第24話 開戦
「おう蓮真。お勤めご苦労だったな」
大羅は自分の城に蓮真を招き入れる。
「どうだ?お前はちゃんと任務を遂行出来たんだろうな?」
「…ねぇ、大人ってなんなんすか」
蓮真が呟いた。
「あ?そんなもん簡単じゃねーか。子供をおもちゃにしか見てない連中だよ。だから適当に煽ててニコニコしてれば気に入ってくれる。ただのバカだ」
「そう…なんすかね」
そう言うと蓮真は椅子から立ち外へ出る。
「おい、どこへ行く気だ」
「家に帰るっす。やらなくちゃいけないこともあるし…」
翌日
『複数の暴狐を確認、全員出動せよ』
校長のアナウンスが鳴り響く。
「昨日の仇をとってやる!」
と意気込む者がほとんどだったが
「怖いなぁ」「死にたくないよ」
と消極的な者もいた。
しかし、まったく戦いに参加しないものが一人。
「…」
湖也は校舎の中にいた。
戦いに背を向けて一人教室の窓から空を見る。
「今日の空は暗いなぁ」
前日
教師の死亡を確認したあと校長は湖也を除く生徒を体育館へ集めた。
『教師が全員怪物にやられてしまったのは大変悲しい事だ。だがいつまでもその恐怖に囚われたままではいけない。私はあの怪物達を暴狐と呼ぶ事にした』
「暴狐って?」
天が紗水に訊く。
「暴れ狐ってことかしら…?昔化け物は狐や狸が化けた姿って言われてたことが由来かしら?」
『私はやられてしまった教師の為に、暴狐を全滅させねばならない。皆が協力してると信じてる!今から君たち全員に再度装着デバイスを配布する。皆の活躍を期待しているよ』
そう言うと校長は大きな鞄を手に取り一人づつデバイスを渡していった。
湖也は教室で体育館から漏れてくる校長の声を聞きながら歯を噛み締める。
「あのクソジジイめ」
集会が終わり、校長は校長室に戻った。
電話の音が鳴り響く。
「あー私だ」
『いいんだな?明日、実行させて』
「構わない。全てはあの子の為だよ」
1
『さて戦いに行く前に一つ報告がある。暴狐のことだ。今までの奴らを見ての推測だが2つの能力を持っているかもしれない。最初の暴狐は炎を吐き出し高い防御力を持っていた、二体目は鋼鉄の拳と透過能力といった感じだ。昨日の暴狐の能力はまだ分からないが、まだ隠し玉を持っているかもしれない。気をつけてくれ』
「てことは昨日のやつが来てるの?」
「あんなの勝てるか?」
「こんだけいれば勝てんだろ」
ワチャワチャしながら全員が昇降口までやってくると、驚きの光景が待っていた。
「ちょっ待て!多すぎだろ⁉︎」
上伊が叫ぶ。
目の前に溢れんばかりの暴狐がいたのだ。
「1人で1体ずつ倒せればいけるか?」
「控えめだな」
「まあゴチャゴチャ言ってなうなって」
そう言いながらみんなはデバイスに指を置く。
「そういえば、掛け声どうする?昨日の先生みたいになんか言いたくね?」
「そんなの人それぞれでいいだろ」
「分かった、じゃあ」
「「「装着!」」」「「戦闘開始!」」
「狩開始!」
生徒の声が響き渡った。
「うるせぇ馬鹿」
逆側の空を眺めていた湖也はスマホとイヤホンを取り出した。
絡まったイヤホンを解こうとして、手こずりイライラする。
「ワイヤレスイヤホン買おうかな…」
一方暴狐側は
「うわ、あいつら生身で出てきたぞ。殺し放題じゃん」
「いや、見てみろ」
「いや、あんな遠くじゃなんも見えねぇよ」
「あいつらの腕に巻いてあるもの、おそらく鎧を装着するためのものだ」
「てことはあいつら全員と戦うってことじゃねぇか!無理だよあんなに」
「先制攻撃しかないな」
そう言うと戦闘機の形をした暴狐はいち早く動こうとするが、
「でも一応指揮官の指示通りに動かないと」
「指揮官って?」
「大羅だよ」
「いいよ構わず行け」
後ろから大羅の声が聞こえた。
「別に俺はこんなところで動きたくねぇし。好き勝手暴れてこい」
「了解しました」
次の瞬間、
ドゴォ!という爆音が響き渡った。
暴狐達が一斉に動き出したのだ。
それに合わせるかのように生徒たちはデバイスに指を乗せる。
一斉に装甲が装着された。
