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もしもこの世界で、あなたと  作者: 白銀
第2章〜校外戦争〜
18/52

第18話  初陣

特撮が好きで、特撮っぽくしましたすみません。

1


旅行が終わり火曜日の朝。

「久しぶり。旅はどうだった?」

上伊が聞いてきた。

「楽しかったよな!」

「うん!川で魚捕まえたり森で秘密基地作ったりしたよね!」

「君達、林間学校に行ってたのか?」

「まあ確かに林間学校っぽかったけど。楽しかった。先生もいないしな。夜はゲームしたり雑談して遊んでたし」

湖也が答える。

「ふーん」

上伊は紗水の所に行くと

「ねぇ、襲われたりしなかったの?」

「はぁ?あの子達がそんなことする奴に見える?」

「でもお前、可愛いからさ。俺だったら襲っちゃうかも」

「かっかか可愛いって…うるさい!あんたが来なくて本当に良かったわ!」

「あ、河原さん顔真っ赤ー」

「大橋、あまり紗水をからかうなよ」


2


昼休みの時間。

みんな昼食をとっている時、突然ガララ…と教室のドアが開いた。

顔を覗かせたのは校長だった。

「あー、三村湖也君はいるかね?」

「え、俺?」

湖也は驚きの声を上げる。

「ねぇ、あんた何か悪いことでもしたの?」

「心当たり無いんだが」

「あーいや、別に叱ろうと思って来たわけじゃ無いんだよ。詳しい話は校長室で行いたいから、ちょっとついてきてくれるかな?」

「はぁ、いいですけど」

湖也は校長の後ろを追いかけるように教室を出ていく。


「それで、話ってのはなんですか?」

「まず礼を言わせてくれ。上伊君から学校を取り戻してくれてありがとう。花蓮がお世話になったと言っていた」

「なんで上伊にあんなことをさせたんですか?おかげでひどい目に遭いました」

「『願いを叶える本』は上伊君のために上伊の姉が作ったものだからね。まさかあんなことになるとは思わなかったよ。花蓮に学校を取り返すように頼んだのだがまさか湖也君がやってくれるとは思わなかった」

「黒木に頼まれたことだったけどまさか校長が裏でつながっていたとは…黒木はどこいったんですか?最近見ませんが」

「突然来なくなり行方は分からず。きっと役目を果たしたから元の学校に帰ったのだろう」

「そうですか…話ってのはこのことですか?」

「いやこれからが本題だ。湖也君、君に頼みたいことがあるんだ」

「なんです?」

「腕を出してくれ」

「?」

言われた通りに腕を出す。

「いや、左だけでいい」

「そうですか」

すると、校長は湖也の腕に四角いボタンのようなものを当てた。

その瞬間。その四角い物体からバンドが飛び出し湖也の腕に巻き付いた。

湖也の腕に装着されたそれはApple Watchに似ている。

「なんですか?これ」

「画面に人差し指でタッチしてみてくれ」

湖也は言われた通りに画面に人差し指で触ってみる。

次の瞬間、画面から「設定、完了しました」と言う音声が流れ、湖也の体に鎧が装着されていった。

グレーのボディをベースに水色の装甲(アーマー)が装着されている。

「…なんですか?これ」

「戦うための強化装甲だ。体の身体能力をググンと高めてくれる」

鏡を見ながら校長の言葉を訊く湖也は、

「これって仮面ライ…」

「馬鹿者。これはただの兵士にすぎん。それに専用マシンも武器も作ってはおらん。外におる者。入ってきても構わんぞ」

「えぇ⁉︎バ、バレてた⁉︎」

「すいません!天が覗き見しようとか言い出すから…」

「ぼ、僕のせい⁉︎一番最初に『気になるな』って言ったのは陸じゃないか!」

「落ち着きなさい。別に見られても良いものだから気にするな。君たちはこれを見てどう思う?」

「あれ?これってこの前爆発の時に校長先生が着てたやつ?」

天が首を傾げる。

「いや、あれはプロトタイプでこれは改良版だ。装着デバイスをベルト型から腕時計型に変えてね。これならいつでも装着できる。それに前のは時間が経つと勝手に壊れてしまったが今回のは大丈夫だ」

