第27話 覚悟
1
湖也は座り込んだ。
周りに飛び散る鮮血、肉塊。
残酷な風景を見て湖也は罪悪感と恐怖で心を埋め尽くす。
その時、笑い声が聞こえた。
「キャハハハハ!」
気がつくと湖也の装甲が消えていた。
湖也が自分で装甲をしまったのではない、デバイスが火花を散らして悲鳴をあげている。
「やっぱり人の恐怖ってものはいいねぇ。素晴らしい!美味しい!楽しい!」
建物の影から出てきたのは二人の真っ赤な胎児を連れた小さい球体だった。
「あいつ、前も見たことあるな」
陸が言った。
湖也は放心状態にいた。
ハデスはそこから湖也の恐怖を支配する。
湖也は頭を抱え、のたうち回る。
「お前!湖也に何をした!」
陸はハデスに向かって叫ぶ。
「いやー楽しい!人が恐怖で壊れる姿を見るのは実に楽しい!あ、いやぁ自己紹介まだだったね」
ハデスは陸達の方を向く。
「僕はハデスって言うんだ。かっこいいでしょ?僕は人の感情を操作することが出来るんだよ」
「不気味な格好をした野郎だ」
血斗は空を庇うように前へ出る。
「やだなー僕は君たちには何もしないよ。その少年に用があるんだ」
「湖也になんのようだ」
「その湖也君って子はそちらのお偉いさん。夢境影正校長のお気に入りらしいんだよね。だからちょっといじめたくなっちゃった」
「止めろ!」
陸はハデスに向かって勢いよく飛び出す。
次の瞬間、陸の装甲が消えた。
デバイスが悲鳴をあげている。
ハデスはケラケラ笑う。
「その電子機器は弱いねー。ちょいといじればすぐ壊れる」
「お前がこれを…?」
陸が問いかける。
「そ。電子機器を自由に操る能力も持ってるからね」
ハデスの言葉を聞いて血斗は思い出した。
「そういえば校長が言ってたよな。暴狐は2つの能力を持ってるって」
「ま、完全に壊すこともできるんだけどね?つまらないから少しの間不具合起こすだけにしてあげよう。それより…」
ハデスは湖也の目の前までやってくる。
「どうだいこの表情!可愛いでしょ!人が恐怖で怯える所!最高だよね!これだから恐怖はやめられない!素晴らしいよ!流石は僕の玩具だ」
「湖也はお前のおもちゃじゃない!」
天が叫ぶ。
「それじゃあなんだって言うんだい?僕はねぇ、こうやって人で遊ぶのが大好きなんだ!恐怖で人間を怯えさせて、暴れ回るのを見るのがねぇ。仲間には怒られたけどこんな楽しいことやめられるわけないだろ⁉︎恐怖は快楽なり!殲滅は生誕なり!他人は玩具なり!僕が考えたスローガン、どう?かっこいいでしょ?すごいでしょ?天才でしょ?そして恐怖で屈服した人間を操って組織をバラバラにしたりとか完全に壊れてイカれる所を見たりするのがもう大好き!」
真っ赤な胎児がベロ出して陸達の周りを飛び回る。
陸は足をぶるぶる震わせながら必死に立ち続ける。
「貴様、湖也をどうするつもりだ」
「殺してみるってのも一つの考えだね」
球体の後ろから一人の少年が現れた。
目から生気が感じられず、ただ右手にナイフを持ったまま湖也に向かって歩いている。
「まだダメだよ。め!僕の隣に立って」
少年に向かってハデスは指示を出す。
その少年の顔を陸はよく見る。
「お前⁉︎あの時先生を刺したやつ!」
「お、アッタリ〜♪あの時はまだ抵抗があった様だけど今ではすっかり僕の隷従だよ」
「と言うことは…」
「そ。あの女教師を殺したのもこの子」
「貴様…!」
血斗は怒りを抑えることが出来なかった。
「やだなー僕じゃないって!この子だよこの子実行したのはこの子なんだから、僕を責めないで欲しいな」
「指示出したのはお前だろ!」
血斗は勢いよく飛び出した。
しかし飛び出した瞬間、血斗の装甲も消えてしまう。
血斗だけじゃない、その場にいた全員の装甲が消えて無くなっている。
「生身でやりあうかい?バカだねー状況考えた方がいいよ?」
震える拳を必死に抑えながら血斗は後ろへ下がる。