戦いの火蓋が切られた。
湖也は驚き音のした方を見ると、こっち側の軍勢と暴狐達が群がっている。
敵の能力なのか、所々で炎や電撃などが見える。
「わぁ、これじゃあまるで戦だな。見たことないけど」
「どうだい?光景は」
隣から声が聞こえた。
気がつくと隣に校長が立っている。
「面白いと思わないかね」
「面白い?何がだよ」
「こんな大人数で戦いを繰り広げる。アクション映画みたいだろ?これからこの戦いの規模は大きくなる。この学校だけではなく、街全体が戦場になるだろう。君も楽しみだろう?」
「俺にこれを見て楽しめと言っているのか?バカ言え誰が殺し合いの現場を見て楽しむか」
「なら、君が止めるかい?」
校長が手を差し出す。
掌にデバイスが置かれている。
「俺一人でこんな状況どうやって止めるんだよ」
「なら、仲間が死んでいく様子を黙って見てるのかい?」
「分かってんだろ⁉︎俺一人が動いたってどうしようもないことくらい!あんたは俺に何をさせたいんだ!」
「私は君のヒーローになりたいという夢を叶えたいだけなんだよ」
「嘘つけ!だったらなんでみんなも巻き込む!」
「その方が、面白いからだよ」
「ふざけやがって!」
湖也は校長の胸ぐらを掴んだ。
「いいのかい?私はこの学校の校長だよ?」
「そんなもん今更何になるんだよ!教師もあんた以外みんな死んで学校としては半壊状態じゃねーか!」
「その教師、君の大好きな岩田先生の仇を、打とうとは思わないかな?」
「何度も言ってるだろ!俺はもう戦わない。俺一人がどうしたって意味ないんだ」
「でも、この戦いの鍵は君が握っているんだよ」
「どう言うことだよ…」
「のちに分かるさ、デバイスは置いておくよ。あとは好きにすると良い」
そう言うと校長は校長室に戻っていった。
「おい!ちょっと待てよ!」
と追いかけようとした瞬間、外から大きな爆発音が響いた。
外を見ると、複数の暴狐が爆発したらしかった。
「何だよあれ。まるでこっちが悪役みたいじゃねーか!」
2
上伊は数人を連れて場所を変えていた。
目の前にはカマキリのような姿をした暴狐と蜘蛛のような姿をした暴狐がいる。
周りは田んぼに囲まれていて、校庭以上に彼らの異様さを際立てている。
「一緒に倒しましょう。上伊先輩!」
「あれ?この声…」
「ハツネですよ!もう忘れたんですか?」
「何ごちゃごちゃ言ってるんだ!」
叫びながらカマキリの暴狐は腕の鎌を彼らに振り下ろす。
それを避けると、上伊はみんなに指示を出す。
「蜘蛛にカマキリか…デカイと気持ち悪いな。天、陸、そこにいるな?」
「「いるよー」」
「二人は蜘蛛の方を頼む、そこにいる三人は二人の援護。残りはこっちを始末するぞ」
「さすが先輩!頼りになります〜」
天と陸は蜘蛛の目の前に行く。
「天!蜘蛛のやつ誘い出すことって出来るか?」
「えぇ⁉︎僕囮なの⁉︎」
「おぉ、よく囮って分かったな…」
「まぁ逃げる方が楽そうでいいか…」
そう言うと天は暴狐の目の前に立つ。
「お前の相手は、僕だ!」
「お前らの話、こっちに丸聞こえだったぞ」
「あ、やっぱり?」
「まぁいいや、まずはお前から潰してやる」
「ひぃぃぃやっぱり怖いぃぃぃぃ!」
そう言うと天は逃げ出した。
後ろを暴狐が追いかける。
次の瞬間、
『エネルギーを解放します』
の音声とともに暴狐は爆発してしまった。
陸がやっつけたのだ。
「天、怖がる演技上手いな」
「本当に怖かったの!」
後ろにいる三人は固まって
「俺たち、要らなかったな」
と呟いていた。
一方上伊の方は
「先輩!どうするんですかこれ!」
カマキリの姿をした暴狐は素早く動いて上伊達に釜を振り下ろしている。
避けるのに精一杯だ。
「避けながら攻撃するのは難しい!俺が暴狐の片腕を受け止める!ハツネはもう片方を頼む!」
「了解です!」
「君!トドメをさしてくれないか!」
上伊と一緒に逃げ回っている生徒に向かって話しかける。
「え⁉︎俺っすか?」
「攻撃を受け止めても作れる隙は一瞬なんだ。君しかいないから、任せたよ」