「かっけぇな!」

「でもなんでこんなものを作っているんですか?」

「そう!いいこと聞いてくれたね紗水君!当たり前だけどこれはただの見せ物として作ったわけではないのだよ。湖也君にはある任務を遂行してほしくてそれを渡した」

「また面倒なことですか?さっき戦うとか言ってましたが」

「これを見てくれ」

校長は自身のパソコンの動画を湖也達に見せる。

内容は、黒く細長い人型の物体がこの学校の生徒を殺すというものだった。

「なんですかこれ⁉︎」

「この人死んだの⁉︎」

天と陸は叫び声を上げ、紗水はあまりの光景に吐きそうになっていた。

「この学校付近の監視カメラで撮れた怪物だよ」

「怪物…なんかUMAみまいな見た目ですね」

湖也は映像を見ながら呟く。

「君は驚がないのかい?」

「もう色々見てますから、今更怪物とか言われても驚かないですね」

「なら話は早い。これが撮れたのは君たちが大きな体育館で事件を解決している間。爆発が起きる少し前の映像だ。私も君たちを助けるのを優先してしまいこれには気づかなかったよ。そして、この怪物がまたこの学校の生徒を襲うかもしれない。君にはこの怪物から学校を守って欲しい」

「そのための装甲ってことですか」

「単純だろ?またこのような被害を出したくないし、この子の仇を取って欲しいんだ」

「でもなんで俺なんですか?」

湖也が言い終わった瞬間、学校の外からドンッ!と言う音が聞こえた。

「え⁉︎何⁉︎」

「まさかこれがこの怪物?」

「まずい、時間がないようだ。湖也君、後は頼んだよ」

「展開急すぎません⁉︎」


2


湖也は装甲を身に付けたまま学校の外へ出る。

学校の外では、一人の怪物が暴れていた。

しかし、

「動画で見た姿じゃない⁉︎」

目の前で暴れている怪物は体が赤く、アルマジロのような見た目をしていた。

その怪物はこちらに気づかず口を大きく開けると、校舎の二階の窓へ火の球を思い切り吐き出す。

その球は窓に当たるが、窓ガラスは破られることなく球はそのまま落下した。

「え⁉︎嘘だろ?窓ガラスどんだけ強いんだよ!」

湖也は唖然としているとドンッ!と言う音とともに球は爆発した。

地面にクレーターが出来るが、校舎は傷ひとつ付かない。

「どうした?戦わないのか?」

校舎から校長が出てきた。

「この校舎どうなってるんですか⁉︎あの怪物の火炎弾喰らっても無傷なんですけど⁉︎壁もガラスも!」

「言い忘れていたが、この学校はどんな攻撃からも耐えられる設定になってるのだよ」

「いや、それを言うなら設計でしょ。ていうか設計より素材の話だ!よくこんな建物よく作れたな!」

そこまで話して湖也は思い出した。

前上伊と戦闘した時椅子を思い切り投げたが、窓は割れることなかった。

「こんな夢のような建物があるなんて…もしかしてこの装甲もこの校舎と同じ素材でできてたりします?」 

「あんな加工しにくい素材装甲に使えないわ。まあ少しくらいはダメージ軽減してくれるから、頑張りたまえ」

「ていうかあいつ!動画で見たような姿してないんですが!」

「それには私も気付いていたが…姿を変える能力があるのか…いやなんのために?おそらく怪物は二人以上いると考えた方が良さそうだ」

「一人倒して終わりじゃなかったのかよ!」

「もともと私は怪物は一人とは言ってないしな。それじゃ、私は避難するよ」

そういうと校長は湖也の背中を強めに押した。


3


アルマジロのような怪物は暴れていた。

「俺が最初に出る予定だったのに。影森のやろう勝手に行きやがって。まだなんの命令もなかったのによ。まあいいや罰喰らったみたいだし。上の命令じゃあこの学校の生徒を皆殺しにしてこいって話だけど、ぶちぶち潰すの面倒いな…ていうかあの校舎硬すぎだろ⁉︎どんだけ火の球打ち込めばいいんだ!しょうがねぇ、昇降口から入るとするか…」

言い終わった瞬間、何者かに押されて前に出てきた鎧に気付く。

「おやぁ?なんだよあれは敵の戦力か?無抵抗の人間を殺すのはあれだがあーいうのがいるとやりやすい!