「君たちには興味ないから、時間潰さないでくれるかな?さて、湖也君を殺してもいいんだけど…」
ハデスは胎児を動かし頭を必死に抱え動かなくなっている湖也の左手に触れさせる。
その瞬間、湖也の左手に真っ黒なデバイスが巻かれる。
「なんだあれ…」
陸は怪訝な顔をする。
「気をつけなよ。負の感情を表に出すとさっきのように暴走する様に仕込んでおいたからね」
「お前…なんでわざわざ忠告するんだ」
「僕は優しいからね。それに、あいつのお気に入りの湖也君が君たちを滅ぼしてくれるのも面白そうだし。ヤマアラシ君達がいい具合に散ってくれたおかげで湖也君の恐怖をいい感じに引き出すことが出来たよ」
「まさか、あの暴狐達が湖也を煽るように暴れ回ったのも、湖也が倒す前に人間に戻ってこのような状況を作り出したのも…」
「全部僕の作戦だよ!」
陸達は青ざめた。
仲間を利用しさらに殺害も厭わないとは。
「この殺人鬼が…」
「だからー僕は手を下してないって。この湖也君に言ってあげてよ」
「ふざけんな!」
今度は陸が飛び出そうとするが、葉種が陸の手を引っ張る。
「なんだよ葉種」
「一旦引きましょう。あのハデスのせいでデバイスは使えません。このまま戦っても勝てるわけありませんし。湖也先輩を連れて逃げた方がいいと思います」
陸が舌打ちをした。
ハデスが許せない、しかし葉種の言った通りこの状況では戦えない。逃げるしかないのが悔しかった。
「私だって許せません。だけどこのまま戦ったらあいつの思う壺です。行きましょう」
「そうだな」
陸は湖也を抱えると逃げようとする。
ハデスは陸達の後ろに誰かがいるのに気がついた。
次の瞬間、陸達の姿が消えた。
ハデスは周りを見渡すが、どこにも彼らの姿は見えない。
「影正か、まぁやることやったから帰るよ。ナイフちゃん」
2
気がつくと陸達は校長室にいた。
「あれ?さっきまでデパートの駐車場にいたはずじや…」
天は周りを見渡している。
目の前では校長が後ろを向いており、その後ろではスクリーンが上に上がっていくのが見える。
校長は振り返り言った。
「湖也君が大変なことになってるね?すまなかった」
「なんで校長が謝るんだ?」
「ていうかなんで校長室にいるんだよ」
「私がテレポートさせた」
「テレポートだと⁉︎」
気がつくと、校長の手にピンク色のカセットが握られている。
「何がどうなっているんだ?」
「私の事はその時になったら教えてあげよう。それより湖也君の方だ。その左腕につけられた真っ黒なデバイス。とってくれないかな」
「え?あぁ。湖也、悪いな」
陸は湖也の体を部屋の端に座らせるように降ろす。
腕を掴み、デバイスを引き剥がそうとするが、固くて取れそうにない。
「無理だ!こんなもん取れっこねぇ!」
「どこかにネジとかボタンとかないですか?」
葉種は陸に言った。
デバイスをいじくり回すが外れる気配はない。
「くっそ!とれねぇ!」
「まぁ今は何もなさそうだしそのままでもいいんじゃない?」
天が言った。
「そうするしかなさそうだな」
「ちくしょう。ハデス君とんでもないことをしてくれたな」
校長はイライラした様子でボソっと呟いた。
「校長。何か言ったか?」
「え?あぁいや何も。それよりも、お願いがあるんだ。君たち、もうここに戻ってきてくれないか?」
陸達は顔を見合わせる。
「どうします?」
「湖也の意見を聞かないとなんともな…」
陸は顎に手を当てて言った。
「俺は残った方がいいと思う。今からあの基地まで行くなんて無茶だ。途中で暴狐に襲われたら湖也を守りきれねぇ。ここは安心だ」
血斗が意見をだした。
「私もそれがいいと思う」
「僕も賛成。一旦残ろう」
「では湖也君は保健室に寝かせてあげよう。陸君達は体育館へ行きなさい。生き残っている生徒たちは全員そこにいる」
陸達が体育館に行くと、生徒達が集まっていた。
数は三分の一ほどまで減っている。