そう言うと上伊と葉種の二人はデバイスに指を乗せる。
『エネルギーを解放します』の音声が二重に響き渡り、二人の両腕部分の装甲が変形を始める。
変形が終わると二人は暴狐の攻撃に合わせて腕を出し、攻撃を受け止める。
「今だ!」
次の瞬間、少年は空高く舞い上がり、デバイスに指を乗せ、必殺技を発動させる。
「いっけー!」
少年のキックは見事暴狐の体の中心に当たり爆発した。
「やりましたね!先輩!」
別の場所では血斗と空が戦っていた。
と言っても空はその場に突っ立っているだけで、主に戦っているのは血斗である。
周りが木に囲まれた場所で、複数の暴狐と血斗が戦っている。
「大丈夫?ノボリ」
血斗は暴狐の体に拳を勢いよく突き刺し、エネルギーの解放無しで爆発させていく。
「なぁに、小さい頃からいじめっ子達と喧嘩ばっかしてたんだ。こんなの楽勝だよ」
そういうと空の後ろに回り込み、茂みに隠れている暴狐に向かって
「あとここにいるのはお前らだけだな」
「やべ⁉︎バレてる…」
「クソ…!」
茂みの中から6体の暴狐が姿を表した。
「ちょっと、ノボリ多いよ!一旦引こう」
「なーに馬鹿なこと言ってんだ」
そう言うと血斗はデバイスに指を置く。
『確認しました。チャージ開始します』の声とともに両腕を展開させる。
『エネルギーを解放します』と言う声を合図にものすごいスピードで暴狐を殴り倒していく。
あっという間に6体は爆発していった。
「すごいノボリ」
「ま、空を守るためならこんぐらいヨユーよ」
3
湖也は窓の外の光景を見て驚いた。
次々に暴狐達がなす術もなくやられていく。
中には逃げようとしていたところを後ろからやられていたり、命乞いをしようとしている暴狐までいた。
でもそんなもの知らないと言った感じで次々と爆発していく。
「悪者はどっちなんだよ!」
校長の言葉を思い出す。
『この戦いの鍵は君が握っているんだよ』
『あとは好きにすると良い』
(あいつが俺に何をさせようとしているかは分からない。けど、俺が自由にして良いと言うなら…)
「この戦いを終わらせてやる」
そう言うと湖也はデバイスを手に取る。
「どこいくの?」
突然声が聞こえた。
振り向くと紗水がいた。
「お前、戦闘に行ったんじゃ…」
「トイレに行ってただけ。私は怖くて戦えないわ。あなたが行くならついていっても良かったけど」
「そうか、一人探す手間が省けて良かった」
「探す?」
「そう、今から天達を探しに行こうと思ってたんだ」
「だったら、便利なものがあるじゃない」
「?」
紗水は右手を上げる。
その腕にはデバイスが巻かれており、手にはスマホが握られていた。
「あ、そうだった」
戦闘を終えた天と陸は上伊と一緒にいた。
「これからどうする?」
「まだ戦闘中の生徒がいるはずだ。手伝いに行こう」
と話している時、ピロリンと音が鳴る。
天、陸は装甲をしまうとスマホを取り出し、画面を見る。
「湖也からだ!」
「…俺にも読ませてくれ!」
上伊は天からスマホを借りる。
『大事な話がある。一旦教室まで戻ってきて欲しい』
送られてきたメールを読むと、上伊はみんなに指示を出す。
「天と陸は俺と一緒に教室に戻ろう。他のみんなは戦闘中の所に行ってくれ!」
「でも、上伊もくるの?湖也は上伊にメール送ってないじゃん」
「確かに、今会うと気まずいかもしれない。でも俺もあいつの話を聞きたい」
「あ、先輩!私も行きます!」
「え…まぁ良いか。お前もついてこい」
教室に戻る途中、森の中を走っていると上伊は何かにぶつかった。
「いって…」
「ん?お前らは湖也と一緒にいるやつじゃないか」
上伊がぶつかったのは装甲着た生徒だった。
装甲をしまうと中から血斗が現れる。
「あ!登くんだ!」
天が指差して叫ぶ。
「お前らどうしたんだ?走ってきて」
「湖也が話があるって、だから教室に戻って来いって言ってるんだ」
「へぇ、あいつが。俺たちも行っていいか?」
「まぁ別に良いけど。なんで?」
「まぁ一回拳を交わした仲だしな」
教室に湖也、紗水、陸、天、上伊、葉種、血斗、空の8人が集まった。