さーてと、初陣補正でちゃっちゃと倒すか!」


湖也は正面を見据える。

目の前には火炎弾を吐く怪物。

まともに喰らったら死にかねない。

しかし、こっちも生身ってわけではない。

「どう出るか…」

とりあえず足に力を込めて前へ飛び出す。

「⁉︎」

湖也は足に違和感を感じた。

予定では勢いよく前へ駆け出すはずだったが、ひとっ飛びで7メートルも進んでしまったのだ。

「なんだこれ⁉︎俺の跳躍力じゃない⁉︎ちょ、タンマタンマ!」

予想外の出来事に数歩で怪物との距離を半分まで進めた湖也は後ろに引き返し再び距離を作ってしまう。

「これが強化装甲…イけるかもしれない」

深呼吸をして再度敵を見据えた瞬間、怪物の口から火炎弾が飛び出してきた。

「わ⁉︎」

反射だけで横に飛びなんとかかわす。

「こっちは拳に対して相手は遠距離攻撃かよ!せこい!圧倒的不利!」

次の瞬間、怪物はアルマジロのような体を丸め湖也目掛けて転がり始めた。

「そんな攻撃もできるのかよ!ずるい!」

湖也は足に力を込め高く跳び怪物の攻撃を回避する。

「ちょまてちょまてこれどうやって着地するんだー⁉︎」

あまりの高さに着地態勢がとれずうつぶせで地面にぶつかりガハッと肺の空気が抜ける。

「いててててー…あれ?あんまり痛くない?」

両手でお腹をさすり痛みを確かめる。

次の瞬間、

「お前一人で何やってんだよぉぉぉ!」

と叫び声とともに背後から火炎弾が飛んできた。

突然の出来事に避けきれず喰らい数メートル吹き飛ばされる。

「うあっつ!お前不意打ちは卑怯だろ!」

「うるせぇ!お前こそふざけてないでちゃんと戦えや!そして俺に負けろ!」

「負けるか!」

湖也は足に力を込めるとひとっ飛びで懐に潜り込む。

次に拳に力を入れて相手の胸めがけて突き刺した。

そのパンチは見事当たり今度は怪物が数メートル吹き飛ばされる。

「そーれもういっちょ!」

湖也は相手に隙を与えないように再びひとっ飛びで距離を詰め拳に力を入れる。

「まずっ!」

焦った怪物は体を丸め防御体制に入った。

「ふははは!これでお前の攻撃は効かないぜ!」

「あーめんどくせぇ!」

湖也は丸まった怪物の顔と手の隙間に手を入れ無理やりこじ開けようとする。

「開けー!ゴマ!」

「なんでここでそれが出てくるんだいででででで!ギブ!ギブ!」

力に負けた怪物は防御態勢を崩し、湖也の蹴りを喰らってぶっ飛び、校舎の壁にぶつかった。

「くっそー!初陣補正かかってんじゃねぇのかよ!まだだ!まだ終われねぇ!」

そういうと口を思い切り空気を吸い込むと、勢いよく炎を吹き出した。

「あっつー!今度は火炎放射かよ!この装甲がなかったら丸焦げだぞ!早めに決着つけないといかんなー。必殺技とかないのかな」

湖也は装着デバイスである腕時計を触ってみる。

指を置かれた腕時計は青く光り、

「確認しました。チャージ開始します」

すると、右足の装甲を変形を始め、青く光り、先程の1.5倍の太さになる。

「おおー!右足にエネルギーが溜まってる気がする!よくわかんないけど」

湖也は力強く地面を蹴り、高く飛び上がる。


怪物は焦る。

「はぁ…はぁ…これまずくね?」

湖也の攻撃を避けようとするが炎を吐き続けて息が上がっているため移動することができない。

「くっそ!」

せめて防御態勢になろうと体を丸め攻撃に備える。

外から「エネルギーを解放します」と機械音声が聞こえる。

こんなに外から聞こえる音に恐怖を覚えるのは初めてだった。


