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精霊

「暑い……」


「そうだな……だがその格好はどうかと思うぞ?」


「お兄さんは毛むくじゃらですからねー。暑さも私たちより辛そうですが、どんな感じですかー?」


「スプリンクラーと戯れる犬の気持ちがわかる気がするよ…」


「すぷ…? なんだそれは?」


「芝生とかの自動水撒きですねー。とりあえずおしぼりどーぞー」


「おー、冷たい! ありがとうメイドちゃん」


「お代はお給料とまとめてカラダで払って貰いますから気にしないでくださいねー♪」

「クーン」


「はぁ……雇ってるのは私だろう? 給金も渡しているはずだぞ?」


「それはそれ、これはこれですー! お給金はもちろん助かりますけど、私にとってのメイド道は奉仕精神にあるのでー」


「あーわかったわかった好きにしろ。でもお前は人前ではもう一枚くらい着ろ」


「えー…わかったよ領主ちゃん…」


「はぁ…まったく。そんなに暑いならさっさと呪いを解いたらどうだ?」


「いやぁ、なかなかそういうわけにもいかないんだよねぇ…身体能力上がって便利だし」


「転生チートの無効化に必要なんでしたっけー? 神様もモテチートじゃなくて能力チートをくれれば良かったですのにねー」


「ワーウルフ化の恐怖付与のパッシブ効果でモテチートの打ち消しというのはなかなか考えたものだと思うが…本当に意味があるのか?」


「うーん…これがないと町を歩いてるだけで大変なことになっちゃうからねぇ。抑止効果にはなってると思うよ?」


「ふぅむ…神による恩恵も度が過ぎれば迷惑ということか」


「オンオフの切り替えができれば問題ないんでしょうけどねー。ある意味嫌がらせに近い気もしますー。お茶どうぞー」


「ん。いただこう…しかし、スキル効果をなくすなら他にも方法があるんじゃないか? 封印とか」


「うーん、いろいろ調べてはいるんだけどねぇ…普通のスキルとは違うみたいで前例が無いから手の施しようが無いみたいなんだよ」


「本屋さんとか僧侶さんとかはどういう風に言ってるんですかねー? 詳しそうですけどー」


「うーん、僧侶さんは神様寄りだから、チートについては特に何も言ってなかったなぁ。狼の方は解呪したいみたいだけど。本屋さんは諦めムードだねぇ。マジックアイテム関連で探してはくれてる」


「まぁ他の方法は引き続き探すとして、今の人狼化は本当に効果があるのか? 全然恐くないんだが?」


「むしろ可愛いですよねー。もふもふ」


「クーン。最初のインパクトで敬遠されるってだけでも効果はあるんだよ? 君たちは慣れちゃったんだよ多分」


「ふぅむ…そういえばそのモテチートとやらはどれくらいの効力があるんだ? 相殺されてそれなのか?」


「付近にいる異性の気分高揚、性欲促進、感度向上が主な効果かしらねぇ」


「すわ! 神様!?」

「突然割り込んできたな…」

「いらっしゃい。意外と直接的な効果は無い感じ?」


「お邪魔するわね。恋愛感情なんてきっかけと印象でどうとでもなるし、効果をあげると代償が必要になることを考えるとこれが一番効果的なのよ。まぁあなたのそれは他にもいろいろ盛ってるのだけれど」


「自分が恋をしていると錯覚させるわけか…そう考えるとなかなかエグい効果だな。女の敵め」


「ヒドイ!」


「まあまあ、お兄さんもある意味被害者ですからねー。あ、神様は何か飲まれますかー?」


「キンキンに冷えたスポーツドリンクをジョッキで」

「アリなのそれ!?」


「無茶ぶりしますねぇ…とりあえずそれっぽいのでいいなら作りますよー」


「よろしくお願いするわ!」


「神も暑いのか…もう少し過ごしやすくはできんのか? 神なのだろう?」


「私は精神と超常現象担当だから自然は担当外なのよねぇ。まぁ、あなたたちの暑さを感じにくくするならできるわよ? 代わりに冬は気絶するほど寒く感じるようになるけど」


「ひとが滅ぶ…やめてくれ」


「ままならないもんだねぇ」


「だわねぇ。とりあえずこの程度なら自己努力でなんとかして頂戴な。氷魔法で出した氷塊に寝そべるとか、氷の精霊を抱っこするとか」


「一般人には無理なんだが?」


「貴族なんでしょう? お金の力があるじゃないの」


「氷の魔法師は貴重なんだぞ? わざわざ雇い入れる余裕はない!」バンッ


「まぁまぁ落ち着いて」


「あー暑い! 獣臭い! くっつくなー!」バンバンッ


「あららー、すっかり子供返りしちゃってますねー。スポドリどぞー」


「ありがとうね。ゴクゴク……んー、よく冷えてて美味しいわ!」


「味を真似ただけですから、水分補給の効果は今一つだと思いますけどー……」


「あら、結構完成度高いわよこれ。あとメイドロボなら作り方知ってると思うけど?」


「なるほど、侍女長ですか……今度聞いてみますー。それで話を戻しますけどー、」

「うむ。脱線しすぎだ」


「氷の精霊ならタダなんじゃないですかー?」


「そっちか!? …精霊使いの方が珍しいんだから言うまでもないだろう?」


「自分で呼ぶとかー」


「そう簡単にできないから職として成り立つんじゃないのか?」


「だわねぇ。というかクーラー使いなさいな、せっかくなんだから」ピッ、シュコー


「原理がわからないものは使いたくない。気味が悪い…おい、どこへ行く?」


「妙なところガンコジジイですよねー」


「領主ちゃん体温高いからちょっと待避……あー涼しい。でも僕が知ってるクーラーよりは自然由来な感じがするけどなぁ」


「あら? これも電気で動いてたはずだけど?」


「え? そうなの? てっきり件の精霊さんが入ってるんだと思ってたんだけど」


「わぁー、夢があっていいですねー。なんだかファンタジーっぽいです」


「精霊は基本こんな町中にはいない。もしいたとしても使役して呼び出しでもしなければこんな暑いときに出てきやしないぞ……まぁ神が作ったものならありうるかもしれんが」


「精霊は元々あった自然現象や物理現象だから私たちの制御下にはないわよ? 意思や姿を与えたのは私たちだし、無理矢理いうことを聞かせることもできないことはないけれど」


「なんでもありだな本当に……しかしなぜそんな回りくどいことを? 直接支配すればいいのではないか?」


「めんどくさかったんじゃないですかねー?」

「お、おい! いくらなんでも言い方ってものが…」


「ふふ、まぁそれもあるけれど、なにより…」

「もがっ!?」


「? どうしたんですかーお兄さん…」


「いや、誰かが顔面に張り付いてきたんだけど……見えない、けどなんだかひんやりする…」

「…………」スリスリ


「……ええと、どちら様ですかー?」

「……なぜ氷の精霊がいるんだ…?」


「ふふふ……楽しいでしょ? この方が」

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