湖也は上伊の顔を見ると怪訝な顔をする。
「…なんでお前まで来たんだよ」
「陸のメールを見て、お前の話とやらを聞きにきた」
湖也は陸を睨みつける。
「え…いや、上伊が見たいって言うからさ。あははは…」
「まぁいいや」
「それで、話って何?湖也」
「これからの事だ。校長は戦いの規模は大きくなるって言っていた。この学校だけでは収まらないと。俺はその戦いを止めたい。この戦いが起こらないようにしたいんだ」
「でもそうしたら暴狐はどうするんだい?」
上伊が質問する。
「暴狐とは和解できると思う。あいつらは恐らく人間だ。話し合えばこの戦いをやめてくれるに違いない」
「本当に?」
「あぁ…多分。だから俺に力を貸して欲しいんだ。まだ作戦は立ててないけど、戦いを止める方法があると思うんだ」
「湖也がそうしたいなら。僕はいいよ」
「俺も、平和に解決できるならそうしたほうがいいと思う」
「天!陸!」
「ちょっと待って。私は反対よ」
口を挟んだのは紗水だった。
「紗水!なんで!」
「何を言い出すかと思えばそんな甘い事…いい?まだ暴狐が人間って証拠は十分じゃない。確かにあの時人間の姿を見せたわ。でもそれすら化た姿かもしれない。そもそも、先生達をなんの躊躇いなく殺すなんて人間じゃない。暴狐は殲滅するべきよ」
「でももし人間だったら!」
「あなたは殺された先生の仇を取ろうと思わないの?」
「昨日のことは許せない。でもその憎しみだけで今度は一方的にこっちが殺すなんて向こうとやっらことは同じじゃないか!」
「目を覚ませ!」
湖也は思い切り殴られ転がる。
殴ったのは上伊だった。
「俺は紗水の意見に賛成だな。お前だってもう暴狐を殺しただろ?今更何言ってんだよ!あいつらをほったらかしたら俺らはやられるだけだ!」
「そんなことは無い!あいつらと絶対に…」
「お前は俺の仲間になってくれたんじゃなかったのかよ。仲間同士助け合おうぜ。みんなで戦って行こう」
「だからもう戦いは嫌なんだって!」
「まだそんな事を…!」
上伊は湖也の胸ぐらを掴む。
「なんで俺の意見を聞いてくれない」
「お前こそ」
次の瞬間
二人の拳が交わった。
お互いに吹き飛ばされると彼らはデバイスに指を乗せる。
彼らの体に装甲が装着されていく。
「戦う気あるんじゃないか」
「お前を黙らせるためなら」
次の瞬間、彼らはものすごいスピードでぶつかった。
衝撃で机や椅子が吹き飛ばされる。
「ちょっと何やってんだよ!仲間同士で戦ってもなんも意味ないじゃないか!」
血斗が叫ぶ。
「お前はどうなんだ!登!」
上伊と激闘を繰り広げながら湖也が叫ぶ。
「俺は…」
血斗は黙ってしまった。
「私は、なるべく平和に解決したい…かな」
口を挟んだのは空だった。
「じゃあ、俺たち側って事でいいんだな?」
「うん」
湖也の言葉に反応した上伊は思い切り湖也の顔面を殴る。
「お前のやり方が平和だと!?馬鹿な事を言うな!あんな恐ろしい化け物の話にして何が『平和です』だ!お前の目指してたヒーローはごちゃごちゃ言わず悪者を倒していただろ!お前はヒーローに憧れてたんじゃなかったのかよ!」
殴り返しながら湖也は言い返す。
「悪者はどっちなんだろうな。さっきの光景見てりゃお前らが悪者に見えたね」
「ふざけるな!」
「こっちのセリフだ!」
お互いに殴り吹き飛ばされる。
「だぁーもうわかった!」
立ち上がった湖也は装甲をしまうと自分の荷物をまとめ始める。
「湖也、どうしたの?」
「ここを出る。天と陸はついてくるよな?青山さんも」
「う、うん」
「他にも俺の意見に賛成の奴はついてこい。10分後に昇降口だ」
そう言うと湖也は教室を出て行った。
10分後、昇降口。
「いないのは、上伊。紗水か。葉種も来てくれたんだな」
「私も湖也先輩の意見に賛成です」
「ありがとう」
「ノボリも、こっち側なんだね!」
「いや、俺は空と一緒にいたいからこっちに来ただけで…どっちが正しいのかはよくわかんねぇよ…」
「まあそれでもいいさ。それじゃあ行こうか」
そう言うと湖也は歩き始めた。
