第22話 大人の義務
1
湖也と上伊以外の生徒の机に一つずつデバイスが置かれている。
「マジで全員参戦させるつもりかよ…」
湖也は絶句する。
「でも、これで僕も…!」
天は笑顔でデバイスを手にする。
「俺も!湖也達の力になれる!」
陸も手にして、他の生徒も席に着き始める。
しかし、そこで
「ちょっと待ちなさい」
と声が聞こえた。
全員が声のする方を見ると美百合先生が立っている。
「全員そのデバイスを渡しなさい。もちろん、湖也君と上伊君も」
「なんでだよ!俺達のものなんだぞ!」
誰かが叫んだ。
「この戦いは私たち教師で終わらせます。生徒達が出ていい場所じゃない」
「先生戦いとかやったことあんの?無理っしょ」
「経験はありませんが、あなた達を守りたいという強い思いならあります」
「はぁ〜せっかく暴れる事が出来ると思ってたのに」
「さぁ、今からデバイスを回収しますから差し出しなさい」
美百合先生が教室を回りながら一人ずつ回収していく。
最後に上伊と湖也のところへ行き、2人の顔を見る。
2人はすでに覚悟を決めている。
強い眼差しを感じた。
「さぁ、デバイスを」
先生が言うと、2人は腕につけているデバイスを取り外す。
「ごめんなさい。今まで苦労させて、もう安心して」
「俺なら、力になれるかもしれませんが…」
上伊が言うが、
「馬鹿な事を言うのはやめなさい。もう貴方達には関係のない事なの」
「先生って意見コロコロ変わりますよね」
今度は湖也が言う。
「漫画かな?」
天が呟き、
「しー!」
陸が促す。
「あの時は貴方しか対処できなかったからそうしただけ。私は生徒が辛い思いをするのは基本反対よ」
そう言うと手を伸ばし2人のデバイスを掴み取る。
「何やってるんですか?美百合先生」
扉の方から声が聞こえた。
先生が振り向くと、そこには校長先生が立っている。
「校長先生…」
「美百合先生、私は生徒達にそれを配ったんです。何勝手に回収しているんですか?」
「この件に生徒は関係ありません。これは、生徒たちには必要ありません」
「そんな自分勝手な事をしてもらっちゃ困りますよ。貴方は何も知らないくせに」
「貴方は何か知っているんですか?」
「知っていますとも。この戦いを終わらせるには生徒職員全員の協力が必要。職員だけでは太刀打ちできる問題じゃない」
「根拠は?」
「貴方達体力ないでしょう」
「この装甲がなんとかしてくれると聞きましたが?」
「身体能力を上げるだけで、体力は増えません。貴方ではすぐにへばりますよ」
「やってみないとわかりません」
「…いいでしょう」
そう言うと校長は教室を立ち去る。
美百合先生は再び生徒達の方を向く。
「他の教室もみんなこうしています。ここからは大人達の戦いです。あなた方生徒を安心して学校生活を送れる日々に戻します」
校長は廊下を早歩きで移動し、勢いよく校長室のドアを開ける。
そこには焦りの表情が見える。
バタンとこれまた勢いよく扉を閉めると、椅子に座り、机の上の電話の受話器を取り電話をかける。
「私だ」
『何かあったのかね』
「めんどくさい事になった。蓮真を明日出してくれ」
『明日?明後日100体送り込むのに?何故』
「あぁそれはわかってる。だがその前に片付けなくてはならない問題ができてな。蓮真が必要になった」
『大人か』
電話の向こうの声がそう呟く。
「あぁ」
2
「なんだ?」
夢境影利に呼び出されリーダーが訊く。
「予定変更だ、明日蓮真君を出撃させろ。1人だけでいい」
「なんでそんな急に」
「今は蓮真が最有効だと分かった。それだけだ」
「まさか向こうは大人も戦力にしてると言うことか」
「あぁそうだ」
「そんな情報どこから入手した」
「相手は私の弟だ。PCのハッキングなり知り合いから聞き出すなり手はあるさ」
「向こうもそんなことやってたらどうする」
「さぁ、どうだろうな」