「なんか小学生の頃ありませんでした?こんなこと」
「あ!あったあった!台風が来た時!地区ごとに集まってお母さんが迎えにくるのを待ってた!」
和気藹々と語る葉種と天をよそに空は血斗の袖を引っ張る。
「ん?どうしたんだよ」
「一時抜け出した私たちをまた受け入れてくれるかな」
「まあ頼めばなんとかなるだろ」
人混みのなかから上伊と紗水が出てきた。
「あんた達、抜け出したんじゃなかった?」
鋭い目つきで紗水が聞いた。
陸は手を動かしながら必死に説明する。
「色々まずいことになったんだ。今湖也は精神にダメージを喰らって動けなくなってる。保健室で寝かせてもらっている。俺達も外に出るわけにはいかない」
「つまりどうゆうこと?」
紗水は首を傾げる。
「ここに戻ってきたという事」
血斗は陸の隣に立つ。
「じゃあ、戦う覚悟がついたって事でいいよね?」
上伊が言った。
「それは…」
「私は、戦いたくない…」
空は血斗の後ろに隠れて言った。
「じゃあ、出ていきなさい」
「待て待て!そりゃあ無いぜ!暴狐達は想像以上に危険だ!一般人だろうが構わず襲うし!ハデスっつー向こうの偉い奴?はまともに戦える相手じゃない。ここにいるのが安全。な、頼むよ!」
「お前ら何か知っているのか?」
上伊は驚いた。
紗水は少し考えると振り返り言った。
「しょうがないわね。そのハデスって暴狐の話も聞きたいし。いさせてあげるわ」
「なんか硬い表情してるけど、ほんとは俺が戻ってきて嬉しいんじゃないの?紗水さん!」
陸は紗水の肩を叩く。
「そんなんじゃない!追い出すわよ!」
「あ、そういえば。連絡しなくていいんですか?」
葉種が血斗に向かって話しかける。
「連絡ってなんだよ」
「バイト先のおばさんです。しばらく出られないって伝えておかないと、まずいことになりますよ。報・連・相は大事です」
「僕ほうれん草嫌い」
天は渋い顔をした。
「私はほうれい線が怖いな」
空は頬を触る。
「なに言ってるんだよ。確かにそうだな、メールしとくか」
そう言うと血斗はスマホをポケットから取り出す。
『すみません。急用が出来てしばらくバイト出られません。出られる時が来たらまた連絡します』
バイト先のおばさんである河原純恋はそのメールを見てホッとしていた。
「ようやく、前へ進んでくれたみたいね」
3
「あんた、なかなかやるじゃない」
灯りのない真っ暗な公園でミラーはハデスに向かって言った。
「これで、あの湖也君って子は戦意喪失。他の子達もあなたの存在を知って恐怖しているに違いないわ。あの学校の崩壊も時間の問題ね。それにしてもよく気付いたわね。湖也君が夢境影正のお気に入りだなんて」
「鎧の戦士第一号があの子だったからね。あいつも無計画に湖也君を第一号にしないだろうし。それにあいつ、何か隠してる」
「何かって?」
ハデスはミラーの肩をバンバン叩く。
「それは分かるわけないだろー。それこそミラーの超感覚で読み取って欲しいよ」
「幾ら超感覚って言っても人の思考を読み取ることは無理よ。そういうことはあんたの分野でしょ」
「僕の能力は人の感情を操作するだけであって思考を読み取ることはできませーん」
「ん?」
その時、ミラーが何かに気づいた。
「ん?ミラー。どうしたの?」
「誰かくる。この気配は、まさか…」
「ちょっと気付くのが遅いんじゃないかな?」
灯りのない公園の入り口、暗闇の中からお爺さんなら声が聞こえてくる。
「お話に夢中になっちゃったのかな?すぐに逃げることもできただろうに」
「夢境…影正…」
「え?」
ハデスは困惑した。
即座に怪物の姿になる。
暗闇の中から声が聞こえてくる。
「ハデス君。君はちょっとやり過ぎたみたいだねぇ。お仕置きをしにきたよ。君たちは私の創造物だ。自由にするのはいいが、私の計画の邪魔はしてほしくないからね」
「誰があんたの言うことを聞くと思う?」