「でもここを出てどうするんだ?他に行く当てあんのかよ?」
陸が訊ねる。
「まぁそこんとこは後で考えるさ」
「考えてなかったのかよ⁉︎」
4
「はぁ使えねぇ奴らだな。こっちがボロボロじゃねぇか」
仲間が次々やられていく光景を見て大羅はボヤく。
残された暴狐は大羅の方へ駆け寄ってくる。
「助けてくれ大羅!あいつら思ったより強い!このままじゃただやられていくだけだ!」
「こりゃあ、俺がやんねぇとダメか」
校庭では不良グループが暴狐と戦っていた。
リーダーである立松亮矢が最後の一匹を始末したところである。
「やりましたね兄貴!」
「へっ、こんぐらいどーってことねーよ」
「やっぱりこういう時不良は役に立つよな」
遠くから見ていた生徒は呟く。
「あ、お前らなんか言ったか?」
「いいやぁ別に何も」
「これであの暴狐っつーやつの始末は終わりか?たいしたことねーな」
亮矢は装甲をしまうと周りを見渡す。
すると、校庭にあるバックネットの陰でこそこそしている暴狐を発見する。
「あいつら何やってんだ?怪しいな。おい、お前ちょっと見てこい」
遠くで見ている生徒に向かって指示をする。
「え⁉︎俺!やだよ」
「おめー全く役に立ってねーじゃねーか!少しは働けや!」
「しょうがないなぁ、じゃあお前らもこいよ」
生徒はさらに後ろから見学している生徒に呼びかける。
結局20人弱の生徒達が確認しにいくことになった。
「はぁ怖いなぁ…」
バックネットの直前に来た時、変化があった。
地面が揺れだしたのだ。
「え!なんだこれ!地震か⁉︎」
「いや!違う!あれ見て!」
別の生徒が指さした所を目で会ってみる。
「なんだあれ⁉︎」
彼らの目に映ったのは巨大な土で出来たゴーレムだった。
全長35メートルにも及ぶ巨人を見て生徒達は一目散に逃げ出した。
「こんなん無理だって!」
直後、
ものすごい音が響いた。
巨人が拳を振り下ろしたのだ。
一気に逃げ回っていた20人弱の生徒を叩き潰す。
「おいおい!ありゃあ反則だろ!」
「どうするんすか兄貴!」
「逃げるしか無いだろ!」
亮矢は彼らを連れて校舎まで逃げる。
「あーああいつら校舎入っちゃったよ」
巨人の中にいる大羅は校舎を眺める。
拳を振り上げ、校舎に向かって突き刺すが、校舎はびくともしない。
「は?硬すぎだろ」
周りを見渡すと裏山で戦っている暴狐と生徒が見える。
「はぁ。助けるか」
大羅はゴーレムの姿をドラゴンに変えるとものすごい速度で飛行する。
「おい、助けに来てやったぞ」
「大羅だ!大羅が来てくれたぞ!」
再びゴーレムの姿に変え周りにいる生徒を潰していく。
「お前らやられてんじゃねぇぞ」
「いや想像以上に向こうが強くて数も多いんだよ」
「まぁお前らは戻れ。あと外にいる敵は出来る限り潰しとく。はぁ、結局こうなるから来たくなかったんだよなぁ」
「ありがとう大羅様!」
そう言うと暴狐達は次々に山を降っていく。
大羅は再びドラゴンの姿になり周りを飛んでは敵を見つけるとゴーレムになり潰していく。
上伊はその光景を校舎から見ていた。
「なんだ⁉︎あれは!」
隣には紗水がいる。
「何よ!あんなん無理じゃない!どうするの⁉︎」
「外にいる奴らをなんとか避難させないとだけど、今出てってもやられるだけだからな」
うーんと考えていると、紗水はデバイスをいじくり始める。
「お前、何やってんだ?」
「これって通信機能あるのよ。知らなかった?」
「マジで⁉︎」
紗水はデバイスに向かって語り始める。
『外にいるみんな!みんなには見えていると思うけど、ものすごく大きい土の巨人が私たちを潰そうとしているわ!今戦っている人達も戦闘を中止して校舎に逃げて!』
学校の外を歩いている湖也達にもそれは聞こえていた。
「あれ?俺のデバイスからは聞こえない。壊れたのかな」
湖也は腕をぷるぷる振る。
「それよりも見てあれ!すごくでかいよ湖也!」
「あぁ、みんな急げ。駅までもう少しだ」
夜、体育館に生徒達は集まっていた。
生存者は全体の半分。
校外戦争が、始まった。




