しかないだろう。

そして、医者とかもいないから怪我とかしたら終わりだし。

考えると、どんどん利知は怖くなってきた。

死や宇宙の果てを考える時と似ている。


女は今、死んでいない辺りDDWで暮らしているのだろう。

今自分がこうして考えるあいだにも何年も孤独の時間を過ごしているのだろう。

ぞわぞわするしどきどきしながら利知は聞いた。


「こ、この人流石にかわいそうじゃ?」

「こいつはこっちを殺しに来たんだ、いきなりナイフ振り回してな」

「でも、やってること拷問以上じゃ?」

「ああ、そうだな」

「た、助けてあげませんか?」

利知がそう提案したのは優しさから、ではない。

やってることの凶悪さに震えたからだ。


「無理だ、DDWから戻ってくるにはDDWでもう一度あの画像を見なきゃいけないけど

どうやって見せる?

私たちがあっちに行っても、あの女と接触できないだろう

結構時間たったからDDWでのあの女の位置はここからそうとう離れたはずだ

オランダとかウガンダにいってたらもう探しようがない」


それでも、といいそうになり利知はこらえた。

相手はこちらを殺そうとしてきたやつなのだ。

菜野のように冷酷であるべきなのだ。

彼は罪悪感を無理やり飲み込み


倒れた女が持っていたナイフを一瞥して

最後に菜野に一つ訊ねた

「……もしかして、俺たちそうとうとんでもないことに巻き込まれてますか?」


________________

家に帰り、利知は今日の出来事に震えながらも

冷静に出来事を分析していく。

なんども変なことに巻き込まれて、慣れてきた。


今日のは、殺されかけてる菜野に巻き込まれただけで

『自分が狙われていたわけじゃない』

というのも平静の理由だ。


「菜野さんを殺そうとしてた女、赤いなんか持ってたな

飲んだら怪我治る……

あれ個人で用意できるようなものか?

フォバルナエタ会が刺客でも送ってきたのか?でも

なんで?菜野さんを殺す理由は……あの人はなんかあるんだろうな」



アカネが思考してる利知に言う。

「そういえば、電池は?」

「あ」

なにも話が進展してませんが一章終わりです

この章はプロローグです。

2章は一ノ瀬ミノリという少女と利知の物語になってゆきます

次章から本番なのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