「ミラー、聞いてたろ」
リーダーは後ろにいるミラーに話しかける。
「でもなんで明日なの?明後日の軍隊に入れるだけでいいと思う」
「それは確かにな」
「あいつは凶暴だ。大羅君や蝶野君みたいに仲間を殺しかねない。1人で十分仕事してくれる」
「ここ凶暴なやつ多すぎない?」
ミラーが言う。
「今更言うか。お前だってそうだろう」
リーダーが返す。
「あ?怒っちゃうぞ!プンプン!」
「無駄なこと言ってないで蓮真にこの事を伝えとけ」
「分かったよ。鷲羽、行こ」
そう言うたとミラーと鷲羽は姿を消す。
「しかし、向こうの情報を入手できるならもっと早くして欲しかったなぁ」
「そんな簡単に入手できるものではない。やっと掴んだ情報だよ」
都会の中、ビルが何本も立つ中ぽっかりと空いた空間がある。
石ころがたくさん置かれている広い空き地の中に、かなりでかいキャンピングカーが止まっている。
しかしタイヤは全て外れており、運転なんて出来ない状況だ。
中に1人の少年がベッドに横になりながら、携帯ゲーム機で遊んでいる。
外からノックをする音が聞こえた。
「どうぞー」
少年が返事をすると、ドアが開きミラーと鷲羽が入ってくる。
「なんの用っすか」
「出動命令が出たわ」
「時間は?」
「明日よ」
「早いっすね」
「緊急だからね。向こうが大人を使って来たらしいから、貴方に出て欲しいって」
「あ、そうっすか。なんで嫌いな大人を相手にしなきゃいけないんすかね」
「貴方の能力が必要だからな決まってるでしょ。大人嫌いは相変わらずのようね」
ミラーが窓の外を眺める。
空き地に転がる石ころを眺めながら
「『ここ』の大人全員殺しちゃって。でも埋めてあげるなんてちょっと優しいところあるじゃない」
「殺してる時点で優しさのかけらなんてないっすよ。邪魔だったんで埋めただけっす」
「それを優しさと言うんじゃないかしら」
「…貴方もなかなか狂ってるっすよね」
「そんなことないわよ」
「それに、さっきあんた『全員』と言ったっすが。2人まだ死んでない人がいるじゃないすか」
「あの人達は例外よ」
僅かな沈黙が訪れた。
蓮真が口を開く。
「向こうはこっちの正体知ってるんすかね」
「もう知ってるんじゃないかしら。もう5人も送り込んだのよ。誰かが口を滑らせてもおかしくない」
「そうっすか」
「まぁ、そんな事関係ないんだけどね。あそこを滅ぼすことには変わりないんだし」
「そうっすね」
「明日出る件についてはokってことでいいんだよね」
「別にいいっすよ」
「ありがとうね」
ミラーは静かに言うと鷲羽と共に消えた。
1人になった蓮真はミラーが見てた窓から夜空を見上げる。
過去に言われた事を思い出した。
『貴方はまだ子供なんだから、大人の言うこと聞いていればいいの!』
『なんでそんなことするの!やっちゃダメ!』
『自分の事ぐらい自分で考えなさい!』
『なんでも人に聞いてるとダメな人間になるよ!』
『なんで先生の話を聞かないんだ!』
「大人というのは、酷い『物』だ。自由な子供の行動範囲を狭めているくせに、その言いつけを守って聞こうとすると今度は自分で考えろなど。目的がわからない。頭の硬い大人は一度に複数の視点から物事を考えられないんだ。だからコロコロ意見を変える。子供みたいに柔軟な発想が浮かばない、そんな『物』が嫌いだ。全部ぶっ壊してしまいたくなるくらいに」
コンコンとノックの音が聞こえた。
「どうぞー」
「ねぇ聞いたよ?明日戦場に出るんだってね」
ドアを開けながら話しかけてきたのは
「ハデスっすか」
「おーようやく僕の名が浸透してきたか」
「要件はなんすか?」
「僕も一緒に行っていいかなって」
3
同じ夜空を学校の校舎から湖也が眺めていた。
「あら、珍しいわね。貴方が1人で黄昏てるなんて」
紗水が話しかけてきた。
「いつも天や陸と一緒にいるのに」
「常に一緒にいるわけじゃないさ」