ハデスは煽るように言った。
次の瞬間、ハデスの体が吹っ飛ばされる。
「ぐは…」
叫ぶ暇も無いほど素早く今度は真上に打ち上げられる。
「あんた…!」
ミラーが影正に手をかざす。
ミラーから見てピンクの壁が影正を覆っていく。
しかし、
「無駄だよ」
その一言で気付けばピンクの壁が消えていた。
「君たちの能力は私には無力だ。哀れだね。成す術がないなんて」
「私がさっきあんたの気配に気づかなかったのも…」
「そう、元々逃げることなど不可能だったのさ」
ハデスはそれでも笑っていた。
「こんなところで油売ってていいのかな?目覚めた湖也君が暴走してたら今頃学校はとんでもないことになってるよ」
「チッ…」
影正は舌打ちをすると学校へ戻ろうとする。
「あれ?さっきお仕置きしにきたとか言ってたけど、何もせず帰っちゃうのかな?君は何しにきたの?まさか僕の言葉聞いて焦っちゃったのかなー?」
「君たちより湖也君の方が大事だからね」
去って行く校長に向かってハデスは飛び跳ねながら叫んだ。
「バーカ!バーカ!」
「ちょっとハデス煽らないでよ!また向かってきたらどうするのよ!」
4
湖也は目を覚ました。
「…知らない天井だ」
「そのネタはもういい」
声がした方を向くと校長が座っている。
「調子は大丈夫…な訳ないよな。しばらく休みなさい。色々大変だっただろう」
「あんたのせいだけどな…」
「すまないと思っているよ」
湖也は天井を眺めながら呟く。
「どーせあの時の戦闘モニターで見てたんだろ?」
「もちろん」
「俺、蹴りを入れる瞬間見たんだ。暴狐の奴ら人間に戻って、血が思い切り飛び散ったのを。ものすごい罪悪感に呑まれてさ、あと恐怖も襲ってきた。そしたら前現れた暴狐が出てきてさらに怖くなった」
「私がもっと暴狐を観察しておけば良かったねぇ」
「他人事言ってる場合かよ」
湖也は天井に向かって手を伸ばす。
その手を強く握りしめる。
「俺、戦うよ」
「お?」
校長は驚いた。
あれだけのことがあったのに、逆に闘志を燃やしていたのだ。
「あの時俺すげーパニクってさ、一瞬ガチで逃げ出したくなった。でも今考えたらあんな奴らほっておけねぇ。もう人だからダメとか考えないことにした。あれだけうじうじしててなんだけど、一般人を巻き込むなら話は別だ。戦うよ。人類を守って見せる」
(ここまで湖也君の心が強くなっていたとは…)
校長は動揺を隠せなかった。
「ん?校長どうしたよ」
「え?あぁいや何も。逞しくなったじゃないか」
「あんたの『せい』でもあるが、あんたの『おかげ』でもあるんだぜ。あんたの警告で俺は決意することが出来たんだ」
一方、体育館の隅で怯えている生徒が一人いた。
「無理、暴狐怖い。死ぬの怖い」
「おい、野田。どうしたんだ?」
上伊から声をかけられヒィ!と情けない声を発する。
「お前最近ずっとそんな感じだよね。どうした、なんか悩み事でもあるのか?」
「怖いんだ。この前、あの土の巨人の暴狐によって結構な数やられてたじゃないか」
「確かにあんなデカいのみたら誰だって恐くなるさ。でもだからって怯えてなんかいられない。あんなのが街中で暴れたらとんでもない被害が出るんだぞ」
「僕この装甲があれば何でもできるって思ってた。どんな攻撃を喰らっても平気で、どんな敵にも対抗できる。そう思ってたけど、あんな怪物が出てきたら無理じゃないか」
「…でも戦わなければいけないんだ。この街の、いや人類の平和のために、俺たちが協力して」
「それは分かってるけど…でも…」
ポンと野田の肩を叩くと場を離れた。
夜、体育館でみんなが布団を敷いて寝ている。
(本当すごい光景だな…未だに慣れねえ)
血斗は眠れずにいた。
羊を頑張って数えていると隣からゴソゴソ…と物音が聞こえた。
音のした方を見ると空が立ち上がって体育館から出ていくのが見えた。
(ん?空何してんだ?)