「エネルギーを解放します」という音声が腕時計から鳴り、湖也は怪物目掛けてキックをした。

相手は体を丸めて防御態勢をとっているが、おそらく守りきることは不可能だろう。

「いっけー!」

キックが怪物の体に命中。

防御態勢の怪物は硬いが、湖也のキックとどんな攻撃にも耐えられる校舎に挟まれ潰れ、爆発した。

その爆発の中から、湖也は帰還する。

「こんな爆発にも耐えられるなんて、すごいな。負けることなんかないんじゃないのか?ていうか怪物ってなんで爆発したんだ?ものすごいエネルギーが体内に流し込まれて爆発するとかならあるけど…」

相変わらず傷の付いていない校舎を見ながら呟く。

「いやぁ無事勝ってくれたか」

「校長先生!すごいですねこの装甲。これならどんな怪物とも戦える気がします」

「自信をつけてくれて嬉しいが、油断しないでおくれ。君がやられてしまったら私は…」

「?」

「いやぁなんでもない。さあ、早く戻ろう。今は授業時間中だからね」

そこで湖也は気づいた。

「げっ」

見上げると、生徒達が授業そっちのけでこっちを見ていたのだ。

流石に危ないからか窓は空いていないが、沢山の生徒がガラスに顔を押し付けている。

おそらく最初の衝撃からずっと見てたのだろう。

「これってバレてもいいんですか?」

「別に構わん。それより湖也くん。怪物はまだいるのだが、倒すのを君に頼んでいいかい?」

「任せてください!俺昔ヒーローに憧れていたんですよ!次回も今回みたいにカッコよく決めてやりますよ!」

「かっこよかったかはおいといて、ありがとう」


教室に戻るとたくさんの生徒が押し寄せてきた。

「あれってお前だろ?」

「かっこよかったぜ!」

「あの怪物なんなの?」

と様々な声が聞こえる。

「なんで…バレてんの?」

「僕がバラしたから。校長も別にバレてもいいって言ってたじゃん」

「馬鹿野郎天!こういうのはみんなに正体がバレずに戦うのがかっこいいの!なんでバラしちゃうのかなー?」

「言わなくてもどうせみんな気付いてるでしょ」

「はぁ、めんどくせぇ」


4


「飯野がやられた。あいつあんなもの作ってたのかよ」

「まあ怪物が暴れるとヒーローが出てくるのは当然だからね。予想の範囲内だよ。だが厄介ではある。どうする?大羅(ダイラ)、何か策はある?」

「まだ奴の力は未知数だ。飯野なんか弱すぎて敵の戦力計測の役目も果たしてくれなかったからな。それに敵の数は一人とは限らねぇ。もしかしたら我々と同じくらいいるかもしれない。もう少し観察を続けるべきだ。次はもう少し強い奴を送り込め」

「てかさー。いちいちウォッチングするのめんどくさいしウィーが一気にエネミーのところに行ってウェーイしちゃった方がよくない?」

「それは駄目だトルボ。てかそのバカ英語やめろ。ウェーイは英語じゃないだろ」

「なんでブーなの?」

「もしみんなで総攻撃したとして、敵の戦力が高ければそのままやられるしかないだろ。慎重に駒を出して敵のデータを集める。そしてそのデータを元に我々も対抗策を練る。それが一番だよ」

「ミーのことビリーブしてないの?」

「お前の力は信じてるさ。だからこそ大切にしていきたいんだよ」

「そうだ。まだ私たちは戦場に出るべきではない。次はBのやつを使おうか。私たちの目的はただ一つ。あの校長と奴が今持っているあの学校を潰す。そのために慎重に、な?」

「リーダーが言うなら、ソーする」

「いい子だ」

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