「でもよかったじゃない。もう先生達が怪物と戦ってくれるから、もう貴方が命をかける必要はないんだから」
「心配だなぁ」
「何が心配なのよ」
「俺さ、戦いの最中に怪物と何度か話してるんだ。あいつらの正体はわかんないけどさ。日本語を話すんだよ。なんか硬い言葉を使わずにさ。俺らみたいな若者の口調で話すんだ。奴らと話していれば奴らの事がわかるかもしれない」
「でも倒してるじゃない。それに、それならあの怪物の正体が人間って言ってる様なもんだと思うけど」
「そうじゃないんだよ!ほら!高度な知能を持った地球外生命体とか古代生物とか!怪物が喋るってよくあるじゃん」
「馬鹿馬鹿しい。怪物とまともに話すなんて不可能よ」
「そうかなぁ」
湖也は教室の中を見る。
先生はもう寝ていたが、生徒は元気だった。
「なんか、ほんとすごいことになってるよな」
「そうね。怪物が襲って来て校舎でみんなで寝泊まりって普通じゃ考えられない」
「ていうか、この校舎が頑丈で中にいる限り安全だからこうやって話すこともできるけど、この校舎なかったらこんな合宿の延長線みたいなノリでこの生活を楽しむこともできないよな。もしかしたら今頃どこかの洞穴の中で生き残った者だけで少ない食料を口にしながら交代に睡眠をとって、怪物に怯える生活をしていたかもしれない」
「サバイバルすぎるわねそれ」
「ほんと怪物とかなんなんだよー!いつからこんな非日常を暮らすようになったんだ俺らは」
「…もしかしたら、文化祭の頃から始まっていたのかもしれないわね」
「文化祭?あーお前が襲われるとかあったなー。ていうかそんなこと思い出して大丈夫かよ」
「別に今はなんとも思ってないわよ?過ぎたことだし」
「お前ってメンタルそこそこ強いよな」
「そりゃあ、クラスの副リーダーだからね」
「文化祭かー。あの時から運命の歯車は回っていたのかなーなんつって」
「本当に酷い文化祭だったよね…」
紗水がボソッと呟く。
「え?なんて?」
「別になんでもない。そろそろ寝ましょ」
そういうと紗水は教室の中に入っていく。
「あいつ別になんとも思ってないとか言ってたくせに」
教室に戻ると、天と陸と上伊が駄弁っていた。
「おー湖也!怖い話でもする?」
「この前したじゃねーか」
「怪談百個いうまで寝れまテンとかどう?」
「体力的に心配だな。明日も普通に授業あるんだぞ?」
「授業中に寝ればよし」
「ダメだよ」
「じゃあ恋バナなんかどう?僕湖也の恋バナ聴きたいなー」
「俺も湖也の恋バナとか興味あるな」
「ないよ。寝るぞ」
「えー、じゃあ絵本読んでー」
「俺は保護者じゃねー。先生に読んでもらい!」
「先生寝てるもん。じゃあ上伊読んで?」
「もうしょうがないなー」
「やったー上伊大好き!」
「天はちょろいなー」
「もう寝るっつったろ!本読むならみんなの邪魔にならないよう糸電話使え」
「「は?」」
湖也渾身のボケに陸と上伊は頭にハテナマークを思い浮かべる。
顔を真っ赤にしながら湖也は布団の中に潜り込む。
「うああもういい!寝る!」
「いいねそれ!僕今から作ってくる!」
「作らなくていい!」
(あー、眠れねぇなぁ)
深夜1時を回ったが、湖也の目はぱっちり冴えていた。
廊下に出て星空でも眺めようかと思い立ち上がると、どこかから声が聞こえた。
「湖也君?どうしました?」
美百合先生の声だった。
「眠れなくて、星空でも眺めようかと」
「ご一緒していいかしら」
「先生朝早いでしょ。生徒もだけど」
「私も眠れなくてね、明日起きれなかったら起こしてね」
「他を当たってください」
2人は廊下に出た。
「湖也君って最近よくここで空眺めてるよね。紗水さんと一緒に」
「他にやることがないですから。ここの星空綺麗だし」
「デート的な感じかしら?」
「そんなんじゃない」
「ふふふ」
先生は優しく笑う。