トイレに行ってるだけかもしれないが何故か無性に心配になりゆっくり後を追ってみる。
空は体育館の外で縮こまって夜空を見ていた。
「こんな時間に何してんだ空」
「わっ⁉︎」
突然声をかけられて空は驚きの声を上げるがすぐさま両手で口を塞ぐ。
中にいる生徒達を起こしてしまうと思ったらしい。
「流石に中までは聞こえねーよ」
「もー脅かさないでよ。ノボリこそ、何しに来たの?」
「俺はお前が体育館出てったから後を追ってきただけだよ」
「もし私がトイレ行ってたらどうしてたの?」
「覗きをしてたかもしれないな」
「…変態」
「言ってろ」
血斗は空の隣に座った。
「何か悩み事か」
「うん…」
気がつくと空の体は震えていた。
今は真冬だ。多少厚着しているとはいえ真夜中の外は冷える。
だが寒さによる震えじゃないとなんとなくだが血斗は察した。
「ノボリは戦うの?」
空の震える口から白い息が漏れる。
うーんと血斗は考える。
「ハデスっつー奴はボコしたくなったな。他にもあいつみたいな暴狐がいるかもしれない。なるべく平和に解決したいけど、出来そうにないかもな…」
「…怖いよ」
啜り泣く声が聞こえた。
空の目から涙が出ていた。
「防火を倒さなきゃいけないのは分かったよ。でも戦うの怖いよ。ハデスって暴狐もすごく怖いしあの時逃げ出したくなった。もうあの姿は見たくない。私には戦うなんて出来ないよ」
「そうか」
血斗は短く返した。
「別に空が戦う必要ないさ」
「え?」
空は血斗の方を見る。
血斗は空の肩に腕を回す。
「嫌なら戦わなくていい。空覚えてるか?俺がいじめられてた時、空が必死に止めてくれたよな。必死に説得して、俺を守ってくれた。その優しさが嬉しかった。俺はあいつらを説得できそうにないから結局殴り合いになってしまうんだけどさ、今度は俺がお前を守る番だ。空の分俺が戦う。お前を全力で守ってやる」
「ノボリは怖くないの?」
「怖いさ。でもだからこそほっとけねぇ。怖いいじめっこに立ち向かった空みたいに怖い暴狐に俺は立ち向かっていくつもりだ。だから…」
血斗は言いかけて口を閉じた。
首を傾げている空に向かって頬を染めながら言う。
「絶対に俺から離れるなよ!俺はいつもお前と一緒だ!これからも、ずっとずっと一緒だからな!戦いが終わってもだ!進学して!就職して!大人になっても…!」
「ちょっとちょっと!」
空は慌てて止める。
我に帰った血斗は顔を赤くしながら空と距離をとる。
「…ごめん!いろいろ先走りすぎた。今のは忘れてくれ」
「ううん。すごく嬉しい」
空は血斗の腕を掴み引き寄せると笑顔で言った。
「私もノボリと一緒にいたい。これからも」
「おう!ずっと一緒だ!」
夜、二人は背中合わせで布団に入るが二人とも眠れなかった。
(ノボリの告白。嬉しかったなぁ)
(うぉぉぉぉぉぉ!すっげー恥ずい!逃げたい!穴があったら入りたいぃぃぃ!)