「先生ってキャラ変わりました?前は元気なお母さん的な感じだったのに、最近は頼れるお姉さん的な感じがする」
「一度生徒との接し方を考えたの。一度貴方を困らせたことがあったから」
「別にもう気にしてないですけど」
「大人ってのはね、そうやってコロコロやり方を変えて子供を育てようとする生き物なの。この方法がダメなら別の方法を試そう。これが興味なかったらあれを試そうって。だから意見が変わることもあるし、突然のキャラ変だっておかしくはないわ」
「俺も親に『〇〇君を見習いなさい』と『よそはよそ、うちはうち』の矛盾セットをよく使われます。でもそれって大人の醜い部分じゃないですか?」
「確かにあなた達からしたら鬱陶しいし、うざいと思われるかもしれないけど、貴方達のことを思って言ってるってのはいつも変わらないわ。子供のことを第一に考えるのが、大人の義務よ」
「色々大変なんですね」
「あら、『もう子供扱いしないでください』とか言うと思ったのに」
「雰囲気ぶち壊しじゃないですか今言ったら」
「ふふふ」
もう一度先生は優しく笑う。
「何があっても、私がみんなを守るから」
「頼もしいです」
4
次の日、授業をしていると教室のスピーカーから怪物出現のアナウンスが流れる。
『全校生徒職員に連絡する。怪物が現れた。数は1人。戦闘可能な人は昇降口に来てくれ。繰り返す、怪物出現、戦闘可能な人は昇降口に来てくれ』
「来たわね。行ってくるわ。貴方達は自習してなさい」
美百合先生はそう言うと教室を飛び出す。
だが生徒達は当然自習するわけなく
「って言われてもなー」
「戦闘の方が気になるし面白いよな」
といい結局全員廊下の窓へ向かう。
下を見ると校長を除く職員全員が集まっていた。
「お、先生達ガチで集まったのかよ」
遠くを見ると一体の怪物がいた。
「あれって怪物か?新しいUMAじゃねーの?」
「いや怪物だろ」
怪物とは思えない真っ青な正十二面体の物体が宙を浮かんでいる。
「なんか一体に何十人で挑むの可哀想だな。これリンチだろ」
湖也も同じことを考えていた。
隣にいる紗水に向かって話しかける。
「ちょっと敵に同情しちゃうよな」
「学校の平和が優先でしょ」
先生達は横に並ぶとそれぞれ腕につけたデバイスに指をつける。
『装着!』
彼らが叫ぶと一斉に装甲が装着された。
「おいあいつらノリノリだぞ」
陸が言う。
「あー僕も戦いたかったなー」
「でも装着って…」
「なんかふつー」
蓮真は目の前に並ぶ教師達を見つめる。
「あーゴミどもが並んでるわ。さっさと処分しないと」
そう言うと蓮真は正十二面体の体を変形させる。
体の端からドロドロに溶かすように液体に変形させるとその液体を水鉄砲のように勢いよく教師達へ吹きかける。
校舎から見ていた生徒達は困惑している。
「何あれ」
「ナマコみたいな感じかな?」
「てことはあれ内臓⁉︎」
「んなわけあるかい」
とガヤガヤ盛り上がっている。
怪物の吹きかけた液体は横に並んだ教師達の真ん中にいる2人にかかった。
「うぇ何これ気持ち悪!ドロドロしてるんだけど」
「大丈夫か?」
隣にいる無事だった教師が問いかける。
「えぇ、別になんともないけど…」
そう言いかけた瞬間、異変が起きた。
「あれ?」
液体を喰らった2人の教師の装甲がドロドロに溶け始めたのだ。
「おい!溶けてるぞ!どうなってんだ?」
「わかんないわよ!この液体のせい?」
2人は驚き焦る。
隣にいる教師が
「おい、デバイスを起動させたらどうだ?」
とアドバイスするが
「無理みたい、反応しな…」
また次の瞬間、装甲を無くした2人の体がドロドロに溶け始めた。
『う、うわぁぁぁぁぁぁ!』
周りにいる教師達は驚きその場を離れる。
2人は肉体を全て溶かされた後、残った骨が地面に転がる。
「き、消えた⁉︎」
「いや、死んだのか?」
その様子を見ていた校舎の中の生徒達もパニックに陥っていた。
「きゃぁぁぁぁぁ!先生が!先生が死んだ⁉︎」
「嘘だろ⁉︎これマジで死んだのかよ⁉︎」
「もう無理みてられない!」
とたくさんの生徒達が騒ぎながら走り回っている。
「みんな落ち着いて!ここにいれば安全だから!見たくないやつは教室に戻って!」
上伊がみんなに呼びかける。
湖也は窓を思い切り開けて叫んだ。
「先生!戻って!」
その声を聞いた美百合先生は叫び返す。
「危ないです!窓を閉めなさい!」
「よそ見してていいのかな?」
怪物は先生達の近くまで来ていた。
先生達は湖也から目を逸らし一旦怪物から距離を置くが
「馬鹿が」
怪物は再び液体を飛ばす。
今度は3人同時に溶かしてしまった。
「先生!危ないです!戻ってください!」
「みーちゃん!他の先生方も!校舎の中へ!」
「いいから窓を閉めなさい!湖也君!早く!」
先生は場を離れようとしなかった。
窓から身を乗り出して叫んでいる湖也を紗水は強引に引き剥がすと窓を閉める。
「何すんだよ!」
「あんたこそ!何勝手に窓開けてんのよ!危ないでしょ⁉︎」
「お前は先生が死ぬかもしれないってのに呑気に眺めたろって言いたいのかよ!」
「違うわ!出来れば私も何かしたいわよ」
「みんなを守るんだから!私たちが!絶対に!」
「この学校を好きにはさせない!」
「怪物、お前を倒す!」
決して逃げることなく残った先生達は怪物を包囲する。
「あーあーいちいちセリフが三下じみてんだよなぁ。やっぱり大人ってのは馬鹿ばっか」
「それ、どういうことなの?」
美百合先生が問いかける。
「俺は大人が大嫌いなんだよ。お前らってさぁ、基本子供を道具としか見てねーじゃん?いつも都合の良いように意見を変えて、出来なければ叱って。お前らゴミどもに付き合うこっちの身にもなってみろっての。うぜーんだよ。大人ってのは『物』は」
「…」
「あ?どうした」
「貴方ってただの反抗期少年じゃないかしら」
「そうじゃねーよ!俺は小さい頃からずっと嫌いだった!数年長く生きてるからって偉そーに!だから俺は大人を殺す。お前らを!」
「ねぇ、一ついいかしら」
「んだよ?」
「さっきから気になってたけど、貴方って元は人間なの?話を聞いている限りそんな感じがする」
その質問を聞いて怪物は笑い出した。
「ん?え?は?ハッハハハハハ!ギャハハハハハハ!お前ら、俺らの正体何も分かってなかったわけ?てっきりすでにバレてるもんだと思ってたけど、思ったより無能だったようだな。前戦ってたあの少年」
「湖也のことかしら?」
「あーお前さっきその名前呼んでたな。あいつか、前戦ってた子は。いかにも馬鹿そうな面してる」
「私の生徒を侮辱するのは許さないわよ」
「あんた、そいつの担任かよ!大切な教師が死ぬ様を見てあの子はどう思うかね!」
「何やってるんだろうな」
廊下から眺めている湖也は呟く。
「何か話しているように見えるわね」
「先生達と、怪物が?」
「先生達も、湖也と一緒。正体を探ろうとしてるのかもね」
「でも、話したところで何かわかるのかなー?」
天が割り込んだ。
「まあ先生だ。コミュ力は俺らより高い」
陸が答える。
「コミュ力の問題かよ」
湖也の隣に上伊が立つ。
「まあみーちゃんならきっと大丈夫だ。先生が生徒のことを理解しているように、俺たちもみーちゃんのことを理解してる。だろ?」
紗水が手を組み祈りのポーズをする。
「どうか、死なないで。先生」
「答えて!貴方達の目的は何?」
「そのくらいもう知ってるでしょ。この学校を滅ぼす。まあ俺はここの大人を殺す目的で来たんだがな」
「何の為に?」
「それは上の命令だ。上の考えてることまでは俺も分からん」
「貴方の目的の理由を聞いてるんだけど」
「さっきも言ったろ。俺は大人が嫌いだ。だから殺す。それだけだ」
「そう…」
美百合先生は一度考える。
覚悟を決めて、一言。
「なら、殺しなさい」
次回に続く。




